「日本のクマを考える」outback_bearさんによるレポート

「繰り返されるクマ出没・私たちは何を学んできたのか?2010年の出没と対策の現状」(主催:日本クマネットワーク、公益法人動物園協会)のoutback_bearさんによるレポートを、一覧で見やすくするために作成しました。
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有限会社アウトバック @outback_bear

2月11日東京都恩賜上野動物園 動物園ホールで開かれた、「日本のクマを考え繰り返されるクマ出没・私たちは何を学んできたのか?2010年の出没と対策の現状」(主催:日本クマネットワーク、公益法人東京動物園教会)に参加してまいりました。詳細 http://bit.ly/gWKbkO

2011-02-14 13:05:11
有限会社アウトバック @outback_bear

講演1 『クマの出没は全国で一律に起こっていた訳ではない』山﨑晃司(茨城県自然博物館):2010年に何が起こったのか?全国規模での判断指数は?捕獲数=出没数と仮定すると、全国と地域では傾向が異なる。出没には地域による同調、時期のズレ...全国を一律で論ずることなく。

2011-02-14 13:12:51
有限会社アウトバック @outback_bear

講演2『近畿地方での未曾有の大量出没』片山敦司(株式会社野生動物保護管理事務所)民間企業の野生動物保護管理事務所(WMO)は、行政から野生動物の調査、研究、熊の移動放獣作業などを請け負っている。昨年は300頭ほどの熊の放獣作業した。近畿北部地方で未曾有の出没があった。1/2

2011-02-14 13:16:39
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ツキノワグマ出没数急増の時期が、過去の大量出没年(2004,2006など)よりも早く訪れた。大量出没の主な原因は、(出没のピークが夏と秋に見られたことにより)初夏の餌不足、堅果類の凶作。保護管理の充実により生息数が回復しつつあるかもしれない。2/2

2011-02-14 13:20:53
有限会社アウトバック @outback_bear

講演3『福井県での出没と堅果豊凶の関係』 水谷瑞希(福井県自然保護センター):福井県での出没とケンカ類の豊凶。2004大量出没(主に日本海側)を契機に堅果類(ブナ、ミズナラ、コナラ、クリ)4種類の豊凶調査を実施。実施方法:8-9上旬に木を1本ごとに目視。1/2

2011-02-14 13:25:07
有限会社アウトバック @outback_bear

ブナ、ミズナラ揃って凶作の年(2006,2010)に大量出没が生じた。ブナに関しては森林面積以上に熊に与える影響が大きいのでは?コナラとクリは地点ごとに変動はあるが、県全体では変動が少ない。ブナは地点間の変動が同調している。ミズナラは極端な変動は無いが、同調した年がある。2/3

2011-02-14 13:33:46
有限会社アウトバック @outback_bear

ブナ、ミズナラは福井県全体で豊凶がよく同調→ブナ、ミズナラの結実不良は奥山の餌不足を招く。福井県では熊出没頻度に左右する。モニタリング調査の蓄積が必要。なお、北陸地域の広域的な堅果類の同調が見られた。ブナとミズナラの結実不良年に、広域的な熊の大量出没が見られた。3/3

2011-02-14 13:36:10
有限会社アウトバック @outback_bear

講演4『長野県における地域的な大量出没とその対応』 岸元良輔(長野県自然保護研究所):2006年、2010年熊大量出没があった。2006年580頭、2010年354頭(11月末暫定値)捕殺された。2002年以降は、特定鳥獣保護管理計画により年間捕獲数を150頭以内に(※)

2011-02-14 13:41:51
有限会社アウトバック @outback_bear

(※)抑える自主規制が行われてきたが、2006年、2010年は守られなかった。ここ十年ぐらい人身被害が増えている。2010年はクマが人家付近まで出没した年だった。夏場に極端な餌不足があり、秋には堅果類の凶作だったので、ピークがふたつあった。(※)

2011-02-14 13:44:08
有限会社アウトバック @outback_bear

(※)2010年は地域的なケンカ類の凶作があった。トピック、長野県は地蜂を食べる風習がある。 2006,2010はジバチの収穫が悪かったという記事が新聞に載った。夏場にハチ、アリの出が少ない年に、熊の出没が重なる。熊の生息ラインが下がってきている。県内4箇所に保護対策員配置 委託

2011-02-14 13:51:59
有限会社アウトバック @outback_bear

講演5『クマ出没情報の地域住民との共有』 野崎英吉(石川県自然保護課):2004年秋、ブナ、ミズナラ、コナラ3種類の堅果類が一斉に不作、それが原因で、富山県から山口県に至る日本海側各地で多数のツキノワグマが出没した。石川県では未曾有の1000件以上の出没、161頭の捕獲..(※)

