ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ 【トランスジェネシス】

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NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
第3部最終章「ニンジャスレイヤー・ネヴァーダイズ」より
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電子の海の揺れる海面、仰向けに浮き上がったシルバーキーに、海賊帽のニンジャが手を差し伸べた。「生きておったか。驚いた」「死なねえよ」シルバーキーは小舟に引き上げられ、01ノイズを撒き散らした。「帰るって決めたんだから」「見ろ。キンカクはあの位置で留まった」コルセアは指差した。
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「カツ・ワンソーめ。さぞかし悔しかろ…」コルセアは口を押さえる。ZGGN……キンカクが鳴動したようだった。「ヒヒ、口は災いのもと」「インクィジターは?」「奴は……消えはしなかった。これからも多くの無謀者の命を奪うだろう。だが今はそんな力はあるまい。ドラゴン・ニンジャはようやった」
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「なら、今がチャンスだ」シルバーキーは舟の上で立ち上がった。「じゃあな。また会える時があれば……ンンッ」飛べずに訝しむシルバーキーをコルセアは細目で見た。「オイ。己自身を見よ」「……!」シルバーキーは自身を見下ろした。身体が砂粒と化したように、端から崩れ01のノイズとなってゆく。
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「くそッ……」「自我を保て」コルセアは厳かに言った。「さもなくばヤマトの二の舞、否、彼奴ほどの英雄性がお前にはなかろう。もっと悪ければ、拡散し果てて消え去るか……或いは……」「AAARGH……」シルバーキーは膝をついた。そのとき、舟べりに新たなアカウントが着地した。YCNAN。
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「彼のことは私が送り出すわ」YCNANは言った。「アンタは……フム」コルセアは目を眇め、彼女と、その肩越し、二人の女神を見た。シルバーキーは呻いた。「送り出すッて……アンタどうすンだ」YCNANは肩をすくめる。「残念だけど、私の肉体はツキジで既にフラットライン(脳死)している」
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「待て……じゃあ、アンタどうすンだ」「そうね。ネットワークを通じてなら、アイサツもできるし」YCNANは数電子秒の間思考し、答えた。「フラットラインした場所がツキジなのが気がかり」冗談めかして、「私の身体におかしな事をされないように気をつけてくれると、なんとなく心安らかね」
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「わかった。頼まれた」シルバーキーは拡散を押さえながら請けあった。「絶対に……」「可能ならでいいわ」「絶対にだ」「ええ。それじゃ、よろしく」ZMZMZM……YCNANの両隣に老婆と黒髪の女が出現した。「頼まれてくれる?私=サン」「今ならば出来なくはない」黒髪の女が答えた。
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3人のBabaYagaがシルバーキーに触れた。シルバーキーは強力な力で引き寄せられる感覚を味わう。コルセアが帽子を傾け、アイサツした。「またいずれ」「オタッシャデ!」シルバーキーはあわててアイサツした。「ナンシー=サン!これでサヨナラはしねえぞ」「当然よ」010100101011
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1001010101シルバーキーは翔んだ。眼下を、古代ニンジャ時代、平安時代、江戸時代の様々な営みが流れ去った。それはかつてマルノウチ・スゴイタカイビルの地下深く、銀の碑で体験した現象を彼に思い出させた。「あの時とは逆だな……」0101000101彼は着地した。人工の巨大空洞に。
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ドクン。途端に、肉の感覚が、重圧が、消耗の実感が彼を襲った。「オゴーッ!」彼は銀の碑の前で七転八倒した。巨大なトリイが彼を見下ろしていた。「シルバーキー!……俺はシルバーキー……」起き上がり、踏み出す。一歩、二歩。銀の飛沫が血めいて足元に溢れたが、歩くうち、それは止まった。
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彼はニューロンと世界の深い繋がりが断たれたのを感じる。彼は困惑し、手のひらを見た。ニンジャとしての感覚は確かに残っている。だが、ずっと穏やかだ。「きっとこれでいいんだ」彼は呟いた。それから、ハッとして岩の天井を見上げた。そのずっと上を。今の彼にも、強烈なニンジャ存在感は明らかだ。
