青春時代の全てを捧げた明石海峡大橋の模型の完成度がスゴ過ぎ…! その熱意と精巧さに注目が集まる

模型を作った少年は10年後、橋の博士になった
4

ある人物が10代の頃から長い年月をかけて製作したという模型がTwitter上で注目を集めている。

綿密な計算のもと、製作されている
圧巻の迫力

こちらを投稿したのは、橋の工学博士である明石海峡(@akashi_kaikyo)さん。中学高校の6年間を費やして、当時世界最長といわれた全長3911mの「明石海峡大橋」の1/1000スケール模型を作っていたことをツイートした。

Twitterユーザーからは「すごすぎる。まさに神業」「6年間で素晴らしい知識と感動を作り出しましたね」「大作ですね」など、感心の声が多く寄せられている。

壮大精妙な「明石海峡大橋」の模型を製作した経緯やその後のエピソードなどを詳しく聞いてみた。

実は未完成だった模型…いつか必ず完成させたい

「明石海峡大橋」の模型を製作しようと思ったきっかけは?

小学生の頃からエッフェル塔、東京タワーなど骨組みの構造物に興味があり、紙で小さな模型を作っていました。製作している時の、巨大な建物が自分のものになったような感覚が好きで、中学生になった頃に世界一の橋の模型を再現したいと思い作り始めたのが「明石海峡大橋」でした。

製作中に一番苦労したのは?

苦労したのは橋桁(はしけた)のトラス構造の製作です。当時はまだ3Dプリンターが普及していないので、すべて市販の材料を手作業で切り出して加工しています。とにかく部品点数が多く、主要部材が2000点、付属の管理通路の部品などは600点ほどありました。

※三角形を単位として部材を合わせて作る構造

幅35.5mm 高さ14mmの橋桁の模型を、4m分コツコツと製作した

製作を通じて一番面白く感じたことは?

最も面白く感じたことは、ケーブルに橋桁を吊り下げるときです。複数の区間に分割して順次架設していくと一時的にケーブルがたわんでいびつな形状になるのですが、完成すると設計通りに安定します。

当時はこうした仕組みを計算することができなかったため、大学に進学して理解を深めることにしました。

橋桁を1つだけ吊り下げると、ケーブルがたわんでしまうのだが…
全ての橋桁が架設されると、見事にバランスがとれた吊り橋となる

模型が完成したときの感想は?

実はこの模型は高校を卒業するまでに完成できなかったんです。道路面の製作は諦め橋桁が全て架かった状態で仮の完成とし、卒業式の日に高校のエントランスホールに飾られました。

1年後、東日本大震災の激しい揺れに見舞われるも無傷で、実際の橋が阪神淡路大震災を乗り越えたのと同じ運命を感じました。その年の夏、本州四国高速道路株式会社から感謝状を受けました。

感謝状を受賞した10年後には、橋の工学博士となった

しかしそれから4年後、校長の代が変わったのを機にこの模型は撤去解体されてしまいました。当時は知識不足による不正確な部分が多かったこともあり、大学で勉強してより高い精度で架け替えようと考えるようになりました。

現在は、実際の橋の設計に関する研究のほか、大学の講義で学生に橋の模型を作らせ、その強度と力学的性質を調べる授業を行っています。当面先のことになりそうですが、いつか必ず再建したいと考えています。

これだけ立派な模型が撤去されてしまったのはとても残念だが、いつの日かその培われた知識によって、精度を増し再建された「明石海峡大橋」の姿が見れる日を心待ちにしたい。

明石海峡さんのTwitterアカウントでは、天文イラストや油絵など、模型同様、精巧な芸術作品の数々が投稿されている。気になった人はフォローしてみては。

記事中の画像付きツイートは許諾を得て使用しています。