【ヴァルプルギスの華燭】三日目夜

夜フェイズ、交流 その手を、その剣を
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《ヴァルプルギスの華燭》管理アカウント @walpurgis_marry

三度目の夜が訪れる 君が望む、或いは望まれる夜 この夜を越えた先にあるものがどのようであれ それは君の力に対する、或いは君自身に対する報いに他ならない . 力を持つ君に幸いあれ さあ始めよう #ヴァル華

2016-08-26 20:00:04
ジタ・トリウィア @walp_zi

幾度目かの目覚めはもはや慣れたものだった。此処でなら深く眠れるのだな、と三度目にして漸く思った。それが死を享受していたが故なのかは分からないが、少なくとも夢も見ぬ程深く眠れていた。 充てがわれていた部屋を出て、大広間へ向かう。漸く見慣れてきた道は、これを最後に恐らくもう通らぬ道。

2016-08-26 22:13:52
ジタ・トリウィア @walp_zi

楽しかった三日間が終わる夜。この夜が、最後のひととき。この、逢瀬が見合いなれば。——選択の夜。 「……趣旨は忘れてないつもりだけどなあ」 選ぶのはやっぱり苦手だ。なんて、独りごちながら、廊下を進み、やがて大広間の扉に手をかける。誰かいるかな、いたらいい。少しは気が和らぐ。

2016-08-26 22:14:08
ジタ・トリウィア @walp_zi

それは願いか。祈りか。彼自身それが何なのか分からず、さらに言えば意識すらないしていない。しかして、確かに、そう、思いながら。 ——ジタは、大広間の扉を開いた。

2016-08-26 22:14:14
マリア・ガルシア @ro_akiyui

——その眠りは、幸福だった。 先も無ければ、後も無い。死の眠りは、どこまでも果てのない草原のように穏やかで、遮るもののない空のように優しかった。 二度目となるそれは、二度目であれど変わりなく。マリアはその余韻を噛み締めながら、大広間の窓際で、空をぼんやりと見上げていた。

2016-08-26 22:36:57
マリア・ガルシア @ro_akiyui

その顔には黒布。修道女の装いは変わりなく。誰の目からも彼女の肌は見えない。 その姿に、一つ、これまでと違うことがあると言えば。それはマリアの足、いや、下半身。この大広間にある時、人のものであったそれは、今この時、白い大蛇のものだった。

2016-08-26 22:37:09
マリア・ガルシア @ro_akiyui

真円の月が、遠くに見える。ふと聞こえてきたのは、開かれる大広間の扉の音。マリアは振り返り、黒布の下で微笑んだ。 「こんばんは。最後の夜ですね」

2016-08-26 22:37:14
ジタ・トリウィア @walp_zi

大広間の中にいたのはマリアだった。そういえば、最初会ったのも彼女だった。 彼女の挨拶にゆっくりと微笑みを返し、踏み出す。 「こんばんは。……早いものだね」 月は変わらず綺麗だろうか。空は、夜は、いつ見ても変わりない世界は、綺麗だろうか。 窓辺に歩み寄るよに、ジタは歩を進める。

2016-08-26 22:48:27
ジタ・トリウィア @walp_zi

これ程まで終わりを惜しむことはあったろうか。どうだろうか。血は、不思議と落ち着いていた。騒ぐ様子はない。今が夜だからだろうか。分からない。 此度は初めてのことが多いなあ、なんて小さく笑って、ジタは窓の硝子に触れた。硝子越しの月は、変わらず綺麗だった。

2016-08-26 22:48:37
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

耳を動かす。鼻をひくつかせる。瞬きをして、開いては閉じてを繰り返す手と、その下の脚を見る。頭の重さは常と同じだったから、伸ばす前の長さだと認識した。 「……ふむ」 焼けるのは、物凄く、痛い。あと熱い。 などとひとしきり頷いて、彼は部屋を後にする。

2016-08-26 23:06:38
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

大広間へ案内する人形の後をついて行くのは慣れた様子で。三回目ともなればさすがに慣れるのだ。 人形の後をついて行きながら、これから、大広間へついてからのことを考える。 此度の催しの主題は見合いである。それは分かってはいる。分かってはいるが。 むう、と唸る。自分に選べるのだろうか。

2016-08-26 23:07:31
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

「…まあ、多分」 なんとかなるだろう、と零しつつ、辿り着いていた大広間の扉を開いた。 広間の中をきょときょと見回してすぐ、窓際のマリアとジタを見つけて、 「……邪魔、だったかの?」 頬をかきながら、少し申し訳なさそうに。

