秦野の巨大イノシシを槍で捕獲した人に会ってきた話〜肉は野生の味がした〜
ロースは意外と切りやすかった
購入した時、肉はカチンコチンも凍っていたのでまずは解凍。岩田さんから「半解凍になったところで薄く切るといいですよ」とアドバイスを受けていたので、自宅で冷蔵庫に保管しつつ解凍されるのを待った。
以前、イノシシ肉を包丁で切ったときは肉が硬くて難儀したのだが、スムーズにカットできた。あとは包丁でできるだけ薄めにスライスしていく。
肉が1kgあると聞くと、かなりの量なので消費できるだろうか…と不安になるが、イノシシのロースは脂身の割合が高く、残った脂身は試しに塩コショウを振って焼いてみた。

ぼたん鍋のレシピは、複数のレシピサイトから探してみた。
農林水産省のサイト「うちの郷土料理」に掲載されていたレシピによると、昆布などのだし汁に赤だしと白味噌で作った合わせ味噌を溶かし、そこに酒とみりんを入れて煮汁を作るというものだった。また、煮汁におろし生姜を入れてイノシシ肉独特の臭みを和らげる食べ方も。試食メンバーにはイノシシ肉が初めてという人もいるので、おろし生姜を入れた煮汁を作ってみた。
心配だったのは「イノシシ肉独特の臭みが強くて食べられない…」とならなければいいなということだった。過去に何度か猟師さんからいただいた野生のイノシシの肉を食べた経験から言うと、肉の味はいわば「脂分の取れた豚肉」という味わい。里山を駆け巡っているので運動量が多いので、一般的な豚肉よりはあっさりしていてヘルシーだ。だが、豚肉とは違うので苦手という人も少なからずいるだろう。
秦野イノシシのぼたん鍋、実食
具は白菜、春菊、しめじ、しいたけ、焼き豆腐。いたって普通の鍋の具だが、グツグツ煮えてきたらすごく美味しそうに見えてきた。いやこれ絶対美味しいやつだ。
あらかじめ自宅でカットしてきた肉類を投入。
せっかくなので煮えてるところも見て欲しい。
食べてもらったのはたかやさんのほか、「イノシシ肉食べるの初めて勢」の記事編集部・ふ凡社とライター米田梅子さん。微妙に不安な表情でいるのがわかる。
味はどう…?


実際に食べてみると、びっくりするほど臭みはなく、美味しく食べられた。合わせ味噌のレシピという先人の知恵のおかげに違いない。
不安そうだった2人も
「意外とくさみがない」「美味しい、野生の味がする」とけっこう高評価。
ひとしきり食べてイノシシ肉がなくなったところで、スーパーで買っておいた豚ロース肉を鍋に投入。火を通して同じ煮汁で食べてみたところ…

ふ凡社「いつもの鍋の味になった」
たかや「野生みが完全になくなりましたね。これ実家の味だ」
米田「実家の味ですよね(赤だし使ってるし)」
わたし「実家の味だ…」
イノシシ肉と豚肉の味の違いは明らかだった。もちろん豚肉が美味しくないわけではないが、イノシシ肉の主張の強さは特別なごちそう感があった。捕獲者の顔を見てきたイノシシ肉、ごちそうさまでした…!
積極的に食べたい
岩田さんからお話を伺って、人里に現れた野生動物はさまざまな制約の中で捕獲されていること、鳥獣駆除や狩猟に関わる課題は山ほどあることを感じた。そのうちのひとつとして、捕獲した鹿やイノシシの利活用も重要な問題だ。
秦野市では山に設置したわなにかかり、捕獲された鹿やイノシシを「秦野産ジビエ」として売り出し始めている。今回美味しくいただいたイノシシの肉も、多数の神奈川や東京のジビエを扱う飲食店へ卸されているという。もし最近、どこかの店でイノシシ肉を食べたというあなた、もしかすると秦野のランサーが捕獲した肉かもしれませんよ。
