【ヴァルプルギスの華燭】一日目夜

晩餐、交流フェイズ
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《ヴァルプルギスの華燭》管理アカウント @walpurgis_marry

祝福を、祝杯を。 力を持つ者らに幸いを。 真であれ偽であれ、その晩餐に得るものはあるだろう。 掴むも掴まぬも意志一つによるものなれど。 祈ろう。その出会いに悦びあれ、と。 #ヴァル華

2016-08-06 20:00:00
マリア・ガルシア @ro_akiyui

——目を開ける。目を覚ます。己の両手を持ち上げる。握り締める。感覚がある。意識がある。身体がある。命がある。 ——生きている。 手を下ろして辺りを見回す。部屋だ。何処か分からないが、此処は部屋であるらしい。身体を起こす。己の尾を見る。

2016-08-06 20:33:16
マリア・ガルシア @ro_akiyui

ベッドの上からはみ出したそれは、動くには少し邪魔に思えた。尾を足に変える。足を床につける。柔らかな布の感触は絨毯だった。 寝乱れた服を正し、さて、と部屋の扉に手をかける。警戒する気持ちは無いでも無いが、何かあったらその時はその時だと思う自信と傲慢があった。

2016-08-06 20:33:27
マリア・ガルシア @ro_akiyui

部屋を出る。出てすぐ、生き物ではない何かを見た。人の形はしているが、生きている気配が無い。人に従う者の格好をしたそれに、状況を尋ねる。返る答えと、短く「大広間へ」と促す言葉に頷き、マリアは人形の後に続いた。

2016-08-06 20:33:39
マリア・ガルシア @ro_akiyui

長い廊下を歩く。人形が大きな扉の前で止まり、それを開く。 「皆さん、もう集まってるのでしょうか」 一つ呟き、マリアは大広間に足を踏み入れた。

2016-08-06 20:33:47
ジタ・トリウィア @walp_zi

部屋の一角に、それ、血溜まりはあった。夜。暗闇の中で、それは月を映していた。赤黒い中に浮かぶ、白い月。それは、ゆっくりと盛り上がり——。 「……よ、る……?」 ジタ・トリウィアは目を覚ました。血溜まりの中、彼は眠りに微睡むようにゆらゆらと頭を揺らし、目を瞬く。無垢な子供のよに。

2016-08-06 20:37:15
ジタ・トリウィア @walp_zi

そうしてゆっくりと彼は思い出す。自らの最期を。自らの受け入れた結末を。今までの中で最も甘美で、最も至福だったひとときを。——そうして、大きい白蛇、マリアの存在を。 「俺が生きてるってことは生きてるよな」 姿を思い出し、頬を緩ませた。ずるずると立ち上がるジタに血が纏わり付いていく。

2016-08-06 20:37:27
ジタ・トリウィア @walp_zi

その血はやがて、黒い法衣のようになり、彼の裸体を隠すだろう。少なくとも、充てがわれた部屋を出るまでには。 「夜は交流会、だっけ……。まあ、喧しくないといいな……」 纏わり付く血の動きも気にすることなく、彼は溜息を吐き、扉へと向かう。喧騒よりは静寂を好んでいる自覚はあった。

2016-08-06 20:37:37
ジタ・トリウィア @walp_zi

しかし、交流会だ。何人いるかは知らない(手紙に明記されていたとしても覚えてない)が、交流するのであれば。言葉を交わすのであれば。そこが静寂であるはずがない。それはジタも覚悟していた。故に、彼の足取りは重い。 「……血が騒いだらやだな」 そっと体を撫で、彼は廊下を歩み出した。

2016-08-06 20:37:44
アルティメット @ultbeelz

先ず感じたのは柔らかさ。マシュマロのような何かに沈み込む感触と、外気の吹かない静謐とした空間。 肌を撫でる冷たさや暑さもなく、快適な場所であることが瞼を閉じているこの状態でも認識できる。 文化的な生活に触れて久しいが、これは確かベッドという寝具である。

2016-08-06 21:14:04
アルティメット @ultbeelz

「可笑しいな。吾(わたし)は死んだはずだったが」 この場にはいない蜘蛛(じぶん)との"糸"も繋がれており、屋敷のどこかにいるらしい。互いに『生きている』のだと実感する。 ベッドから体を起こして伸びをする。緩められたローブを着直して、フードを被る。鏡の前でチェックをする。

2016-08-06 21:15:02
アルティメット @ultbeelz

――よし、『人』として可笑しなところはない。 暴食を極めた不埒な輩よりも、この場は疑似餌たる装飾の役目である。 人として久しく『扉を開く』行動に移し、案内に沿って廊下を歩く。 窓から見える光景はここに来るまでの道中を想起させる。扉を潜った直後から今までの流れは偽りではないだろう。

