茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1889回「分散型グリットのすすめ」

脳科学者・茂木健一郎さんの9月17日の連続ツイート。 本日は、随想です。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1889回をお送りします。文章はその場で即興で書いています。本日は、随想です。

2016-09-17 07:05:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

才能よりも、「成功」に関係が深いということで注目されている心理指標、「グリッド」(grit、やりぬく力、とでも言うべきか)だが、そのブームの仕掛け人、というか立役者であるダックワースさんの原論文を読むと、いろいろ面白い。

2016-09-17 07:06:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

人格要素のビッグ・ファイヴの一つである「誠実性」(conscientiousness)が成功に寄与することは想像できるが、それよりも、「グリット」の方が関連性が高い、ということを、統計的に明らかにしているのである。

2016-09-17 07:07:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

グリットにかぎらず、心理指標は、いくつかの質問項目があって、その回答によって評価が決まる。グリットの場合、「あなたは何か新しく興味を持つことがあると、それまでやっていたことをやめることがありますか」みたいな質問があって、それにイエスと答えると、グリットが低下する設計になっている。

2016-09-17 07:08:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

実は、ここがポイントという気がする。一つのことをやり抜くグリットはもちろん大切だが、新しいことに興味を持ってマイブームになる好奇心も同様に重要である。現指標では、グリットと好奇心の間にはトレードオフがある設計になっているが、本当は、両立するのが良いのではないか。

2016-09-17 07:09:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

ダックワースさんの原論文には、年齢が高くなるとグリットも高くなるというデータがある。若いときは好奇心にかられていろいろ試すが、年を重ねるにつれてよく言えば自分の道がわかる、悪く言えば他のことに興味がなくなるということだと思う。

2016-09-17 07:10:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

グリットのような統計指標は、つまりはビッグデータの集積だから、個々人の生き方の具体的な機微とは違うのだけれども、個人的には、好奇心にかられていろいろ寄り道しながらも、なおも執念深く(笑)本筋をあきらめないで追求する、という生き方が一番良いような気がする。

2016-09-17 07:11:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

つまり、「好奇心にかられていろいろ寄り道しながらも、なおも執念深く(笑)本筋をあきらめないで追求する」という心理指標があるべきだと思うのだが、合わせ技で複雑だし、一人ひとりが実践するしかないのではないか。というわけで、「気が散りつつしつこくやる」分散型グリットをおすすめします。

2016-09-17 07:13:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1889回「分散型グリットのすすめ」をテーマに、7つのツイートをお届けしました。

2016-09-17 07:13:37