2016-08-26 23:08:04
マリア・ガルシア @ro_akiyui

「ええ。早いです。あまりにも。こんなにも早く時間が過ぎたのは、初めてかもしれません」 月を見るジタの横顔に囁くように語りかけ、マリアは祈るように手を組む。 「それでも、とても充実していたように思います」 それは独り言のように。その心は充足感に満ちている。

2016-08-26 23:22:48
マリア・ガルシア @ro_akiyui

それからまた、扉の方へと目を向け。 「御機嫌よう、リーズヴォルプ様。邪魔だなんて、そのようなことは思ったりいたしません」 現れたリーズヴォルプの姿に、マリアは真摯に言葉を紡ぐ。

2016-08-26 23:23:54
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

「む、そうか、それなら良かった」 しかしむしろそう言ったせいで気を使わせたんじゃあないだろうか、と少し耳が下がるが、とりあえずはと二人の近くへと寄ることにする。ゆっくりと歩を進めながら、二人の方を向けば自然視界に入る月に目を細める。 いい夜だの、とは独り言。

2016-08-26 23:39:18
ジタ・トリウィア @walp_zi

マリアの言葉を聞き、ゆっくりと頷く。それは同意を示すように、ゆっくりと微笑みを伴ったものだった。 そうして、初めての友たるリーズヴォルプの姿に、また笑みを零す。邪魔だったか、という言葉には首を振り、マリアの発言に頷き、下がった耳に柔く、目を細めて。

2016-08-27 00:05:46
ジタ・トリウィア @walp_zi

「気にしすぎ、リーズ。俺は君も待ってたよ?」 くすくすと笑うように、彼へと投げかける。初めての友人だもの、待たないわけがない。そう言いたげな声音はただただ、夜に響いて。 また、月を見上げる。悠然と夜空に座すそれに、ゆっくりと目を伏せた。

2016-08-27 00:05:51
アルティメット @ultbeelz

「遅れた、というわけでもなさそうだ。妾の到着も半々といったところか」 悠々と扉を開いたのはフードを眼深く被った女人であった。 ――今宵"つがい"を決めねばならない。 寝起きで覚束ない頭をとんとんと叩きながら、口元を緩ませる。 「吾はともかく、妾は非常に待ちわびた。楽しみなことだ」

2016-08-27 03:07:50
ヤマナ @akumayamana

広間の扉が開いた。 武人がゆったりと入ってくる。 「おお、俺が一番乗りではなかったか  ま、さて、今宵はよろしく頼むぞ」 右手で左胸を叩きながら言った。

2016-08-27 09:58:55
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

「む、気にしすぎか、そうか」 ぴこ、と下がっていた耳が動く。 ならばこれこれ以上は気にする方が失礼だろうと。 待っていた、と続いたジタの言葉と、声の響きに穏やかな顔で笑んで、二人の側で歩を止める。

2016-08-27 12:44:11
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

それから、広間に入ってきた二人を振り返って、あとひとりだの、とぼんやり呟いた。

2016-08-27 12:44:45
くちなわ @cuchinawa

「皆、早いな。我三文擲ち微睡むを好しとするが」 遅れてきたくちなわは、何より先に酒を取りに向かった。今日は老酒の気分。 「今宵、此処は黄鶴楼也。汝孟浩然也。我李白也」 酒を注いだ杯を高く掲げ、一息に飲み干した。 「好きかな」 続く言葉は平時より幾分声が小さかった。

2016-08-27 12:47:26
マリア・ガルシア @ro_akiyui

ジタとリーズヴォルプの会話に微笑み、マリアはやってきた三人へと目を向ける。 「これで揃いましたね」 人形の一人を呼び寄せてグラスを受け取り、ワインを注がせる。こうして人に用意してもらうのもこれが最後だろうな、と思いながら皆を見回して。

2016-08-27 13:51:14
マリア・ガルシア @ro_akiyui

「とりあえず、乾杯でも」 と言ってグラスを軽く掲げた。

2016-08-27 13:51:21
ヤマナ @akumayamana

随分遠くまで来た、と思う。 葡萄酒の赤味。グラスを軽く揺らす。 波間に見えるは、越えてきた戦場。 赤きに見合う相手を。この深い色を飲み干してくれる女を。 「ああ、乾杯だ……!」 今宵が、生の到達地点だろう。

2016-08-27 18:29:15
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