見た目パイナップルで味はイモ?「パンノキの実の砂糖煮」を食べたタイ在住の植物学者に感想を聞いた

食べてみたい、南国の知らない果実
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パイナップルに似た謎の果物の「砂糖煮」がX(Twitter)に投稿され話題になっている。

パイナップルのようなタケノコのような…?謎の砂糖煮

昼食後に出されたという「得体の知れない砂糖煮」の画像を投稿したのは、2010年からタイに移り住み植物や生物を観察・研究している山東智紀(@TomokiSANDO)さん。

一見するとたしかにパイナップに見えるが、こちらは色がやや落ち着いた黄色のように見える。他のフルーツの砂糖煮かと考えても、この色や形に当てはまるものが思いつかない。食べてみると食感はイモそっくりで、とてもおいしかったそう。

その謎の食べ物の正体は…「タネナシパンノキ」の果実! パンノキは、切れ込みの入った大きな葉持つクワ科の植物。山東さんはパンノキが植えられているのをタイのあちこちで見かけていたが、その果実の行方は知らなかったらしい。そして今回、砂糖煮となった果実に出会うことができたのだった。

タネナシパンノキ。実の外側は鮮やかな緑色

一連の投稿にXユーザーからは、「日本では栽培されてないのかな?」「じゃがバターみたいにしたらうまそう」といった声に加え、「おぉ、『ロビンソン・クルーソーで憧れたあの食材の1種!?」「アニメで見たやつ…! 死ぬまでに一度は食べたい」など、何かの作品で知っていた人のコメントも集まっている。

タイでフィールドワークの実施や書籍『世界のふしぎな木の実図鑑(創元社)』を執筆している山東さんが、初めてパンノキの果実を食べてどうだったのだろうか? 詳しい話を聞いた。

食感がモッチリしていて、食べても見当がつかず…

どのような経緯でパンノキの実の砂糖煮を召し上がりましたか?

私の働くタイの会社の、事務スタッフからのおすそ分けでした。

放射状に繊維の走る外見から、最初はパイナップルの砂糖煮かと思いましたが、 食べてみると食感がモッチリしていてパイナップルではないことがわかりました。

それでも何か見当がつかず、そのスタッフに正体の名前を聞いたらタイ語で「サーケー」というものだとのことで、Webで検索して「サーケー」が「パンノキ」のタイ語だとわかった次第です。

パンノキはクワ科の熱帯樹木で、種子のあるタネパンノキと種子のないタネナシパンノキがあります。 今回のものは、砂糖煮の写真で見てもわかる通り種子がないので、後者ということになります。

パンノキの実の砂糖煮はどのような調理法で作られているのでしょうか?

パンノキの実は傷つけると白い乳液を出し、それがベタベタするため、 若い果実を水につけながら外皮をナイフで剥ぎます。その後切り分けたものを砂糖水で煮込み、火が通れば調理完了です。

水っぽいパイナップルの缶詰のようなものを想像して食べたんですが、きめが細かく適度な歯ごたえもあり、モッチリとしたサツマイモの甘露煮のようでおいしかったです。

タイではパンノキがどのように利用されていますか?

大きく裂けた光沢のある葉が美しいため、公園やガソリンスタンドの緑化木として利用されているのをしばしば見かけます。しかし多くの場合、果実までは利用されていないようです。

これまでも、ポリネシアなどでは果実を調理して食べるというのは聞き知っていましたが、タイではどのように利用されているのか知りませんでした。

今回思いがけない形でこの果実のタイでの調理法を知ることができ、嬉しくなりXに投稿しました。

いろいろな小説やアニメを通じて、「パンノキ」というユニークな名前はインパクトを持って多くの方の記憶に留まっていたようで、 今回の投稿について思いがけない大きな反響があって驚きました。

パンノキの果実について、調理法から味・食感に至るまで詳しく伝えてくれた山東さんのレポート。本などでその存在を知っていた人は、長年の謎が解けたように感じたことだろう。日本では食べる機会がなかなかないかもしれないが、見かけたらぜひ一度は食してみたいものだ。

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