85歳の父に「無茶ぶり」でストリートピアノを弾いてもらったら…珠玉の演奏に大反響
85歳の父親に“無茶ぶり”して、ストリートピアノを弾いてもらったという動画がX(Twitter)に投稿され、反響を呼んでいる。
ジャズピアニストを数年前引退した父85才に無茶振りしてヨドバシのストリートピアノ弾いてもらったら人集まってきて拍手貰いました✨🎹この指10本で育った私😭泣いた😭ずっと元気でいて🙏 https://t.co/G73PaaSQ48
— 町不動産 (@machirealestate) 2023年11月5日
投稿したのは、演奏者の娘である町不動産(@machirealestate)さん。動画では、ジャケット姿の男性が流れるような指使いでピアノを演奏する様子が映っている。
町不動産さんによると、梅田駅のヨドバシカメラ店内にある、誰でも自由に弾けるよう設置されたストリートピアノでお父様に演奏してもらったところ、それを聴きつけた人たちが集まってきて拍手を浴びたそう。

思わず聴き惚れてしまうほどの素晴らしい演奏だが、それもそのはず、お父様は長年プロのジャズピアニストとして活動していた。数年前に引退されたそうだが、腕は今でも健在。一音一音が美しく響く演奏に心が揺さぶられる。
ちなみに演目はシャンソンの名曲『愛の讃歌』と、ジャズ・スタンダードナンバー『Night and Day』。これまた、ジャズミュージシャンらしく素敵…!

動画を見たユーザーからは「なんて優しいピアノ。聴いてて涙出そうです」「おしゃれでクールで、ときどきフワッと炎が燃え立っては消えていくような愛の讃歌」「鍵盤がある所では生涯スターですね」など賞賛のコメントが寄せられた。
「素敵…マティーニを飲みたくなった」「目を閉じればヨドバシの店内も、ランプが灯る薄暗くムーディーなバーに早変わりしそう」と、まるでジャズバーにいるかのような想像をした人もいたようだ。
動画再生回数460万回以上(11/14時点)という反響を受け、町不動産さんはさらに同日の別の演奏動画もアップ。こちらもまた、ずっと聴いていたくなるような演奏だ。
愛の讃歌131万回視聴ありがとうございます🙇♀️おそらく父の演奏史上最高の人数の方に一度に聴いて頂き嬉しいと同時にSNSの凄さを痛感しております😭ありがとうございます😭
同日の演奏貼り付けますのでお時間ある方はぜひお聴きください🎹
①枯葉
②ひまわり
③Sermonette(Cannonball Adderley) https://t.co/yHuiwMdftS https://t.co/xpjRMFbwFa
— 町不動産 (@machirealestate) 2023年11月7日
今回のストリートピアノの演奏やジャズピアニストのお父様について、町不動産さんに改めて聞いてみた。
「じーじのピアノ聴きたい」孫のリクエストで実現
お父様にストリートピアノを弾いてもらった経緯を教えてください
東京に住む私の妹と甥っ子が久しぶりに帰阪し、父とランチすると言うので、たまたま我が家に帰ってきていた娘(23)と息子(25)も連れてランチに行くことになりました。
前日に娘が「じーじのピアノ聴きたい」と言ったため、ストリートピアノをネットで探し、ヨドバシが候補にあがりました。当日父に頼んだら快諾してくれたため、ランチの後、みんなでヨドバシに行き演奏してもらいました。
我が家に遊びに来てくれた時にピアノを弾いてくれることはありましたが、今回のような外での披露は初めてになります。
演奏に対する反響など、お父様ならびに町不動産さんの感想は?
父にはSNSに疎いので、「うーんあまり上手に弾けてないね」という反応でした。
私としては、もちろん父のピアノのファンではありますが、家でBGMのように聴きなれたサウンドすぎて…。こんなに反響があり多くの方に感動していただけて、嬉しい気持ちが今も続いております。
「ジャズピアニスト」としてのお父様との思い出をお聞かせください。
高度成長期からバブル時代を挟んでつい7年ほど前まで、60年近く一度も休まずジャズピアノ一筋で働き続けた父。ミュージシャンというよりも、職人気質の父を尊敬しています。
一度でいいから父と共演したくて、3年ほどジャズボーカルを習いCDに録音したことがありますが、自分のボーカルが下手すぎてそれ以来聴いてないですね(笑)。
昔結婚した時、豪華なホテル披露宴で主賓は議員や銀行の副頭取だったりしたわけですが、最後に新婦の父親の挨拶がわりのピアノ演奏で皆号泣し見事に全部持っていかれ、皆「お父さんのピアノがよかった泣いた」しか反応なかった伝説をお話ししておきます。皆さん聴いて下さりありがとうございました🎹 https://t.co/Ew4izpp7BW
— 町不動産 (@machirealestate) 2023年11月9日
私の結婚式の時、できたばかりの高級ホテルの150人規模の式場でメンバーも豪華な披露宴だったのですが、最後の最後に父が登場。喋りが得意でない父が、たどたどしい挨拶の後、スタインウェイのピアノで一生一度のすごい演奏をしたんです。
“親族が一生懸命練習して披露するレベルのピアノ”を勝手に期待していた参加者がみな驚き、式場全体が押し黙って涙・涙になりました。
後日、誰もが「お父さんのピアノがすごすぎた」「感動した」「ピアノを習おうかと思った」と父の演奏ばかりを絶賛したため、親族の中でも私の結婚式は「父のソロコンサートの前座だった」とまで言われる始末でした(笑)。
20年以上前のこの日の父の演目は『星に願いを』と今回バズった『愛の讃歌』でしたが、今回のストピが“6”とすると“10”ぐらいのすごい演奏でしたよ。
今回の演奏を大きく上回るレベルのピアノを、ご自身の結婚式で生で聴けたという町不動産さんと招待客の方々。お父様が娘の門出を祝う気持ちが華を添えたのだろうが、それにしてもうらやましい…!
お父様の素敵な演奏が、親子の強い絆を作っていることがしかと伝わってくるお話だった。