「敵の敵は友」－政治力学の基礎リテラシー

烏賀陽　弘道 @hirougaya

昨今は「世論」は新聞テレビなど旧型マスメディアよりはむしろネットによって形成されますので、為政者にとって誘導はよりは簡単であろうと思われます。

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安倍政権や自民党は、少なくとも対抗する野党、旧左翼、マスコミよりはるかにSNSはじめネットの使い方が上手です。真偽や善悪、正誤は別として、そうした社会不満層に味方しているという認識形成に成功しています。 @Thassa_block

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1)たとえば、現在の企業別労働組合は、正規社員の雇用維持ばかりに汲々としていて、現代日本で本当に労働者の権利侵害で苦しんでいる非正規雇用者を無視している、あるいは少なくとも味方、利害代理者として機能していません。

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2)そうした旧型労組を集票基盤とする民新党も、その既得権益を侵すようなことはしません。議員たちの身分が危うくなるからです。

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3)すると、そうした非正規雇用者は自分たちの苦境を改善するための代理機能を持つ組織が何もない、極めて不安で過酷な状態に追い込まれます。

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4)そうした非正規雇用層は日々の労働と生活の中で、そうした旧型労組、それに支持された政党、それに連なる市民運動の偽善を目撃あるいは体験しています。当然、彼らはその偽善に反発し、その対抗勢力に参加します。日々の生活で確信があるから強固な対抗勢力になるでしょう。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

5)そうした旧型労組、政党、旧左翼、市民運動、それを礼賛するマスコミが、実は現代日本のマジョリティであり最も過酷な状態に置かれている非正規雇用層の苦境に見て見ぬ振りをしていることは、彼らに激しい怒りを起こすでしょう。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

6)そうした怒りは旧型労組、政党、旧型左翼へのアンチ、反発としてその反対の極に流れ込みます。そして、自分たちを無視する旧型労組や市民運動組織に代わる社会へ自分たちの声なき声を届け流代理組織を作り始めました。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

7)そうした自分たちの「声なき声を社会に届ける代理機能」としてインターネット言論を彼らは見出しました。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

8)そうした層がいわゆるネトウヨのコアに部分にいます。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

9)よって、現在のネトウヨや「極右論調ブーム」は、自分たちの既得権益にしがみついている旧型労組や政党、そのしがらみに安住している市民運動やマスコミが産んだ「鬼っ子」なのだと私は理解しています。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

10)安倍晋三のような、自民党の歴史からすれば少数派に過ぎない極右論者が安定した支持を維持しているのは、こうした「対抗勢力の自滅によって生まれた」「たまたま自分と同じ勢力を敵視する有権者」を味方につけたからにすぎません。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

11)もっとありていに言えば、安倍晋三政権と与党の安定ぶりは、彼らが敵視する対抗勢力(旧型労組、それを基盤とする政党、それに連なる市民運動、礼賛するマスコミ)の自滅、敵失、オウンゴールによってもたらされた成果なのです。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

12)よって、そうしたマジョリティとしての非正規雇用層が敵視する対抗勢力(旧型労組、それを基盤とする政党、それに連なる市民運動、礼賛するマスコミ)がエキサイトし「反安倍」「反自民」を叫べば叫ぶほど、それを偽善視する彼らは安倍晋三政権や自民党を支持します。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

13)ですので、安倍晋三政権と非正規雇用層、ネット上の極右論者は、たまたま同じ勢力(旧型労組、それを基盤とする政党、それに連なる市民運動、礼賛するマスコミ)を共通の敵とする「敵の敵は友」的な偶発連合と考えるべきでしょう。

烏賀陽　弘道 @hirougaya

14)こうした安倍晋三政権と非正規雇用層、極右論者の「たまたま連合」は極めて安定しています。「旧型労組、それを基盤とする政党、それに連なる市民運動、礼賛するマスコミ、支持者」を除いてしまえば、彼らが現代日本のマジョリティだからです。