小学5年生が生み出した「九字護身ジェルネイルシール」に大反響!ダイソーに商品開発の舞台裏を聞いた

爪のひと掻きで退魔できそう
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ダイソーで販売された「異色のジェルネイルシール」がTwitterで話題になっている。

商品名は「ジェルネイルシール(九字護身)」。「九字護身」とは、修験道などで使われる厄除けの呪文のこと。アニメや漫画で「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」の九字を見たことがある人も多いことだろう。話題のジェルネイルは、黒い背景に白地で九字護身がぎっしり書かれているデザインだ。

その強烈な見た目に、Twitterでは「ギャル陰陽師が使ってそうなネイル」「耳なし芳一がネイルやってた場合に和尚が買ってくるやつ」などなど、さまざまなツッコミが寄せられている。

そんな「九字護身ジェルネイルシール」だが、なんと小学校5年生が考案した商品らしい。販売開始にあたり、発案者の親御さんであるKUNII Daisuke(@dkunii)さんがTwitterで紹介した。

販売に至るまでにどんな物語があったのか、KUNII Daisukeさんとダイソーの担当者に話をうかがった。

ダイソー創業50周年企画で誕生

今回の「九字護身ジェルネイルシール」は、ダイソーれたことやる課という事業の中で開発・発売されたものだ。

「ダイソーれたことやる課」とは、2022年にダイソーが創業50周年を迎えることを記念して、次の50年も「ダイソーれた挑戦」を続けていくという思いから立ち上がった新部署。

こちらで15歳以下の商品開発アンバサダーを19人募集し、アンバサダーたちとともにこれまでの常識を覆すような「ダイソーれた新商品」を企画・開発するプロジェクトが行われた。

若きアンバサダーによる新商品の企画からアイデアのプレゼン、PRのためのPOP作成などを経て、2023年1月に52種類の商品が発売。「九字護身ジェルネイルシール」はその1つというわけだ。

厨二病の大人がけっこういるなと思った

まずはKUNII Daisukeさんに、息子さんの商品開発についてうかがった。

息子さんがアンバサダーに応募された経緯を教えてください。

本人がダイソーで買い物した時レジ横に「ダイソーれたことやる課・U15アンバサダー募集」の告知を見つけました。息子が商品アイデアと共に応募したところ、アンバサダーに選ばれました。

息子さんは何をきっかけに「九字護身」知ったのでしょうか?

「テレビで見たり、図書館で借りた本を読んで知ってカッコ良いと思った」そうです。 

構想中、日頃祖母が唱えているのを聞くことで覚えた「般若心経ネイルシール」も思いついたのですが、そちらは商品化が難しいということで、九字護身のアイデアを掘り下げるためにネットで調べ直したりしていました。

商品の企画案。イメージイラストの時点ですでにインパクト大

息子さんが九字護身シールを作ると知った時の感想を教えてください。

商品開発会議に先立ち、U15アンバサダーたちは、商品のターゲット別に数人のグループに割り振られました。

息子は「ネイル」や「おしりふき」といった、小5男子にはあまり馴染みのない商品を開発するグループとなったため、当初は「大丈夫なのか?」という心配も頭をよぎりました。

しかしながら、「思い込みに囚われない純粋な意見が欲しい」というダイソーさんの思いと、子どもたちの柔軟な発想が合わさって今回のような話題性ある商品を発案できたと考えています。

「九字護身ジェルネイルシール」以外にも面白い商品が多数考案され、驚いています。

Twitterで話題になったことについて息子さんの反応は。

大変驚いておりましたが、直接手ごたえを感じることができて喜んでいます。

「思った以上に反響があり、みんなが買ってくれたことで自分のアイデアを認められたように感じた」 「(ツイートを見て)自分もそうだけど厨二病の大人がけっこういるな、と思った」

と言っていました。

息子さんの、日ごろからの豊かなインプットから九字護身ジェルネイルシールが生まれたことがよくわかるお話。そしてみごと、息子さんの狙いどおり(?)性別を超えて「厨二なロマンを求める大人たち」にバッチリ刺さったのだ。

「1指に1文字」の初案から調整

「九字護身ジェルネイルシール」を発案する小学5年生もすごいが、それを実際に商品化まで持っていくダイソーさんもすごい。担当者さんに、開発の裏側を聞いてみた。

「九字護身柄ジェルネイルシール」を商品化するために調整したポイントは?

初案では「1指に1文字」の想定でしたが、ネイルシールの先端をヤスリで削って使うという製品の性質上、使用されるお客様の爪のサイズによってデザインの文字が切れてしまう可能性があることをアドバイスさせていただきました。

その後アンバサダーの方で「総柄」への変更案が出され、今回のデザインになりました。

アイデアを商品の形に落とし込むまでを大人がサポート

実際に商品化した感想を教えてください。

Twitterでは「ギャルの陰陽師向け」ということでバズっていましたが、ジェンダーフリーのネイルシールはとても新鮮で、子どもの自由なアイディアに驚きました。

今回参加いただいたアンバサダーの自由な発想を忘れずに、51年目からも日々お客様に驚きを与え、人々の豊かな暮らしに貢献していきたく思います。

実際の商品化では、多くの人にとって使えることを考えて設計しなおしたという点にも納得。ただ、1指1文字のバージョンもバーンとインパクトがあって大変気になるところだ。

ちなみに「九字護身柄ジェルネイルシール」は期間限定商品で、販売は現在店舗在庫のみ、再販などの予定は未定だ。気になった人は、早めにダイソー店舗でチェックしてみては。

また、現在産学連携で京都の大学とコラボレーションしたアイテム開発企画が進行中とのこと。小学生から少しお兄さん、お姉さんになった大学生からはどんな商品が飛び出すのか、こちらもまた楽しみだ!

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