『最初のRPGを作った男ゲイリー・ガイギャックス〜想像力の帝国〜』サプリメント2

柳田真坂樹 @D16

先だって、『最初のRPGを作った男ゲイリー・ガイギャックス〜想像力の帝国〜』（borndigital.co.jp/book/5873.html）について、補足情報をまとめましたが（togetter.com/li/1006707）、桂さんから頂いていた資料は実はまだありまして… #TRPG

柳田真坂樹 @D16

@D16 ちょうど刊行から日も経ち、読んで頂いた方も多いところで改めてフォロー情報をして行こうと思います。これよりしばしツイート連投しますので、お邪魔でしたらミュートなさって下さい。なお、前回のまとめはこちら（togetter.com/li/1006707）

柳田真坂樹 @D16

@D16 その上で、D&Dとは切っても切れないエラッタについて。ええ、前回のツイートにも幾つか間違いがあったのでそちらを修正します。まずはこのツイート（twitter.com/D16/status/748…）、ナンバーは「TSR1-1」ではなくナンバーは「TSR1」

柳田真坂樹 @D16

@D16 彼のこの車、ナンバーは「TSR1-1」 ゲイリーの息子アーニー・ガイギャックスは今も自分の車に「TSR1-1」のナンバーをつけているそうです。

2016-07-01 22:57:42

柳田真坂樹 @D16

@D16 次に、ゲイリーの共同経営者ドン・ケイについて表現した（twitter.com/D16/status/748…）「若きラルフ・クラムデン」という言葉。これ、ラルフ・クラムデンというのは登場人物の名前です。役者はジャッキー・グリーソンさんでした

柳田真坂樹 @D16

@D16 そのドン・ケイを本文では「言うなれば若きラルフ・クラムデン」と描写してます。ラルフ・クラムデンはＴＶドラマ『ハネムーナーズ』で運転手役をしてました。arts-stew.com/wp-content/upl…

2016-07-01 23:21:08

柳田真坂樹 @D16

さて、前回のTwitterではゲイリーたちがD&Dを作り、それを売るためにTSRを作り、これが大ヒットしてという坂の上の雲状態だったわけですが、それ以降内憂外患の嵐となります。D&Dの共同制作者デイヴ・アーネソンとの版権料を巡る諍い、共同経営者ブルーム兄弟との諍い……

柳田真坂樹 @D16

@D16 かつてのゲーム仲間達がそれぞれのエゴや欲望ゆえにぶつかりあい、そしてまた聖人ならぬゲイリーも敵を作らずにはいられず……しかしこのごたごたの中でもD&Dは売れ続けました。ついにAdvanced D&Dが発表されます pic.twitter.com/2fRGFFeMkz

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柳田真坂樹 @D16

AD&Dは最初はMonster Manualから、次にPlayers Handbook、そしてDungeon Masters Guideが続きました。この辺の製品は今はDM Guild（dmsguild.com/product/17004/…）で購入できます。

柳田真坂樹 @D16

ちょっと極論を言うと、現在もなおD&Dについていろんなルールがデザインされてますが、1stのDMGとUnearthed Arcanaはそれらの基本になるくらいのアイデアと相互に矛盾する（つまり使用は各卓の判断に任される）追加ルールの塊で、

柳田真坂樹 @D16

D&Dのデザイナーの挑戦のなかには確かに、ここで提示されたアイデアをいかにプレイアブルなものとして現在の版のD&Dに実装させようか、というものがあったと思います。

柳田真坂樹 @D16

そりゃまあ、これは売れるよ。おもしろいもん、という感じ、

柳田真坂樹 @D16

で、ここで大きな事件が起こります。ミシガン州立大学の学生が、行方不明になりました。ただの学生の失踪事件と思われたのですが、彼が「D&Dを遊んでいた」と報道されたこと、調査に当たった私立探偵がD&Dにその謎があると言ったことなどから、突如としてこのゲームが不名誉な脚光を浴びます。

