天翔さんによる捕鯨統計数値に対する見解

こちらで主張されている数値の算出方法についていくつか思うところ。  「油目的で肉を捨てていた西洋と異なり、日本はクジラを余すところなく完全利用してきた」って本当? - Togetterまとめ togetter.com/li/1012491 @togetter_jpさんから
1
天翔 @Tensyofleet

こちらで主張されている数値の算出方法についていくつか思うところ。  「油目的で肉を捨てていた西洋と異なり、日本はクジラを余すところなく完全利用してきた」って本当? - Togetterまとめ togetter.com/li/1012491 @togetter_jpさんから

2016-08-29 22:16:30
天翔 @Tensyofleet

「推定鯨肉廃棄量」「鯨油投棄」について、1)鯨種別の個体の差異が考慮されていない。年代によって鯨種別の捕獲頭数割合はかなり異なる。鯨種によって鯨体の大きさが異なる以上、採れる鯨油と鯨肉の割合にも差が生じる。 pic.twitter.com/Re466bmBHA

2016-08-29 22:20:56
拡大
天翔 @Tensyofleet

先のグラフ中、BWU換算でほぼ等しかった昭和15年(1940/41年)と昭和35年(1960/61年)も、頭数を実数にすると内訳はこれだけ異なる。 pic.twitter.com/24x18Hbg1P

2016-08-29 22:22:29
拡大
天翔 @Tensyofleet

ちなみに、戦前の資料だと体長別にこのように見積もられている。単位は斤、換算はおそらく1斤=600g。 pic.twitter.com/o0Obx2Gbxn

2016-08-29 22:23:38
拡大
天翔 @Tensyofleet

2)同鯨種の中での個体の体長差が考慮されていない。先の資料で同じシロナガス鯨の70尺と90尺とを比べると、採油量は2倍以上となっているが赤肉は1.5倍弱にしかならない。

2016-08-29 22:25:32
天翔 @Tensyofleet

3)同鯨種・同体長の個体の採油量差が考慮されていない。ヒゲ鯨の鯨油の主原料となるのは皮下脂肪だが、南氷洋の夏の初め頃は赤道付近から回遊してきたばかりで痩せており、終わり頃には餌を十分に摂取している。この為、捕獲時期によって皮下脂肪の厚さが異なり、同鯨種・同体長でも採油量が異なる。

2016-08-29 22:31:21
天翔 @Tensyofleet

同じ種類の同じ体長の鯨でも、採取できる鯨油の量が異なる理由はこちらの論文にもある。同体長でも採油量が2倍になることがあるようだ。―鯨と採油量の一考案 1958~1959の南氷洋における第2極洋丸船団の捕獲頭数と採油量について fish-u.ac.jp/kenkyu/sangaku…

2016-08-29 22:34:14
天翔 @Tensyofleet

こちらは戦前と戦後の鯨油・鯨肉の生産量のグラフ。鯨肉の方は、戦前と戦後で集計項目が異なることに注意。 pic.twitter.com/qQVBbJ33Jr

2016-08-29 22:39:38
拡大
拡大
天翔 @Tensyofleet

以前にも述べたが、昭和27年(1952/53年)の鯨肉の生産が落ちている。これは、日本水産図南丸船団の附属冷凍工船摂津丸が事故で積荷の鯨肉約3,800tと共に沈没し、この分が鯨肉生産量から除外されているからであり、この年の数値を取り上げても正しい考察はできない。

2016-08-29 22:44:46
天翔 @Tensyofleet

なお、戦前戦後を通じて日本の南氷洋捕鯨船団で鯨体の海洋投棄があったことは事実であり、当事者の回想も写真も複数残されている。戦後と比して、戦前は明らかにBWU1頭当たりの鯨肉の生産量が少ない。 pic.twitter.com/MgQGexcaUK

2016-08-29 22:49:30
拡大
拡大
天翔 @Tensyofleet

戦前の鯨肉生産量の内訳。戦前と戦後で集計項目が異なるため単純に比較はできないが、肉(おそらく主として赤肉)の生産量の割合が低いのが分かる。単位は斤。 pic.twitter.com/x559bfeXIH

2016-08-29 22:54:32
拡大
天翔 @Tensyofleet

なお、鯨肉に比べて生産に手間のかかる鯨油が投棄される可能性は低いだろう。鯨油は主として皮下脂肪を採油ボイラーに投入し、蒸気を送り込んで採油する。蒸気は燃料を燃やして作るので、鯨油を捨てる=燃料を捨てることになり、採油工程に要する工数と合わせて損失が非常に大きいからである。

2016-08-29 22:56:23