Rickyさんによる、ディジョン派の解説。

サーキットセオリーから得れるインプリケーションは、世界を一つの国家と見做すと政府の財政赤字支出が存在しなければ民間部門(企業、家計)の利潤と純貯蓄が発生しないということ。
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wankonyankoricky @wankonyankorick

ちょっとだけ、ディジョン派の説明。一番単純なモデルで、銀行部門と企業部門と家計部門しか存在しない。最初、銀行部門が企業部門に資金を貸す。銀行部門は100の貸付金(資産)と100の預金(負債)を得る。企業部門は100の預金(資産)と100の借入金(負債)を持つ。どちらも

2016-08-10 15:47:14
wankonyankoricky @wankonyankorick

等しい資産と負債の増加。どちらも資金余剰でも資金不足でもない。これは経済的に意味のない取引。企業は、この金で、労務者を雇い、地代を支払う。全額使うと企業部門の手許に残るのは資産として製品が100借入金100、家計部門は預金(資産)が100、純資産(繰越所得)が100、

2016-08-10 15:49:54
wankonyankoricky @wankonyankorick

銀行部門は貸付金(企業)が100、預金(家計)が100。この段階で、家計は資金余剰主体であり、貯蓄主体。企業は資金不足主体で、棚卸資産へ投資がされている。つまり、家計が「貯蓄」をするのは、企業から賃金を受け取った時で、何も銀行に預金したりしたときではない。各家計や企業の主体的

2016-08-10 15:51:55
wankonyankoricky @wankonyankorick

(=主観的)行動と、マクロ経済的な意味はまったく別。企業は賃金を支払うことで貯蓄を投資源泉として得る。

2016-08-10 15:52:38
wankonyankoricky @wankonyankorick

家計が100を全て支出して製品を購入すれば、企業部門は100の預金を得て、それで銀行部門へ返済する。(金利は無視。経営者の報酬は、賃金や地代と一緒に先に支払われている。)この場合、貯蓄残高はゼロになる。

2016-08-10 15:54:10
wankonyankoricky @wankonyankorick

もし、家計が50しか支出しなければ、製品も50残る。企業部門は、この50の製品を投資に使うことが出来る。もし、企業が資本財として生産したものが50で、家計が消費しなかった分(=マクロ経済学の貯蓄)が50なら、意図した投資と意図した貯蓄が一致して、インフレにもデフレにもならない。

2016-08-10 15:56:33
wankonyankoricky @wankonyankorick

教科書のマクロ経済学のIS一致というのは、まあ、実物体系の中で考えているから、家計は実物で賃金を受け取り、その実物の中から自分が消費しなかったものを企業に預ける、と考えればいい。ところが貨幣経済学では、実際には貯蓄が行われるのは賃金が支払われるとき。まあ、より厳密に言えば

2016-08-10 15:58:00
wankonyankoricky @wankonyankorick

労働者が現場で働く一分一秒ごとに未払賃金が累積してゆき、それによって企業部門は「ファイナンス」されていることになる。実際、「未払賃金」は技術的な理由で月に1回しか計上されないが、本当は瞬間瞬間に企業の負債となっているわけで、同時にその分棚卸資産が計上されている。

2016-08-10 16:01:55
wankonyankoricky @wankonyankorick

ところが経済学者というのは、わざわざ家計が所得を受け取ると、その一部で金融資産を購入するまで貯蓄は行われない、みたいなイメージを植え付けてしまっている。勿論、すべての主流派教科書がそういうわけじゃなくて、少なくとも昔の教科書には、タンス預金であろうとなんだろうと、支出されなければ

2016-08-10 16:03:34
wankonyankoricky @wankonyankorick

全ては貯蓄で、それによって投資はファイナンスされているんだ、ということがしっかり書かれていた。これは実質的に、家計は企業から所得を受け取るときすでに貯蓄をし、企業にファイナンスをしているんだ、ということなんで。そして消費というのはそれを破壊する行為だ、と。預金が企業の手許に戻る、

2016-08-10 16:07:42
wankonyankoricky @wankonyankorick

ということと、製品が家計の手許に行って消費(破壊)される、と二つの意味で、ファイナンスが終了する、ということ。この単純なモデルでは、企業が銀行から借入をすることでファイナンスを受けている、というのは幻想にすぎず、実際には家計に賃金を支払うことで家計からファイナンスを受ける。

