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城砦は天を殴るように#1 嵐が来る◆3

車が故障して立ち往生した次の朝、彼女は荒野にそびえる不思議な城を発見する。それを作ったのは変な魔法使い。理由を聞いても釈然としない。しかも、嵐の予感が……? 全50ツイート予定 最初↓ 続きを読む
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_城砦は天を殴るように#1 嵐が来る◆3
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「恐ろしい……帝国はこんな辺境にも軍事拠点を建設し、地方の反乱に目を光らせているのね」  話を盛り上げるのはレイシィがこの魔法使いにとって「面白い話し相手」と認識してもらうためだ。けれどもそんな彼女の努力とは裏腹に魔法使いはきょとんとするだけだ。 21
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「いや……別に。城を建てるのは僕の使命なだけで、仕事でも何でもないよ。国から金が出たらいいだろうなぁ」  レイシィは唖然として次なる言葉を探す。魔法使いはそんな彼女の焦りなどどこ吹く風で、饒舌に話を続けた。 22
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「金が無くても、あらゆるものは魔法で何とかできる。服も生活必需品も何でもさ。城を建てるのだって魔法でホイホイ。ただ、食料だけはどうにもならんね……食料は魔法で作れるけどさ、作れる養分はどうしても消費する養分より少なくなっちゃう。どうあがいても餓死」 23
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「だから、その辺の草やトカゲや虫とか……不味いけど養分のあるやつを魔法でごちそうに変えなくちゃね。もちろん人間が捕まえられれば最高。君みたいにね。大丈夫、チョコをくれたから約束は守るよ。帝国魔術法は言う。命は奪っても、財産は奪うことなかれ。紳士たれ、魔法使い」 24
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_苦笑いを浮かべて聞いているレイシィの頬に雨粒が落ちた。見上げると、遠くの空に雨雲が広がっており、その下は豪雨のカーテンだ。魔法使いは目をぎらつかせてそれを見る。 「野郎、きやがったね」 「何なの?」 「クラウドシルフだ。目を付けられているんだ」 25
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_魔法使いはシルフとの因縁を語ってくれた。彼の作る城が気流を乱すと言ってきて、片っ端から潰して回っているという。 「いやいや、気流乱しちゃダメなんじゃないの」  レイシィの疑問にも魔法使いは不満だらけだ。 26
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「クラウドシルフは雨を降らす、雷や、風を巻き起こす。それだけじゃない。帝都だって他の都市だって高層建築で気流を乱しているじゃないか。皆が皆、主張し合って生きているんだ。都市も、自然も、人もだ。それなのに僕が弱いから自重しろって? 無理だね!」 27
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_魔法使いはマントを翻し雨雲へと向かっていく。 「雨の中飛び込むつもり!? 濡れちゃうよ」 「濡れたから何になる! 誰も僕を止められないのさ。数え切れないほど作った城を破壊された……それでも僕はここにいる。だから止められないんだ!」 28
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「やめた方がいいと思うけどなぁ……」 「君は殴られたら、どうする?」  魔法使いは立ち止まって少しだけ振り返った。 「僕は殴られた。傷つけられた。プライドを踏みにじられた。それで終わりなんて嫌だ。殴り返してやる……ただ、拳を振り上げるのは野蛮だ」 29
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_そして、再び雨雲を見据える魔法使い。雨雲はあざ笑うかのような表情をその表面に波打たせる。  魔法使いは手のひらを掲げた。 「僕は怒りを城に変えて振りかざすんだ。怒りだ。怒りを美しい城に変えてぶつけるんだ。なぜならそれが紳士たる魔法使いだからだ!」 30
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_城砦は天を殴るように#1 嵐が来る(了) #2 荒野の向こうへ へつづく
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【用語解説】 【魔法の万能性】 魔法を高コストにするのは、魔法を作れるのが人間だけであり、膨大な時間がかかるためであり、つまりは人件費の高騰によるものである。もし時間を使える暇な魔法使いがいたら? 彼自身のためだけに魔法で何でも実現できてしまうだろう。ただ社会の役には立たない
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