2011-02-14 13:57:44
有限会社アウトバック @outback_bear

(※)33件43人が重軽傷を負い、富山県では2名死亡。住民の安心と安全を確保することは行政の最重要な役割。その一方、野生動物がトラブルを起こさず、人と適当な距離を置き、適切に管理することも行政のもう一つの役割である。石川県ではクマ事故防止のパンフレットを作成、県民に配布。(※)

2011-02-14 14:02:34
有限会社アウトバック @outback_bear

(※)大量出没の後、対策として生息数調査、堅果類の豊凶調査、熊目撃情報の収集と県のHPにアップ(情報公開)、収集したそれらのデータを元に、熊の出没予測を行い、状況に応じて注意情報や警戒情報を発令。出没対応マニュアルの作成。2005年から毎年シンポジウムを開催。(※)

2011-02-14 14:09:11
有限会社アウトバック @outback_bear

(※)2010年に石川県は3度目の熊大量出没が起きた。2010年の出没規模は2006年並。2006よりも市街地に近づいている。都市近郊での人身被害が増えた。熊が市街地周辺の里山に定着しているようだ。大量出没年以外でも人身事故の多発の可能性。里山→バッファゾーン化の必要性。

2011-02-14 14:13:07
有限会社アウトバック @outback_bear

講演6 『放獣と報道(マスコミ)への情報提供』西 信介(鳥取県公園自然課): 鳥取県は熊を捕獲しても、学習放獣が原則。初回の捕獲個体はマイクロチップなど、標識を付けて放獣、有害捕獲で2度目に捕獲個体を殺処分し、学習法獣を推進している。(※)

2011-02-14 14:30:45
有限会社アウトバック @outback_bear

(※)2010年はのべ134頭が捕獲され、40頭を殺処分、94頭を放獣。放獣作業は危険を伴うので、捕獲場所に報道関係が表れる場合以外は、情報を公開し現地取材を受けなかった。2010年8月の鳥取県初の死亡事故が起きて以後は、報道機関からの情報提供の要望が高まった。(※)

2011-02-14 14:33:48
有限会社アウトバック @outback_bear

(※)熊が捕獲された場合、原則的に放獣・殺処分前に報道機関へ情報提供を実施。捕獲現場では県の職員が報道機関に対応するようになったが、様々な弊害が起きている。報道により担当部署への問い合わせ増加、担当職員(専従2名)への負担増加。業務に支障を来している。(※)

2011-02-14 14:38:22
有限会社アウトバック @outback_bear

(※)問い合わせは(放獣や殺処分に対する)批判が多い。住民や県内在住者は放獣について批判が多い。県外在住者は熊捕殺に対しての批判が主。捕殺が増加してから、県外在住者からの給仕の要望が増えた。その対応は今も続いていて、担当者の負担は大きい。

2011-02-14 14:42:45
有限会社アウトバック @outback_bear

講演7 『長野県におけるツキノワグマの保護管理システム』佐藤繁(長野県下伊那地方事務所):長野県におけるツキノワグマなど野生動物の保護管理システム、生鳥獣との緊張感のある棲み分けと、野生鳥獣に負けない集落作りを目指している。(※)

2011-02-14 14:45:27
有限会社アウトバック @outback_bear

(※)他県で行っているような(熊の)捕獲規制は行わない。狩猟は止めていない。狩猟者がいなくなる方が怖い。野生鳥獣被害対策本部を設置(農業試験場 農政部も含む)、副知事が本部長。長野県の野生鳥獣被害、観光客にも理解、協力が必要。信州大学 初任者研修を委託。(※)

2011-02-14 14:47:25
有限会社アウトバック @outback_bear

(※)長野県はほぼ全域が野生動物の生息地で、クマ、シカ、サル、イノシシなどの被害発生している。野生動物対策、集落周辺に野生動物がいつきにくい環境を造る。現場で住民と会話しながら指導するのが大切。現場対応、人身被害は現地で現場の調査。野生鳥獣に負けない集落作りを推進する。

2011-02-14 14:50:34
有限会社アウトバック @outback_bear

2月11日東京都恩賜上野動物園 動物園ホールで開かれた、シンポジウム「日本のクマを考え繰り返されるクマ出没・私たちは何を学んできたのか?2010年の出没と対策の現状」は、7人の講演終了後、総合討論『クマ地域集団ごとでの広域管理に向けて』が行われ、終了。定員オーバーの盛況でした。

2011-02-14 14:53:57