2016-08-10 16:11:08
API @API0612

カレツキと同じ考え方だな。ディジョン派。

2016-08-10 16:28:45
wankonyankoricky @wankonyankorick

カレツキの影響が強いのはむしろパリ派。。。。で、その総帥のアラン・パルゲは今ではMMTer になってしまった、みたいな。。。。

2016-08-10 16:35:17
wankonyankoricky @wankonyankorick

ディジョン派は、カレツキの様に「労務者は得たものを支出し、資本家は支出したものを得る」という話にはならない。投資=資本家利潤、ではなく、事後的貯蓄=事後的投資、なので、貨幣論段階のケインズ理論。

2016-08-10 16:52:13
wankonyankoricky @wankonyankorick

ディジョン派だと、政府赤字は1セントでもインフレなんだよな。。実際に物価が上昇するかどうかは関係なくって。純貯蓄‐民間粗投資を超えるだけ政府赤字が大きくなれば物価は上昇するだろうけれど、それはただの現象面の話であって、本質的には生産に結びつかない貨幣発行が行われるとインフレ。

2016-08-11 08:37:01
wankonyankoricky @wankonyankorick

ディジョン派の話、強調するの忘れていたけれど、昨日の単純なモデルは、実際にそんなことが行われている、という話ではない。単にその場合はインフレもデフレもなく、雇用も賃金も変化せず、蓄積もしない、というもっとも単純な参照系。実際にああしたことが行われている、と彼らが考えていると

2016-08-11 09:00:50
wankonyankoricky @wankonyankorick

受け止められては困るが、ただ、その単純なモデルからも示唆するものがある、というだけの話。昨日の貯蓄の話の場合、貨幣が価値を持つのは、生産活動を通じて貨幣が生み出されたことによって生産物と貨幣が結びついている(ファイナンスしている)からだ、ということ。

2016-08-11 09:03:05
wankonyankoricky @wankonyankorick

ディジョン派だと、貨幣がなぜ価値を持つかの構造的因果関係はすっきり見通せるけれど、なぜそのような構造が維持・再生産されるのかはよくわからない。

2016-08-11 09:05:20
wankonyankoricky @wankonyankorick

逆に、ディジョン派の方がMMTよりは債務(貨幣)のヒエラルキー構造を理解しやすい。

2016-08-11 09:07:35
wankonyankoricky @wankonyankorick

ただ、ディジョン派に限らずCT派はみんな「誰も自分自身の債務で自分自身の決済をすることはできない」というスタンスだから、債務ヒエラルキーの頂点の性格(結局、ヒエラルキーそのものの性格)がMMTとは全く異なったものになる。

2016-08-11 09:12:36

2018年7月20日 追加

wankonyankoricky @wankonyankorick

@KF0612 CT派が考えているのは構造的関係。企業が銀行から貨幣を借りてきて、それをすべて使って従業員に賃金給与を支払い、従業員が受け取った賃金給与をすべて使って企業の生産した製品をすべて買い取れば、企業は銀行に借りた資金をすべて返済できることになる。ただしこれでは経営者報酬を上回る利潤も

2018-07-20 08:41:23
wankonyankoricky @wankonyankorick

@KF0612 払えないし、銀行に金利手数料も払えないし、税金も払えない。もし銀行が金利手数料を取るとしたら、そのすべてが銀行の従業員に給料として支払われ、その給料がすべて企業の生産した商品の購入に向かうことになる。こうすれば、企業の製品は過不足なく売れ、銀行に金利を支払うこともできる。もし

2018-07-20 08:43:02
wankonyankoricky @wankonyankorick

@KF0612 政府部門を追加するなら、政府が徴税分をすべて公務員に給料として支払いそれがすべて消費支出されるか、政府が直接企業部門の製品を購入する。この政府支出と政府の収入が一致していれば、企業部門の製品は過不足なく売れ、租税も金利も支払うことができる。さらに家計が受け取った貨幣の一部を

2018-07-20 08:44:41
wankonyankoricky @wankonyankorick

@KF0612 貯蓄し、それがちょうど企業の投資額と等しければ、ちょうど企業部門で生産した製品はすべて売れ、インフレもデフレも生じない。要は、銀行貨幣によって取引が媒介される貨幣経済にはこうした構造がある、ということであって、実際にこうした貨幣の流通が過不足なく起こる内在的メカニズムがあると

2018-07-20 08:46:12