掌小説語り~自作つぃのべる集30~

自作つぃのべるのまとめです。 2014年12月分
0
リュカ @ryuka511

「志ある者よ、我が元へ集え。」「あぁ、王よ!」魔王封印から数年。忘れられた魔物の存在だが、決して潰えた訳では無かった。力を蓄えた魔王は配下に集結を促す。封印の地に密かに集う魔物達。魔王の脅威を忘れ、平和な日々を謳歌する世界に暗黒が再び迫るのを、まだ誰も知らない。 #twnovel

2014-12-02 00:25:01
リュカ @ryuka511

冷たい月の元で泣いている人間の赤子を見つけ不憫に思い城へ連れ帰った。成長した彼に剣技を教える。みるみる頭角を表す彼を、新規軍の隊長に任命するつもりだった。だが彼は、我々を討つ為人間が送り込んだ刺客だと判明する。馬鹿な。仲間に汚れ仕事をさせる前に、人間共を滅ぼす。 #twnovel

2014-12-03 00:13:21
リュカ @ryuka511

世界が終わるという。周りは自暴自棄になったり変に悟って説教を垂れている。僕はといえば、部屋で一人好きな音楽をかけてコーヒーを飲んでいる。いつもの昼下がり、それは他愛もなく穏やかで愚かな時間。でも世界の終わりは何も特別な日じゃ無いから。 #世界もう滅ぼしたい協会 #twnovel

2014-12-03 23:06:51
リュカ @ryuka511

教会に担ぎ込まれた勇者が神父の呪文で息を吹き返したのを見た少年は、神父を呼び止めた。「この子にも、心臓を動かす呪文を使って下さい。」少年の腕で息絶えている子犬に神父は言葉を詰まらせる。死を許されない勇者と、友を失った少年を、秤にかけねばならない世界の理を嘆いた。 #twnovel

2014-12-04 22:11:41
リュカ @ryuka511

いばらに包まれた塔の窓から王妃の白い腕が見え王は戦慄する。国政に口を出す王妃が煩わしく、流行り病に罹ったとし離れの塔に幽閉した。生きているはずが無い。愚かな王は気付かない。王妃を慕う臣下によって、国政は王妃を中心に塔で司られ、王宮こそが国から隔離されているのだ。 #twnovel

2014-12-05 23:14:16
リュカ @ryuka511

冷凍保存された君の心臓と脳を見つめる。もう少し待っていて。君の新しい身体がもうすぐできるから。今は冷たい君の心臓に再度温かな血が流れて身体中を巡る。君は君のまま再び生きられる。それにしてもくまなく探せばいるもんだね。血縁者でなくてもぴったり合う細胞の持ち主って。 #twnovel

2014-12-06 23:59:34
リュカ @ryuka511

戦乱の世を平定せねばならぬ。恋に現を抜かしている場合ではない。しかし我らは出会ってしまった。彼女は神が遣わした女神であると言い立てる。戦に勝利を重ね皆にそれを信じさせた。君を愛する為の言い訳を探すのに必死だった。懸命に女神を演じてくれた彼女には頭が上がらない。 #twnovel

2014-12-07 23:59:41
リュカ @ryuka511

地上の暮らしに憧れた人魚姫は魔女の下を訪れる。だが歩くという概念の無い彼女は足が欲しいと伝えられず、地上を泳ぐ身体が欲しいと言った。一方の魔女は、地上を泳ぐと聞いて飛ぶ事を連想する。かくして翼を貰った人魚姫は最初こそ落胆したが、今では空を飛ぶのも悪くないと笑う。 #twnovel

2014-12-08 23:29:53
リュカ @ryuka511

世界を救う運命の仲間を探し出した。だが彼女は戦いなど無理だと、剣など扱えないし大した魔法も使えないと怯える。仕方無く僕は彼女に火炎魔法を放つ。咄嗟に張られた防御幕が僕の魔法を跳ね返した。「ほら、貴女はこんなに強い。攻撃だけが戦いじゃない、貴女の力が必要なんだ。」 #twnovel

2014-12-10 00:11:22
リュカ @ryuka511

市役所魔法課には連日沢山の相談が舞い込む。尋ね人に害獣駆除はまだいい。だが住民同士の揉め事や就職の斡旋、恋愛相談まで持ち込まれては堪らない。自力で解決するか他所へ行け。うちは便利屋じゃない。ある日係員はついにキレた。下らん相談は魔法で全部無かった事にしてやる! #twnovel

2014-12-11 00:05:58
リュカ @ryuka511

いつもは優しくて何でも僕の言う事を聞いてくれる主が、今日は僕の悪戯に本気で怒った。主が彼氏と二人で写ってる写真立てをうっかり、ホントにうっかり倒して割っちゃったんだ。主は凄く泣いて怒ってまだ恐い顔して黙り込んでる。何か悔しいから、謝って甘えてなんかあげないんだ。 #twnovel

2014-12-11 23:57:20
リュカ @ryuka511

水晶玉が次期国王に選んだのは気弱な末王子だった。この国で神託は絶対。兄王子達の妬みを浴びながら末王子は王になった。兄王子達の妨害にめげず施政を続ける。おどおどしていた末王子の目付きが変わる。水晶玉は代々違わず王に相応しい者を選び、育ててきた。 #twnovel #twnvday

