8月14日　三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

今日は。 日露戦争・蔚山沖海戦(1904)の日です。 上村提督、ついに雪辱なる。 #三笠の昔話

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旅順を抜け出してウラジオストクに脱出しようとした露・太平洋艦隊との合流を目指した露・ウラジオ艦隊の3隻を、上村提督率いる第二艦隊がついに捕捉。 巡洋艦リューリュクちゃんを撃沈、残る2隻にも損害を与え、ついに汚名を晴らした海戦でした。 #三笠の昔話

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ウラジオ艦隊は俊足の巡洋艦3隻を軸に、太平洋から日本海を荒らしまわり、常陸丸を始め多くの輸送船を拿捕・撃沈。 その撃滅の任に当たっていた第二艦隊司令・上村提督は、上がらぬ戦果を国中から批判され苦渋の毎日を送っていました。 #三笠の昔話

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しかし黄海海戦で旅順の艦隊が出てきたことで、当然ウラジオ艦隊もなんらかの動きをすることが予想されました。 そして黄海海戦後、朝鮮半島近海で哨戒に当たっていた第二艦隊の前に、ついに宿敵・ウラジオ艦隊がその姿を現したのです。 #三笠の昔話

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一方のウラジオ艦隊。 旅順の主力が出撃したとの報を受け、日本海で支援・合流すべくウラジオストクを出撃するも、わずか数時間後、黄海海戦で艦隊が敗れたとの報が港に届きました。 しかし無線を持たなかったウラジオ艦隊にそれを報せる術は無く、艦隊は日本海をそのまま南下。 #三笠の昔話

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蔚山沖を南下するウラジオ艦隊に、近海側を哨戒していた第二艦隊が追いつく形で遭遇。 加えて、「敵艦見ユ」の報を受け急遽北上してきた巡洋艦・浪速ちゃんを南方に見たウラジオ艦隊は逃走を断念、勝負に出ました。 #三笠の昔話

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彼我の戦力です。 日本・第二艦隊 第二戦隊：装甲巡出雲（旗艦）、磐手、常陸、吾妻 第四戦隊：防護巡浪速、高千穂、明石、新高 ウラジオ艦隊： 装甲巡ロシア、グロムボイ、リューリュク 装甲巡が重巡、防護巡が軽巡ぐらいの感じ。（もちろん正確ではありません） #三笠の昔話

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ジグザグ運動しながら活路を探すウラジオ艦隊と、その退路を断つべく運動する第二艦隊。8千メートルほどの距離をあけての激しい撃ちあいになりました。 殿艦のリューリュクちゃんには砲撃が集中し、2回目の回頭ではついに脱落。 #三笠の昔話

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一旦は脱落したリューリュクちゃんを守るように回頭したロシアちゃん、グロムボイちゃんでしたが、リューリュクちゃんは既に救いがたく、イェッセン提督はやむなく2艦での逃走を決断。 上村提督も、瀕死のリューリュクちゃんの始末は第四戦隊に任せ、第二戦隊を率いてこれを追撃。 #三笠の昔話

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同航戦で激しく撃ち合いながら北上する両軍でしたが、ここで日本軍が弾切れ。 余りの騒音で声では伝わらず、参謀が「ワレ残弾ナシ」と書いた黒板を上村提督に見せたところ、上村提督は凄まじい形相で黒板を奪い取り、甲板に叩きつけて何度も踏みつけた、という逸話が残っています。 #三笠の昔話

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先日ご紹介したように、上村提督は激しい気性の方でしたし、加えて、この半年での家族も巻き込んでの忍耐の日々を思えば、ここまできて敵を取り逃がすとは！！！という思いがあふれて激昂したのも無理はありません。 ウラジオ艦隊の2艦は損害をうけつつも、辛うじて帰港。 #三笠の昔話

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戻ってきた第二戦隊の前には、瀕死ながらも必死に抵抗するリューリュクちゃん。持てる弾・水雷全てを撃ちつくした後、リューリュクちゃんは自ら海底にその身体を沈めました。 そして、水面に漂うリューリュク乗組員たち・・・・ #三笠の昔話

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ここで、出雲ちゃん乗組員は、信じられない上村提督の命令を聞きました。 「敵ながら天晴れな戦いぶりだった。彼らを助けてやれ、丁重に扱えよ」 「残弾ナシ」で激昂し周囲がドン引きするほどの形相とは打って変わった、穏やかな顔だったといわれています。 #三笠の昔話

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この逸話は世界中に広められ、日清戦争で敵将・丁汝昌提督を労わった伊東提督とともに、将官の鑑として言い伝えられることになりました。 また、その武勲は唱歌となり、永らく歌い継がれました。もっとも、上村提督ご自身はその歌は嫌いだったそうですが。 #三笠の昔話

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こちらがその歌。（1：20以降） どうやら一番の歌詞のようですが、これは確かに本人が聞いたらさぞかし嫌な思いをするでしょうね・・・・・ youtube.com/watch?v=v298R7… #三笠の昔話

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こちらは末尾かな。 「蔚山沖の雲晴れて 勝ち誇りたる追撃に 艦隊勇み帰る時 身を沈め行くリューリック 恨みは深き敵なれど 捨てなば死せん彼等なり 英雄の腸ちぎれけん 救助と君は叫びけり　折しも起る軍楽の 響きと共に永久に 高きは君の功なり 匂うは君の誉れなり」 #三笠の昔話

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なんとか母港に帰還したロシアちゃん、グロムボイちゃんも損傷が激しく、ウラジオストクでは修理が進まず以降ほぼ出撃できなかったため、後日の宗谷沖海戦で残党のノヴィークちゃんを撃滅したところを以って、日本は事実上日本近海から黄海にかけての制海権を獲得しました。 #三笠の昔話

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海戦に敗れ、ウラジオストクで乗組員総出の応急処置を行う旗艦ロシアちゃん。しかし終戦まで再び稼働することはできませんでした。 upload.wikimedia.org/wikipedia/comm… pic.twitter.com/9NvHtN5pQr

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と、ここまでが日露戦争のお話なのですが・・・・ 上村提督の歌には、後日譚があります。 #三笠の昔話

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上村提督の歌「上村将軍」は、その後も軍歌として日本中で歌われていました。 そして、その歌を子守唄代わりに育ったと言われる青年が一人。名前を工藤俊作といいました。 #三笠の昔話

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もうおわかりですね。 工藤艦長は、雷ちゃんの艦長としてスラバヤ沖海戦に参戦。後に語り継がれる敵兵救助を行いました。 その時の工藤艦長、「まるで上村提督の気分だね」と言ったとか、言わなかったとか。 #三笠の昔話

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近代戦以降、戦争は加速度的に苛烈さを増し、戦う将兵の人間性すら壊してしまうほどになっていきました。 銃器こそ無いとは言え、現代人の日々も戦いです。その苛烈さは日々いや増していくばかり。 でも、そんな中でも、上村提督たちのように、ブシドーを忘れずにいたいものですね。 おしまい

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リューリュクちゃん撃沈を描いた日本の絵葉書。 upload.wikimedia.org/wikipedia/comm… pic.twitter.com/zbXpPy27Ps

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