あらめ(海藻)の煮汁を玄関に撒く風習とは!?お盆の行事がガチ過ぎる京都の扇子屋女将に聞いた

ご先祖様、今年もお疲れ様です
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8月16日、お盆の最終日に投稿されたこちらの動画。女性が道に茶色い液体を撒いているのだが、一体何のためにやっているのか、おわかりだろうか。

動画に登場している方は京都の扇子店、大西常商店の大西里枝(@RieOhnishi)さん。これは京都にある「追い出しあらめ」という風習で、お盆の終わりの日に「あらめ」という海藻の煮汁を玄関先に撒くとご先祖様がこの世に未練を残さず、あの世に帰っていく…と考えられているのだそう。

あらめの煮汁は濃い茶色。撒いたあとは水で流しているとのこと

「マジでなんの意味があるんや!!!」と叫んでいる大西さんは、100年以上に渡り続いている京都の扇子屋さんの女将。「煮汁を撒く」というお盆の行動についてご存知のことも多いだろうと思い、詳しい話を伺ってみた。

「追い出しあらめ」は京都のお盆の風習なのですか。

はい、こちらは風習としてあります。

京都には「8のつく日」にあらめを炊いて、その汁を走り元(※)に流すという習慣があります。 「メ=芽」が出るということで商売繁盛を祈ったものだと聞いております。ただし、お盆の時だけは、追い出しあらめとして門口に撒くそうです。 

※走り元…台所のあるところ。

あらめは京都のスーパーでは簡単に買えるそう。煮るとコリコリした食感だ(画像は筆者が三重で購入したもの)

向かって左下にあるのが「お揚げとあらめの炊いたん」。あらめを茹でたあと、昆布、油揚げを砂糖と醤油で煮る。精進料理なのでかつおだしは使わない

「煮汁は異臭がする」とのことですが、どんな臭いに近いのでしょうか。

海の香りです。昆布系の香りですね! 

少し大げさに書いたとのことで、言うほど「異臭」ではないそう。

旅行に行けなくても、大変でもお盆行事はきっちりと

大西さんは一連のお盆行事の投稿にハッシュタグ「#お盆ガチ勢備忘録」をつけて投稿しており、これらのツイートからは大西家のお盆の様子が伝わってくる。

仏壇やお位牌の手入れ、日替わりで用意されるお供え物などを見ると、手間暇をかけたお盆を過ごしていることがわかるだろう。

こちらの大西常商店は大西さんのご生家で、こうして昔から家で行われるお盆行事を見て来たのだという。「ぶっちゃけ辞めたい」ともツイートしているが、それでも続けているのはなぜなのか。

お盆の行事は昔から見てきていましたし、そのせいでお盆休みに旅行できなかったので、昔はすごく不服でした。 

今でも手間で面倒なのですが、弊社は先祖たちが扇子業をはじめてくれたからこそ百年以上この土地で同じ商売ができている、ということで、先祖たちの接待であるお盆はきっちりとやっています。

「手間で面倒」とは言いながらも、年に一度のお盆を大切に過ごしている大西家。やはり長年続くお店は心構えが違うと感じるお話だった。

京都のお土産物としても人気の扇子。どんな扇子があるのか気になった人は、大西常商店の実店舗やオンラインストアをのぞいてみては。

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