敵国のご隠居(Fruskiy001)氏による米国戦艦整備についてのおはなし

アイオワが33ノット艦として整備されるに至る道程等
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敵国のご隠居 @Fruskiy001

酔っ払っているので、たまには艦の話でもしようかの。 酔っ払っておりますれば、寝落ちする可能性も大ですが(w。

2016-09-15 22:24:18
敵国のご隠居 @Fruskiy001

アメリカ海軍で空母が主戦力と認められたのは速い。1932年に真珠湾への奇襲を成功させたことで、「戦略攻撃可能な兵力」と認められたとか色々あるが、決定的な事件が1934年に訪れる。

2016-09-15 22:27:15
敵国のご隠居 @Fruskiy001

その事件とは、「上司にしたくない米海軍提督No.1:アーネスト・キング提督」が海軍航空整備の中核の偉い人に来るからだ!

2016-09-15 22:28:27
敵国のご隠居 @Fruskiy001

キングは航空関係のエライ人になると、空母部隊の航空兵力の戦力向上と、条約制限外兵力の飛行艇隊の大拡充に乗り出す。 その中で艦隊の整備についても、旧来の構想を見直す風潮が出てくる。

2016-09-15 22:30:25
敵国のご隠居 @Fruskiy001

空母部隊が決戦前に偵察艦隊と共同する主兵力として活動する以上、偵察艦隊の艦艇は空母戦に適した艦として整備すべきではないか、と考えられる様になったのだ。

2016-09-15 22:32:10
敵国のご隠居 @Fruskiy001

これがいわゆる「艦隊型空母か、空母のための艦隊か」の論争。

2016-09-15 22:32:53
敵国のご隠居 @Fruskiy001

「空母のための艦隊」は、戦前の条約下では実施できる見込みがない&砲術畑の方がエライ人が多い、という理由もあって実現しない。だが艦艇整備の面では、大きな影響を与えてくる。

2016-09-15 22:34:35
敵国のご隠居 @Fruskiy001

偵察艦隊の主力のうち、オマハ級代艦の整備が検討される時期に来ていたが、偵察艦隊が空母に随伴するのであれば、防空火力を重視する必要があると考えられた。

2016-09-15 22:35:43
敵国のご隠居 @Fruskiy001

このため当時整備が検討されていた軽巡洋艦は、15㎝連装両用砲を搭載する形での整備がまず検討される。因みに5砲塔艦が後のクリーブランド級、4砲塔艦がアトランタ級の元計画になる。

2016-09-15 22:37:19
敵国のご隠居 @Fruskiy001

しかして15㎝、つーか6in両用砲は当面できあがる可能性がなかったので、大型軽巡はブルックリン級より主砲を減らして高角砲を増備する方向で、水雷戦隊旗艦は5インチ両用砲を搭載する形で計画が纏められていく。

2016-09-15 22:38:51
敵国のご隠居 @Fruskiy001

さてその中で、新型戦艦は低速戦艦案と高速戦艦案の両方で検討がなされていたが、本格的な試案の検討に入る際に30ノットの「高速戦艦」として検討を行う事で方針が確定する。

2016-09-15 22:41:11
敵国のご隠居 @Fruskiy001

これは戦艦同士の決戦時に巡洋戦艦の金剛型(当時は26ノット艦と思われていた)に完全な戦術的機動性の優位を得ると共に、艦隊型の高速空母に随伴できる最低限の速力を持つ艦として要求される。

2016-09-15 22:43:05
敵国のご隠居 @Fruskiy001

なんでかっというと、米海軍の作戦部が、1919年以降機動性優位を持つ日本の巡洋戦艦に対抗・領ができる機動性能を持つ巡洋戦艦として使用出来る戦艦を欲し続けていること、その「金剛」型が空母決戦にくっついてきたら重巡以下の艦しかいない米の偵察艦隊が、砲戦で不利になるため。

2016-09-15 22:45:07
敵国のご隠居 @Fruskiy001

ただ三万五千トンの制限下では、30ノットの速度性能を持ちつつ、攻防力を満足させる戦艦が出来ないこと、空母部隊の偉いさんが「30ノットの艦では空母の機動作戦に付いてきても足手まとい」と言ったことで、新戦艦は速力を27ノットに落として防御力の改善を図る。これがノースカロライナ級。

2016-09-15 22:47:40
敵国のご隠居 @Fruskiy001

さてノースカロライナ級は予定では6隻の整備が予定されていた。これはペンシルバニア級までの旧式戦艦を全艦補う構想の下に進められたもの。

2016-09-15 22:48:55
敵国のご隠居 @Fruskiy001

ところが第二次ロンドン条約を日伊が批准しなかったことで、エスカレーター条約の発動が確実になると、一旦1937年度予算で認められた以外の4隻の建造が白紙状態になる。

2016-09-15 22:50:12
敵国のご隠居 @Fruskiy001

これは作戦部の方が「高速戦艦の整備の方が、作戦上優先度が高い」と言い出したことが大きい。実際にBB57以降、もしくはBB59以降を30ノットかそれ以上の高速戦艦として整備計画を仕切り直す話が出る。

2016-09-15 22:52:39
敵国のご隠居 @Fruskiy001

「金剛」型の対抗は、「ノースカロライナ」級と「サウスダコタ」級で問題無いとされたとか言う人が居るようけど、そんなことはない、というのがこの整備計画の検討で分かるというものですね。

2016-09-15 22:55:11
敵国のご隠居 @Fruskiy001

第二次ロンドン条約のエスカレーター条項で、保有隻数の拡大が認められた結果、「ノースカロライナ」級と

2016-09-15 22:56:15
敵国のご隠居 @Fruskiy001

「サウスダコタ」級の計6隻は、予定通りペンシルバニア級までの戦艦の代艦とせいて整備される。その一方で、巡洋戦艦として使用出来る高速戦艦の整備はエスカレータ条約の席数増大枠を使う形で検討が進んでいく。

2016-09-15 22:57:58
敵国のご隠居 @Fruskiy001

この高速戦艦の主任務の一つは、戦艦同士の決戦前に起こる偵察艦隊同士の戦闘において、日本の空母部隊に付随してくると以前から考えられていた「金剛」型への対処。

2016-09-15 22:59:41
敵国のご隠居 @Fruskiy001

同時に戦艦同士の決戦の際に、友軍の戦艦隊及び日本の戦艦隊に対して巡洋戦艦として活動できるだけの速力と、戦艦として活動する事が出来る攻防力の付与。

2016-09-15 23:01:29
敵国のご隠居 @Fruskiy001

そして巡洋戦艦として、空母部隊に無理なく付随できるだけの速力(33ノット)を持つこと。これが後のアイオワ級に繋がっていく。

2016-09-15 23:02:33
敵国のご隠居 @Fruskiy001

米海軍では「金剛」型は26ノット艦と思われていて、どう見てもアイオワの速力はオーバースペック!という人が居ますが、米海軍は1938年初頭の時点で、「金剛」型が30ノット艦となっているのでは、と疑っているのです。

2016-09-15 23:04:22
敵国のご隠居 @Fruskiy001

その理由は、「長門」型が26ノットに増速した、と言う情報が得られたことが遠因。「長門」を含む戦艦隊が25~26ノットの速力を持つならば、巡洋戦艦である「金剛」型が自軍戦艦隊に機動性優位を持てる30ノットになっているのでは、と考えられたのさ。

2016-09-15 23:06:15