一体どうなってるの?回転するコースの中をボールが走る「マーブルマシン」の仕組みを製作者に聞いた

ずっと見ていられそう
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マーブルマシン

ワイヤーで作られた複雑なコースの中を、ビー玉がクルクルと走っているのがおわかりだろうか。しかもこのコース、グルグルと回転しているのだが、それにもかかわらずビー玉は落ちることなく転がり続けている。

こちらは一般に「マーブルマシン」と呼ばれる仕掛けのおもちゃで、Twitterに投稿された動画を見た人たちからは「永遠に見ていられる」「凄い、語彙力を失う」「病院の待合室に置いたらずっと待っていられます」といった反応が寄せられている。

今回、このマーブルマシン製作者であるポリへドロン(@marble_machine2)さんにお話を伺った。

着想は「リフトを使わない方法」から

マーブルマシンの構想から完成まで、どれくらいかかっているのでしょうか。

構想から完成までで大体6週間から8週間です。

構想段階でこんな物を作ろうとノートに書き出して、すぐに骨組みとなる立体を作ります。

今作の場合、別にギアを作り立体と繋げて土台と合わせます。ここまで2週間ほどです。その後はコースの設置と調整を続けて完成、という流れです。

どのようにしてコースが回転しているのか、仕組みを教えてください。

作り方としては、まず回転する円柱を作ります。

次に固定コースのスタート地点を作り、回転の動きに合わせたコースを設置します。

そして最終的にスタート地点に戻します。

USB電源→モーター→ギア→コースという流れです。

この作品のポイントは、回転の動きに合わせて作られたという点です。

回転するコースを作るアイディアは、どのように思いつきましたか?

マーブルマシンには「リフト」と呼ばれるボールを上昇させる装置が不可欠です。

リフトの種類は様々で、主に螺旋(らせん)・観覧車・階段などがあります。

しかし私はリフトの作成があまり得意ではなかったので、リフトを使わずにボールを上昇させられるか?と考えたのがきっかけです。

その結果、コース全体を回転させることでボールを上昇させる、という発想に至りました。

完走させるのが難しい

制作する上で、苦労された点は。

一言で言えば、完走率の低さですね。コースが回転しているので、タイミングがずれるとボールはうまく転がりません。

ギアのバックラッシ(※)による揺れ、コース設置による重心の変化から生じるモーターの回転数の変化、照明やハンダの熱によるボールの温度上昇、ボールの個体差などが原因ですが、究明出来ないこともあります。

いくつもの要因が同時発生し、ボールが転がらなくなってしまいます。今回の作品は、どれだけ調整しても5分以内にボールが落ちてしまいます。今後は、長時間運用可能なマシンの開発が目標です。

※バックラッシ…1対の歯車をかみ合わせた時の、歯面間の遊び

作成をはじめたのは中学から

いつ頃からマーブルマシンを作るようになったのでしょうか。

私がマーブルマシンと呼べるレベルのものを作り始めたのは中学に入ってからです。その以前からも工作用紙で「ビー玉転がし」は作っていました。

「ビー玉ころがし」と「マーブルマシン」の違いはリフトの有無、素材にワイヤー、木を使ったり3Dプリンターなどを使ったりしているかだと思ってます。

それから断続的に製作は続けており、去年の9月からコース全体を回転させる作品を作り始めて、それらは8作品あります。

ポリヘドロンさんのマーブルマシンは2022年9月3日・4日に行われる「Maker Faire Tokyo 2022」にて展示される予定。実物を見たい方はぜひチェックしてみてほしい。

また、Twitterに今後も作品を投稿していくとのこと。YouTubeチャンネルにはこれまでの作品や製作中のライブ配信動画もある。マーブルマシンの不思議な動きに魅了される人が増えることだろう。

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