柳田真坂樹 @D16

ジェームス・ダラス・エグバートIII世の事件です。

柳田真坂樹 @D16

実のところ、この事件については、報道する側の無知と偏見、事件当事者のデリケートな状況、なによりも珍しいゲームであるがゆえにその危険性を声高に述べる自称専門家たちの売名行為などがぐるぐると渦巻いていたことが、『想像力の帝国』の中で

柳田真坂樹 @D16

描かれています。そのマスコミ報道の熱狂ぶりから『Maze and Madness』という小説が刊行され、これが若きトム・ハンクス主演で『トム・ハンクスの大迷宮』というTV映画にまでなってしまったとゆー

柳田真坂樹 @D16

この辺の混乱はさらに、D&Dによって子どもが被害を受けたと主張する親たちが宗教的原理主義者や規制団体に話を持ち込み、「D&Dは悪魔崇拝の儀式！」というデマが出てくるに至ります。

柳田真坂樹 @D16

chick.com/reading/tracts… その中で有名なのがこの反D&Dプロパガンダコミック。一部では有名ですね。自分のキャラが死んだショックで自殺したり、レベルが上がると本当の悪魔崇拝に勧誘されたりという妄想が書き連ねてあります

柳田真坂樹 @D16

とはいえ、親の方も親の方で、子供達が自宅の地下室にこもって「アスモデウス」「デモゴルゴン」「アビス」とか言って大騒ぎしているの聞いたら、心配になるんじゃねえかという気もしなくもないので、ちょっと複雑。もちろんゲイリーたちは無害さを主張するのですが、マスコミには取り上げられない

柳田真坂樹 @D16

余談：自分も似たような経験がありまして、真女神転生TRPGというゲームを遊んでいたころ、途中昼飯を食いに行った定食屋で「つぎはどの神族に覚醒しようか」「前世のことを考えるとなあ」などの話をしていたら、会場提供したGMに「ここで俺が飯食えなくなるだろうが」と怒られたとゆー

柳田真坂樹 @D16

この辺の「D&Dは子どもの教育・精神に良いのか悪いのか」の話はこの後もだいぶ後を引きます。とはいえ、例えばオカルトがけしからんというなら（D&Dにオカルト要素があると認めたうえで、ですが）、TSRよりも古株の玩具会社パーカーブラザーズでは、西洋版コックリさんとも言うべき、

柳田真坂樹 @D16

ウィジャボードを昔から売ってる（bit.ly/2ans4dc）し、そもそもアバロンヒル社だって黒魔術実践キットをゲームとして売っていたりしました（bit.ly/2ansmka）。つまりはD&Dがそれだけ目立った、遊ばれてたってことなんでしょう

柳田真坂樹 @D16

しかし、悪評もまた評判であることには変わらず報道の過熱に応じてD&Dはますます売れてゆき、D&Dの売り上げは事件以降200万ドルから800万ドルに跳ね上がり、最大の出版社ランダムハウス社と独占販売協定を結び、出版流通網に乗って業績を伸ばしていきます

柳田真坂樹 @D16

そして、ついにはD&Dのアニメを実現し（imdb.com/title/tt008501…）、ついには映画にと言う話になるのですが、ここから先はまさに最大の山場でもあるので是非『想像力の帝国』を手にとって欲しいところ。今日はその山場を過ぎた後の話をすこし。

柳田真坂樹 @D16

結論から言うと、ゲイリーはTSR社から出て行き、自分の望むゲームを作るために彷徨い、妨害を受け、小説を書き……。そして、ゲームを遊び続けます、本当に遊び続けます。D&Dは彼が離れてからもどんどんと（紆余曲折はありながらも）発展していきます。

柳田真坂樹 @D16

D&Dがアメリカのポップカルチャーの礎石となるころには、その共同制作者にして現役のゲーマーであるゲイリー・ガイギャックスのおいちゃんもまた、ポップ・カルチャーのアイコンとなっていたのでした。

柳田真坂樹 @D16

そんなわけで、フューチャラマというアニメシリーズにも登場することが『想像力の帝国』37章で描かれてますね futurama.wikia.com/wiki/Gary_Gyga… これが『フューチュラマ』版ガイギャックスの勇姿だ！