古川飛行士の『宇宙船シミュレーション訓練』2月16日 ~1㎝の宇宙ゴミ衝突は時速60㎞の自動車事故~

JAXA、古川聡宇宙飛行士の訓練の様子のまとめです。今回はデブリ(宇宙ゴミ)のお話。
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古川聡 Satoshi Furukawa @Astro_Satoshi

2月16日、モスクワ郊外は晴れ。朝の気温はマイナス24℃!日中マイナス13℃程度まで上がり、「暖かい」と感じてしまった。

2011-02-17 07:03:58
古川聡 Satoshi Furukawa @Astro_Satoshi

宇宙空間は、様々な宇宙ごみが飛んでいる。直径10cm以上でレーダーなどで追跡されているものが1-2万個あると言われる。直径1-10 cmのものが約10万とされ、多くは追跡されていない。直径1cm以下のものは数百万と言われ、追跡不能。

2011-02-17 07:04:30
古川聡 Satoshi Furukawa @Astro_Satoshi

問題は、それら宇宙ごみが大変早い速度で飛んでいること。宇宙ステーションに対する相対速度で1秒に10km(時速36000km)以上にもなる。それだけ速いと、たとえ小さくても、万一それが当たったときの衝撃は大きくなる。

2011-02-17 07:04:56
古川聡 Satoshi Furukawa @Astro_Satoshi

大雑把な話をすると、直径1cmの宇宙ごみが秒速10kmで宇宙ステーションに衝突するときの衝撃は、乗用車が時速60kmで衝突する衝撃と同じくらいになる!

2011-02-17 07:05:19
古川聡 Satoshi Furukawa @Astro_Satoshi

万一、直径10cm以上の宇宙ごみが宇宙ステーションに当たると、破壊に至る。そこで、衝突可能性がある程度ありうることが判明すると、宇宙ステーションがエンジンを噴射して軌道を変え、逃げたりする。映画アルマゲドンの冒頭のような事態を避けるのである(映画では流星雨の直撃だったが)。

2011-02-17 07:05:44
古川聡 Satoshi Furukawa @Astro_Satoshi

およその話をすると、直径1cm以下の宇宙ごみの衝突は、宇宙ステーションの壁を特殊なものにし、衝撃を吸収することで対処する。当たる場所によっては、一部機能に影響が出るが。

2011-02-17 07:06:01
古川聡 Satoshi Furukawa @Astro_Satoshi

問題は、直径1-10 cmの宇宙ごみである。追跡されていないものも多く、万一宇宙ステーションに当たると、穴があいて空気漏れが生じて致命的損傷を与える可能性もありうる。

2011-02-17 07:06:17
古川聡 Satoshi Furukawa @Astro_Satoshi

2月16日、国際宇宙ステーションが急減圧時の対処訓練。下記のように宇宙ごみが当たってしまった緊急事態を想定したもの。星の街近くの低圧室にて実施。そこでは、宇宙ステーションのロシア製サービスモジュールとソユーズ宇宙船の実物大モックアップが巨大な真空室内に置かれている。

2011-02-17 07:07:07
古川聡 Satoshi Furukawa @Astro_Satoshi

一緒に飛ぶ3人のクルーでモジュール内に入ってハッチが閉められた後、モジュール周囲の真空室の気圧が実際に下げられた。モジュールに小さな穴を開け、実際の空気漏れ状態を作り出すことができる。

2011-02-17 07:07:40
古川聡 Satoshi Furukawa @Astro_Satoshi

飛行機に乗ったときなどに経験する、気圧変化時の耳の変化を実感。空気漏れ場所を特定するため、まずは救命ボートであるソユーズ宇宙船に空気漏れがないかどうかのチェックから始める。実際にモジュール内の気圧が下がる環境なので、良い訓練である。

2011-02-17 07:08:04
古川聡 Satoshi Furukawa @Astro_Satoshi

その後、手順書に沿っていろいろなハッチの開閉操作を実施し、空気漏れ場所を特定・孤立させる。ハッチの両側に圧力差がある場合には、均圧弁を開けて圧を同じにしてからしっかり行った。さもないと、ハッチが開かないか、あるいは急激に開いたりして危険!

2011-02-17 07:08:31