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「まさか……なんてものじゃねェ」シルバーキーは走り出した。「決まってる」すぐに息が上がった。己に喝を入れ、それでも急いだ。「決まりきってるんだ……!」エレベーターに乗り込み、最上階ボタンを押す。幸い、動いた。「緊急用電源」の表示が液晶パネルを流れた。ゴゴウン……。
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到着したエレベーターから滑り出、非常階段を探し、駆け上がる……「イヤーッ!」回転ジャンプでエントリーした先、まず目に入ったのは白み始めたネオサイタマの遠景。そして四隅を囲むシャチホコ・ガーゴイル。外周部に立ち、取り囲む……ナムサン……!ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ達。
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そして中央で睨み合う二者。「ニ……」シルバーキーは叫びかけ、凍りつく。乱してはならぬと感じた。ニンジャスレイヤーとダークニンジャはオジギを行っている。屋上階段の付近に位置していたスパルトイが殺気に満ちた目で睨み、武器に手をかけた。それを遮るようにユカノがシルバーキーの側に立った。
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ユカノはシルバーキーに目配せし、それからニンジャスレイヤーを見た。ニンジャスレイヤーは確かに彼女に視線を返した。ユカノは厳しい顔で頷いた。(戦うのです、フジキド。斃れてはなりません。どうにか……どうにか打ち破ってみせなさい……!)
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キョート城を、己の存在を守る為、ダークニンジャとシャドーギルドがアマクダリと戦う事は規定の流れだった。その果てに、ダークニンジャがニンジャスレイヤーを仕留めにかかるであろうことも予見できた。この二つの行動は分かち難い。だが、ユカノはフジキド・ケンジのカラテを信じ、最善を尽くした。
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今の彼女にできるのはせめて、取り囲むギルドのニンジャが何らかの卑劣な手口に出た時、口火を切って乱戦に持ち込み、死に物狂いで戦う事だった。だが、タタミ4枚距離のダークニンジャと対峙し、互いにオジギして頭を下げながら、むしろニンジャスレイヤーのニューロンは澄み渡っていた。
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やはりダークニンジャは生きていたか。倒すべき敵。妻子を直接に手にかけた男。包囲するのはザイバツのニンジャ。キョートでのイクサを経てその戦力を吞み込み、己のものとしたか。いかにしてか彼らはこの世から存在を消していた。今はわかる。キョート城が空に浮いている。
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(((全て殺せ。フジキド)))ナラクの思念がニューロンを焼き焦がす。この屋上を取り囲む有象無象のザイバツ戦士ども。雄々しく振舞ってはいるが、そのほとんどが激しいイクサで消耗し、なかには気を張らねば力失せて今にも転落しそうな者も少なくない。初手はヘルタツマキ。ナラクが示唆する。
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(黙れナラク!)オジギから頭を上げ、ダークニンジャを、仇を見据えた。これは一騎打ちの決闘だ。重要な礼儀作法であり、それ以上の思惑も恐らく敵にはある。ギルドのニンジャが横槍を入れる気配は無い。ダークニンジャはほぼ無傷。だが存在の根幹に内包している重い揺らぎを、彼は看破した。
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付け入る隙は必ずある。必ずだ。(((オヌシは立っているのもやっとだ。ゆえに)))ナラク・ニンジャの思念が熱い血流と化し、彼の身体を駆け巡った。フジキドにそれを止める力はもはやなかった。(((儂の力を喰らうがいい)))パリパリと音を立てて、黒く焦げた装束が内なる炎に燃え始めた。
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装束は燃え、生まれ、再び燃えた。それはナラクの炎だ。しかしフジキドの意識が、自我が、呑まれる事はなかった。流れ去る事はなかった。ただならぬアトモスフィアに狂ったか、数百の鴉が畏れをなし、屋上四方のガーゴイルから一斉に飛び立った。それを合図に、両者は動いた。「「イヤーッ!」」
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