2014-12-16 00:10:17
リュカ @ryuka511

「こんな世界、俺らが命懸けで救う価値あるのか?」暗い目でそう言い残し消えた仲間を探す事にした。勇者一行の消息が途絶えたと騒ぎになっているらしい。傷付いた仲間さえ救えずに世界は救えない、というのは建前だ。仲間を傷付けた世界などどうでも良くなった。滅びるなら共に。 #twnovel

2014-12-16 23:37:54
リュカ @ryuka511

「さぁ、幸福を探しに行こう。」そう言い彼は姿を消してしまった。自分を永遠の少年だと信じ、青い鳥を求めていなくなってしまった。夢見る少年の瞳は美しかった。だから夢を見せていたのに、私の見せる夢では飽き足らず、彼は飛び出してしまった。また探さなくては。私の青い鳥よ。 #twnovel

2014-12-17 23:28:14
リュカ @ryuka511

私を支配する唇。その唇から紡がれる言葉は私の全て。愛しき姫よ、そなたの願いを叶える為に私は在る。そなたがあの世界を憎むなら、私は世界を滅ぼし創り替えよう。そなたを傷付け苦しめた人間の世界は、私にとっても憎き世界。私は新たな世界に君臨する。そなたを守る為に。 #twnovel

2014-12-18 23:01:24
リュカ @ryuka511

それを神様の失敗作品と呼ぶのは容易い。だがそれは無視出来ない大きな存在になり、無かった事にはもう出来ない。それを否定する事は世界を否定する事と同義だった。それと共に在るしかない。神様はとんだものを作ってくれたものだと、人間以外の生き物達は深いため息をついた。 #twnovel

2014-12-20 00:21:41
リュカ @ryuka511

電車に揺られ辿り着くのはいつもの会社。電車はいつでも間違いなく僕をここへ運ぶ。幼い頃は電車に揺られてどこまでも行ける気がした。なのに今はここしか行き場が無い。いや、電車は確かにどこまでも行ける。本当は逃げ出したいくせに、道を外れてしまう事に怯えているだけなんだ。 #twnovel

2014-12-20 23:53:45
リュカ @ryuka511

雨乞いの為に巫女は呼ばれ儀式を行う。だが巫女は知っていた。日照りは天の裁き、天は人間を滅ぼすと決めた事を。天命を彼らに知らせる意味は無いだろう。どうせ何も出来やしない。乾き死に絶えた村に今頃恵みの雨が降り注ぎ、天に仕える自分は果たしてどちら側なのだろうと考える。 #twnovel

2014-12-22 00:01:58
リュカ @ryuka511

革命軍を率いる女戦士が隠れ家で治癒術を受けていた。外から彼女を追う帝国軍兵士の声がする。深手を負った彼女が今捕まったら国の未来は無い。隠れ家の扉を叩く音。「投降せよ」と叫ぶ声。「私が行こう」女戦士と背格好の似た術者が立ち上がる。国の全てを背負った彼女を守る為に。 #twnovel

2014-12-22 23:35:36
リュカ @ryuka511

博士は私を完成させる直前に亡くなりました。私は人のかたちを真似ただけの鉄の塊に過ぎません。しかし私は自分で考え言葉を紡ぐ機能を備えています。ただの機械なら不要な機能です。私は何者なのでしょう。博士はどういうつもりで私に言葉を与えたのでしょう。教えて下さい、博士。 #twnovel

2014-12-23 22:30:58
リュカ @ryuka511

冬の朝に見る夢は悲しく切ない。もう会えない人、帰れない場所、届かない幾多の物事が、夢幻に揺れて消えていく。目覚めて虚空に伸ばした手は、それらが過ぎ去った過去だという現実を突き付ける。冷え切った部屋。静まり返った空間。たくさんのものを失った結果、僕はここにいる。 #twnovel

2014-12-25 09:46:16
リュカ @ryuka511

クリスマスの朝、プレゼントは無かった。ママには「あんたが悪い子だから。」って言われた。友達には「サンタは親だ。」って教えられた。つまりママは僕を悪い子だって言うのか。いっぱい我慢したのに。ママに、本当の悪い子っていうのを、教えてあげなくちゃ、ね? #twnovel #ついのべX

2014-12-26 00:36:27
リュカ @ryuka511

まるで有名な映画のワンシーンみたいだと思った。雲間から射す光が僕を包む。泣きじゃくる君に僕の姿は見えない。どうせ見えないならと、君を抱き囁く。愛してる、ありがとう。もう泣かないで。君が顔を上げ合わない筈の視線が絡む。君が、泣きながら微笑む。僕は、ここにいるよ。 #twnovel

2014-12-26 23:38:09
リュカ @ryuka511

何故創り手はその手を止めた? お陰で我々は不完全なまま増殖した。同じ種族で似た姿形をしていながら理解し合えないまま増殖を続けた結果、世界には争いと憎しみと無慈悲が満ちた。増え過ぎた我々にはもう手が付けられない。創り手よ、我々が世界を破壊する前に、手を打ってくれ。 #twnovel

2014-12-27 23:00:01
リュカ @ryuka511

女主人は齢百歳を超え尚も屋敷に君臨する。遺産を狙う家族の邪な思いを跳ね除け笑う。愚か者共め、私は死ぬ気などさらさらないから。せいぜい憎むがいい。憎めば憎む程私の寿命は延びるのだから。笑顔で駆け寄るひ孫を抱きしめる。私は生きるよ、この子をあの愚か者共から守る為に。 #twnovel

2014-12-28 23:54:22