対話で考える医療報道の社会的役割:報道は医療行政の監視役として日本の医療の向上に貢献できるか?
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「インフルエンザ:集団感染 大館保健所、確認怠る 死者発生公表に遅れ」。こんなくだらない記事を書いた記者がひどい。報告が2日遅れたところで誰も不利益を被らない。マスコミを気にして現場が消耗するだけ。 htn.to/DTJ4pV
2015-02-01 19:02:53発端となった毎日新聞の記事。
「大湯リハビリ温泉病院(鹿角市)のインフルエンザ集団感染で、大館保健所(相沢寛所長)が確認を怠り、複数の死亡者発生という「重大情報」を公表するのが遅れていたことが30日、分かった。
県の「健康危機管理感染症マニュアル」は、集団感染で2人以上の死亡者が出た場合、必要に応じて公表する、としているがこれを怠った。」
http://mainichi.jp/area/akita/news/20150131ddlk05040169000c.html
困ったことに、元ツイのリンクは切れていて読めませんが、URLから判断すると、2015年1月31日付けで秋田の地方版に掲載されていた記事で、不破雷蔵さんのまとめブログに、要点がまとめられていました。
http://www.jgnn.net/ls/2015/02/post-10326.html
この集団感染を、共同通信の2015年1月28日付け記事
http://www.m-ikkou.co.jp/medic_news/detail/20150128_1.html
はつぎのように伝えています。
「インフル院内集団感染で4人死亡=大湯リハビリ温泉病院―秋田
秋田県鹿角市の大湯リハビリ温泉病院(小笠原真澄院長)は27日、入院患者37人と職員22人がインフルエンザに院内感染し、80代から90代の入院患者4人が死亡したと発表した。現在、重症者はいないという。
病院によると、6日に20代の女性職員がインフルエンザと判明後、感染が拡大。4人は18~26日にいずれも肺炎で死亡したが、インフルエンザが影響した可能性が否定できないという。」
2015年1月18日は日曜日、26日は月曜日でした。2人目の死亡者が出たのがいつだったのか、これだけではわかりませんが、週末の連絡が問題になっており、かつNATROMさんのツイートに「報告が2日遅れても」とあるところから24日の土曜日だった可能性があります。
同じ2015年1月28日付けのテレビ朝日のニュース
http://twinavi.jp/topics/news/54c82285-39c4-49de-b6f1-27855546ec81
は次のように伝えました。
「秋田県鹿角市の医療機関で、インフルエンザの集団発生があり、入院患者4人が亡くなりました。
大湯リハビリ温泉病院・小笠原真澄院長:「初動態勢が甘かった。職員が感染の一因になったと考えている」
病院によりますと、今月6日、20代の女性職員のインフルエンザ感染が確認されました。その後、26日までに入院患者や職員合わせて59人が感染し、80代から90代の入院患者4人が亡くなりました。現在、重症者はおらず、終息に向かっているということです。病院では、感染が確認された職員22人のうち5人が予防接種を受けておらず、「初動対応が遅れ、お粗末な結果になった」としています。」
高齢者が多く入院しているリハビリ病院のスタッフがインフルエンザの予防接種を受けていなかったとは、あきれてものが言えません。
医学的には必要性が疑わしい過剰な対応を求める報道の是非
.@NATROM 日頃質の低い医療報道に憤りを感じている者ですが、これは新聞側はフェアな仕事をされていると思います。事実に基づいた報道で、今後の改善にも繋がる内容ではないでしょうか。 RT こんなくだらない記事を書いた記者がひどい。htn.to/DTJ4pV
2015-02-01 20:10:27役所は権限が大きいうえ、人間が運用する組織ですからミスもある。マスメディアがそれを監視して誤りを正していくのは、正当な営み。思い込みに基づいて社会をミスリードするような報道には反論していくべきですが、この件は記者に分があり、マニュアルが実態に即さないのであればそれを改善すべき。
2015-02-01 20:25:50@tweeting_drtaka リプライありがとうございました。この報道からは「役所のミス」は明確ではないように思います。マニュアルには「【必要に応じて】公表する」とあるそうです。週末にあわてて公表する必要性に乏しいと私は考えます。
2015-02-01 21:01:19その後秋田県の健康危機管理感染症マニュアルは、2015年3月31日付で改訂され、こちらに改訂版マニュアルと新旧対照表が公開されています。
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1427766123684/index.html
新旧対照表では相違点が下線でマークされていますが、今回の議論のテーマの一つとなっている夜間休日の報告と公表について具体的に誰がどのように判断し実行するかについての言及は追加されていません。
@tweeting_drtaka それから、リハビリ病院で「インフルエンザで複数の死亡者発生」は「重大情報」だと記事にありますが、これは「事実」でしょうか?私の臨床経験では流行シーズンには普通にありうることで「重大情報」ではないと考えます。
