国語辞書の三省堂が出した「ウザくて実用的」なLINEスタンプが大好評!リリースの経緯を担当者に聞いた

(いろんな意味で)汎用性が高いスタンプ
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国語辞書最大手の三省堂がリリースしたLINEスタンプ「三省堂辞書スタンプ」がTwitterで話題だ。

「よろしくおねがいします」「おつかれさま」といったメッセージのやり取りでよく使う言葉の下に三省堂の辞書の語釈が書かれているという、なんとも辞書メーカーによるスタンプらしい趣向。

面白いのは、「それいつ使うの?」という謎のチョイスの言葉もピックアップされていたり、語釈だけでなく言葉についての「豆知識」版もあったりする点だ。

たとえば、「了解」スタンプの豆知識は

目上に失礼な語と言う人がいるが、以前から「了解しました」など、丁重表現として使われる。

となっている。

また、「主語が大きい」という言葉の解説は以下の通り。

すべてがそうだとは限らないのに、ひとまとめに論じられている状態だ。

この2語を見ただけで伝わるかと思うが、なんというか、全体的にピリリと皮肉が効いているのだ。

もちろん、これらの語釈や解説文は三省堂の辞書に実際に掲載されているもの。ただ、スタンプを送る相手や使いようによっては慇懃無礼感を与えたり、日本語の誤りに厳しい方々へのけん制などにも使えそうそうな気もする。

実際、Twitterではスタンプについて「使い所あるかと言われたらないけど、大好きすぎて即買った」「すごく丁寧に煽る時に使えて草」といった反応が相次いでいる。

また、三省堂の国語辞書編纂者である飯間浩明先生も「ウザい説明が受けているようですね」と反応。

ウザさと実用性を兼ね備えたスタンプが生まれた経緯を、三省堂の担当者に聞いてみた。

辞書掲載時に話題になった語釈も採用

 LINEスタンプの発売に至った経緯を教えてください。

弊社を代表する辞典である「新明解国語辞典」「三省堂国語辞典」の源流にある「明解国語辞典」の刊行80周年を記念して企画しました。

「堅い印象を持たれがちな辞書の面白さを、SNS利用者にも再認識していただけないか」という思いからスタートしました。

採用する言葉はどのようにして決まったのでしょうか。

挨拶したり、相づちをうつときなどに使える実用性を意識しました。「語釈」と呼ばれる細かい字の部分は読まない方もいらっしゃるかと思い、少なくとも見出しになっている語だけで会話が成り立つように考えて、選定しました。

使用シーンが限られた言葉も採用した理由は。

「実社会」や「凡人」などは、辞典にその語釈が載った際に評判をいただいた語釈です。確かに使用場面が限定されるかもしれませんが、これらは、スタンプを通じて、話題になった語釈を味わってもらえればと考えました。

とりわけ辛口な「凡人」の語釈

見た目でこだわったポイントは?

文字中心のスタンプは珍しいと思いますが、紙面の雰囲気をそのままLINEの画面にもってくるイメージでデザインしました。

また、トーク画面でいきなり会話の中に辞書が乱入してくるような形で浮きすぎないよう、吹き出しを採用しました。可能な限り視認性にも気を使ったつもりです。

吹き出しの形なので、会話の中で違和感なく使える

先にも書きましたが、見出し語だけでも会話が成り立つことを重視し、その見出し語に興味を持った方が語釈を読んでいただく、という流れを想定して作成しました。

「(良い意味で)ウザい」という反応が出ることは予想してましたか?

正直、ここまでの反響をいただけるとは想定しておらず、非常に驚いています。ご指摘の通り、好意的に受け止めていただいている様子が見受けられ、大変ありがたく感じています。

このスタンプを使ったユニークなやり取りがSNS上で披露されると嬉しいです。

言葉のチョイスだけでなく、デザインにもしっかりこだわったスタンプであることがひしひしと伝わってきた。ちなみに、今後新たなスタンプ販売については、「前向きに検討してまいりたい」とのこと。

筆者もさっそく買ってみたが、予想以上に汎用性が高いので新スタンプの販売を切望している。

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