こじらせたリーマン20160912-20160918
- tsutsujishika
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缶を取り出していると、庶務のパートさんに声をかけられた。一旦捕まると話が長いが、今日は忙しい日でもないしいいかな。相変わらず、社内の人間関係だとか芸能人の熱愛だとか、そういう話が好きらしい。社員の話ならなんとなくわかるが、芸能人はアイドル以外に興味が無いのでついていけない。
2016-09-12 09:32:14「あ、そういえば」 「なあに?」 「土曜日、おそ松……営業の松野と、ほら、隣の席の女性の方が一緒にいるの、見ましたよ」 「ええっちょっと、松野君、それ本当!?……デートかしら?」 「服装的に多分……?」
2016-09-12 09:33:03てきとうに話題でも、と思って軽く口に出したあと、しまったと思った。パートさんは喜色満面に、面白い話を聴いた!という顔をしていた。……まずいことにならないといいけど。
2016-09-12 09:34:04今日は同僚と一緒に取引先近所のてんぷら屋だ。ここも結構古い店で壁やら床やらが薄汚れているが、何せ美味い。揚がった順にテーブルまで持ってきてくれるので、熱々が楽しめる。
2016-09-12 12:31:11「んで?あの子とはどうなったわけ?」 土曜日のことを聴くと、にっと笑われてサムズアップされた。うっぜー!まじうぜえ。誰のおかげだと思ってんだ。俺だよ!?お礼にそのエビのてんぷらを二、三本よこしてもらいたい。
2016-09-12 12:32:10「まあまあおそ松、ひがむなひがむな」 「ひがんでねーし」 「お前も狙ってる子いたら協力してやるからさ」 「いらねえ。まじいらねえ」 ま、上手くいったのは良かったけど。……人の手助けしてる場合じゃないよなあ。俺も。
2016-09-12 12:33:03彼女は、いつだったかの後輩を慰める会で、かいがいしく愚痴を聴いてやる同僚の姿を見てぐっときたらしい。なんだよそれー。俺だって後輩の愚痴めっちゃ聴いてたよ?俺の方がかっこいいとおもうよ絶対!いいけどさ!ひがんでるわけじゃねーけど!
2016-09-12 12:34:02「松野さん……!」 いきなり真剣な顔でくるから何かと思えば、おそ松と彼女が付き合っているというのは本当か、と聴かれた。 「……いや、知らないけど。っていうか、営業の彼女と仲良いんでしょ。本人に聴けばいいよ」 そう言うと、確かに……と返事をしつつ、どこか納得いかない顔をしていた。
2016-09-12 16:42:01ううん、でも、もう噂が広まっているのか。間違いなくパートさんの仕業だと思う。下手なこと言うべきじゃなかったな。おそ松にも悪いことをしたと思う。ごめん、と心の中で小さく謝った。
2016-09-12 16:43:02「あの、おそ松さん」 外回りで、珍しく彼女と一緒になった。どこか深刻そうな顔をしている。なんだろう。 「あの……経理の子に、何故か、おそ松さんと付き合ってるの?ってきかれちゃって」 「うえっ?なんで?」 「さあ…?噂になってるらしくて…?」
2016-09-13 09:13:04確かにこの前の飲み会の後お持ち帰りした説が流れていたが、それは否定しておさまったはずである。んー。せっかく同僚と上手くいってんのに、なんで俺と噂されちゃうかね。俺もいろんな人に聴かれるんだろうなあ。否定してまわるのがめんどくせえ。
2016-09-13 09:14:02デスクでカタカタやっていると、後輩がやってきて、あの人と付き合ってるって本当っすか!?と聴かれた。はいはい。彼女は同僚とつきあってるから、それは誤解。
2016-09-13 13:17:01この会社一番のうわさ好きと言えば彼女だ。たまたま廊下を歩いているところに声をかけ、それとなく聞き込みをすると、やはり話をふれまわっていたのはこの人だった。勘弁してくれ。
2016-09-13 17:59:15とりあえず噂の否定をし、真実を伝えておく。多分明日にはこの話が社内中にまわることだろう。同僚と彼女には悪いが。まあ嘘より真実が伝わったほうがいいはずだ。
2016-09-13 18:00:17