2016-08-06 21:15:50
アルティメット @ultbeelz

やがてたどり着いたのは示された終着地点。いざ扉を開くか、と思った矢先。 「……参加者の一人かしら。ほの暗い雰囲気が窺える」 その身すべてを覆う黒きモノ。夜の種族を見受けるモノが廊下を歩いてきていた。 躍動する緋色に奇異と興味の視線を不躾にも投げかけながら、開く扉に視線をやった。

2016-08-06 21:16:52
アルティメット @ultbeelz

「どうにも先客がいたらしい」 立ち話に花を咲かせる必要もない。肩を竦めて扉の中へと入っていった。

2016-08-06 21:17:44
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

ぴこ、と獣の耳が揺れて、閉じていた瞼の下から金茶の眼が現れるのはすぐだった。 頭を上げ、きょろきょろと周囲の様子を伺う。見慣れない場所だ。先ほどまでいた森ではない。森はこんなに区切られてはいない。はて、と首を傾げながら彼は立ち上がり、 「ピギョァッ!??」 悲鳴を上げた。

2016-08-06 21:49:59
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

…彼は森(、その成れの果て)で暮らしていた。この屋敷へとくる道中だってヒトと街を見かけることはあれど街中を歩いたりなどは近寄ることはほぼなかったし、ましてやヒトの家の中までは入ったりしなかった。この屋敷ほど立派な家もありはしなかったので、つまり、絨毯には縁がさっぱりなかったのだ。

2016-08-06 21:51:05
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

そういう理由で、よく親しんだ土や草とは違う柔らかさとふわふわとした感触を伝えてくるそれに驚いて悲鳴をあげたのだ。絨毯という名称すら彼はまだ知らない。 それから暫くおそるおそる絨毯を踏み、少し歩き回ってみて、驚いたけれどこれは中々良いものである、とでも言いたげにふむふむ頷いた。

2016-08-06 21:51:33
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

慣れたともいう。 彼は改めて周囲の様子を伺った。四方を囲まれている。うち一方は屋敷に入った時に扱ったものと似たようなでっぱりがあったので、先ほどの森のように多分どこかに繋がっているのだろう。 …先ほどの森。最後の辺りの記憶がどうもぼんやりしている。

2016-08-06 21:52:12
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

蜘蛛と共に落ちた前後くらいまでは覚えがあるのだが。首をひねって、ひねったところで頭のバランスの悪さに気付いた。左右で角の大きさが違う。片方を伸ばしたままであった。このままだと少々邪魔、と判断。角が柔らかな絨毯の上に重い音を立てて落ちて、その後すぐに揃って程々の長さへと落ち着いた。

2016-08-06 21:53:04
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

若木の育つのを早回しにしたような伸び方だった。 自分の身体ほどの長さのある角を拾い上げて手遊びながら、彼はとりあえずここから出ることにした。でっぱりを引っ張ってみたけど何も起きなかったので押してみたら開いたのでそこから出る。出て、すぐそばにヒトがいることに気づいたけど、

2016-08-06 21:53:54
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

ただのヒトではないと気づくのも同時だった。 ヒトガタだけれど顔のないそれに彼は首を傾げながら、 「…案内を頼めるじゃろうか?」 多分ヒトの中にはこんなのもいるんだろうな、とざっくりした納得をして話しかけた。 先行するヒトガタを見失わない程度に周囲を見回しながら進んで、

2016-08-06 21:55:16
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

彼は大広間へ辿り着いた。大広間です、と案内したヒトガタが言ったのでなるほどここが大広間か、と頷いたくらいの把握である。大広間には先客が数名。 「…アルティメット、じゃったかのう?」 先ほどの蜘蛛と共にいた白い女もいたので、ぽつりと呟いた。

2016-08-06 21:55:30
くちなわ @cuchinawa

くちなわは大広間で酒を飲んでいた。 死ねば何時も500年単位で微睡むのだが、今回の覚醒は素晴らしく早かった。が、舌を触るアルコールが旨いので気にしないのである。 しかしこの酒、飲んでも飲んでも出てくるのだが、もしや無限に尽きぬのではないか。 「最高か…?」 気分が更に2上がった。

2016-08-06 21:23:57
くちなわ @cuchinawa

酒の肴もまた善い。燻された豚の薄切りは白い洋酒で頂戴する。果物も一緒に食べれば複雑な味が口の中で快楽信号となり脳に幸福を届けてくれる。 「吁…」 人影が見えた。 「汝も宴の客なるや」 酒杯を掲げて、席へと誘う。

2016-08-06 21:33:46
マリア・ガルシア @ro_akiyui

大広間に入り、室内を見回した。そこはマリアにはあまり縁の無い、豪奢な装飾の部屋であった。 「ええ、おそらくは貴女と同じく、招かれた者でしょう」 かけられた声に、足を揃えて軽くお辞儀をしてから近付く。

2016-08-06 23:15:42
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