2015-02-01 21:01:39@tweeting_drtaka 「フェアな仕事」というならば、県健康推進課長が「重大情報」と言ったらといってそのまま報道するのではなく、高齢者の多い病院でのインフルエンザの死亡は別に珍しいことではない点も報道すべきでしょう。
2015-02-01 21:08:16記事が(偶然にも)見出した、感染症危機管理における体制上の問題
.@NATROM 「死亡例が出た際には病院側に確認する手はず」なのに、休日だったため動かなかった点が、危機管理上の問題なのでしょう。確認していない以上「必要性」も判断できないでしょうし、インフル死亡にニュースバリューがあるかは別の問題。webcache.googleusercontent.com/search?q=cache…
2015-02-01 21:29:52(↑引用のリンクはNHK秋田放送局発のローカルニュースのGoogleキャッシュですが、残念ながらリンク切れしています)
.@NATROM おそらく先生は「ありふれた事態の公表が遅れたくらいの話を騒ぎ立てている記事」に対して憤りを感じておられるのだと思います。記事全体がそうした論調であれば僕も同意するのですが、記事の下半分は患者発生時の対応の不備を指摘したもので、危機管理の改善に繋がる内容かと。
2015-02-01 21:50:02@tweeting_drtaka 確認ですが、休日や夜間でも緊急に「死亡例が出た際には病院側に確認する手はず」になっていると定められていたのでしょうか?報道にはそのような情報は無いようですが。
2015-02-01 22:16:00@NATROM 「休日や夜間でも緊急に死亡例が出た際には病院側に確認する手はずかどうか」については、秋田県のマニュアルそのものが見つからず確定的なことは言えず申し訳ないのですが、NHK報道と毎日の報道からは、確認したうえで必要性を判断する流れのようです。(続きます)
2015-02-01 22:48:22.@NATROM 先生、もし熱くなっておられれば、少しクールダウンをお願いします。医療機関も、行政も、報道も、基本的にはどれも善意に基づいて、少しでも状況がよくなればと願いつつ仕事をしています。手順に無理や不備があるのなら、関係者が知恵を出して一つ一つ改善していくことが重要です。
2015-02-01 22:42:36報道により発生する臨床現場の負担増加という問題
@tweeting_drtaka これがエボラ疑いなら「患者発生時の対応の不備」と言えるでしょう。しかし、インフルエンザの死亡について、休みの主治医に連絡して確認する必要はありません。記事は「危機管理の改善」につながりません。むしろ今後はくだらない連絡で医師を消耗させるだけです。
2015-02-01 22:17:02@NATROM こちらも、病院からの報告ルートはあるわけですから、「折り返し確認の必要が生じないような形で報告」するよう改めることが重要かと考えます。 RT インフルエンザの死亡について、休みの主治医に連絡して確認する必要はありません…今後はくだらない連絡で医師を消耗させるだけ
2015-02-01 22:53:49@tweeting_drtaka 「夜間休日でも医師に連絡をとって確認せよ」とマニュアルで定められていたのなら、確かにマニュアル違反という点では行政側のミスと言えましょう。その場合、過剰な対応を要求するマニュアルの不適切さも合わせて報道してはじめて「フェア」な記事だと言えます。
2015-02-01 22:21:16@NATROM 記者には医学や医療の知識がないため、無知から善意の医療従事者を非難したり、頓珍漢な論点を持ち出したり、医療従事者として僕自身とても迷惑しています。ただ、記者側に能力がない以上、彼らに100点満点の記事は望めず、是々非々で判断せざるを得ません。(次で最後)
2015-02-01 23:01:12@NATROM 今回の報道、「ありふれた事態の公表が遅れたくらいの話を騒ぎ立てている記事」という側面へのお怒りはもっともですが、保健所の週末の感染症対応体制に関する問題提起を含んでいます。これが対応手順や報告様式の改善に繋がれば、本当の危機時の医療現場への負担も軽減されるかと。
2015-02-01 23:09:44@tweeting_drtaka 「折り返し確認の必要が生じないような形で報告」する必要性については同意します。報道機関も「善意に基づいて、少しでも状況がよくなればと願いつつ仕事をしている」というご指摘もその通りです。しかし、善意がむしろ、状況を悪化させることもあります。
2015-02-01 23:46:28@tweeting_drtaka 「100点満点の記事は望めず、是々非々で判断せざるを得ません」というのも同意します。しかし、今回の記事について「フェアな仕事」だという評価には同意できません。まったくもってフェアとは言えません。
2015-02-01 23:47:03@tweeting_drtaka また、「患者発生時の対応の不備」について、今回の保健所の対応のどのあたりに不備があったのか、私にはわかりません。リハビリ病院でインフルエンザの二人目の死亡者に対して、緊急に対応する必要はありません。月曜日に「病院側に確認」するので十分です。
2015-02-01 23:48:11