絶滅危惧種の水草オニバスが民家の庭先で育てられていた!遭遇したカメラマンが驚きを報告

憧れの植物がこんな所にいるとは
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絶滅したとされる植物のオニバスが民家で育てられているのを発見したと報告したツイートが話題になっている。

庭の五右衛門風呂でおばあさんに育てられていた、絶滅危惧種のオニバス

オニバスはスイレン科に属する一年生水草で、子どもが乗れるほどの大きな浮遊葉を付けるオオオニバスの近縁種である。日本全体では絶滅危惧II類に指定された植物であり、 宮城県・東京都の2都県では絶滅が確認された希少な品種だ。

このすっとんきょうな事案に遭遇したのは、山村に移住し地域や観光・自然教育に関する映像制作業を営む小林成彦(@naru422)さん。発見した時に貴重なオニバスの種を3つ分けてもらい、自宅で育てたらたくさんの種が収穫できたそうだ。

見事な葉をつけたオニバス
種もたくさん採れた

オニバスと出会い、自宅での繁殖に成功した小林さんに詳しい話を聞いた。

とんでもないシチュエーションに仕事は後回し

絶滅したはずのオニバスに出会った時のお気持ちは?

私の暮らす地域では、野生下のオニバスは長年確認されていないという情報を見ていました。そんなオニバスが軒先の五右衛門風呂で元気に繁茂しているという、とんでもなシチュエーションに出会い、仕事を後回しにしてまじまじと観察してしまいました。

いろいろな場所の水辺を観察する中で、かつては当たり前にあったけど消えてしまった植物がいくつもあることを知るようになりました。その中でも葉が直径2mにもなるというオオオニバスはひときわ異彩を放ち、その仲間であるオニバスは憧れの植物でした。

オニバスを育てていたおばあさんからお話は聞きましたか?

「地域に残された貴重な植物として、これは残さなければいけない」とおっしゃっていました。

小林さんはこの驚きの出会いのあと、改めてその場所を訪れオニバスの出自について話を聞くと、長い間大切に管理されてきたという。

20年にもわたり保全されていた

どのようにオニバスが保全されている経緯を聞きましたか?

映像制作の仕事の依頼主から、オニバスの出自と保全活動の存在について伺いました。保全をされている方々との繋がりがないため、詳しくはわからないということでした。

出自については「未知の地のものなのでは?」という期待も正直なところありました。しかし、保全活動がなされているということから、もともと自生していたオニバスなのだと思います。この地域のオニバスの消滅リスクがグッと下がったんだなと安堵しました。

家の周りの棚田跡や湧水を活用したビオトープづくりをライフワークにしているという、小林さん。「みんなもいつ何が起きても良いように覚悟して仕事に臨みましょうね」とつぶやかれている通り、普段何気なく目にする景色の中に驚きの出会いがあるかもしれない…と期待して過ごすと毎日が楽しくなりそうだ。

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書いた人
中野ようす

野生のフリーライター。本とお笑いを摂取し日陰で眠り、たまには濡れた犬の匂いが嗅ぎたい。Twitter:@nakano_books