『大学四年間をマンガで棒に振る』を読んで思ったこと――知恵と知識と大学教育について

『大学四年間をマンガで棒に振る』を読んで思ったことです。 ぶっちゃけ言って、マンガ家になりたいのだったらマンガを描くしか無いわけで、そもそもマンガ家になりたくて大学を選んだこと自体が間違いだとしか言えない訳ですが…。じゃあ、彼は何を学べばよかったのかと、ふと自分に照らして考えてみた次第です。
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Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

『T京K芸大学マンガ学科一期生による大学四年間をマンガで棒に振る』なかなか面白かった。ゲームなんかでもそうだけど、そこの業界で生きていく為の知恵は、現場のほうがよほど身につくと思う。(続く) http://bit.ly/aCeP7o

2011-02-19 10:45:06
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

大学で学べるのはその知恵の背後にある物事の考え方のフレームワーク。もっとも件のマンガ学科がそれを教えているのかというと、極めて疑問だが…。マンガを勉強したいのなら、よほど他の学部に行った方がいいんじゃないんだろうか?結局、マンガを描かない限りプロの漫画家にはなれないのだから。

2011-02-19 10:47:45
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

@usagiou リンク先のマンガの中で、同感だったのは、「知識は教えられるけど、その業界で生き抜いていく為の知恵は自らが編み出していくしかない」というポイントだけでした。でもだったら大学なんて作んなよとも思いますがw

2011-02-19 10:54:04
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

僕の大学時代の恩師は、「自分なりの物事の考え方のフレームワークができるようになったら卒業だ」と常々仰ってくれたものです。その教えは、今でも僕の中に生き続けていますし、日々ものすごく役に立ってます。でもそういうことって、授業で習うことじゃないんですよね。(続く)

2011-02-19 11:05:40
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

僕がこのことを先生から習ったのは、論文執筆の為に1週間ほど那須にある先生の別荘にお邪魔させていただいていた折りに、満天の星空の元で1時間ばかり語り合った時でした。当時、オウム真理教の青年達がテロを起こした直後であり、彼らと僕らにどの程度の違いがあるんだろうかという話からでしたね。

2011-02-19 11:09:12
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

もう少し続けると、その時先生が仰ったのは、「彼らと君達との間に違いがあるとするならば、君達のほうが少しばかり疑い深かっただけだと思う。不安を抱いている人は真理を知りたがる。そこにつけ込んで自らのエゴを『真理』だと称して押しつけようとする者は、世の中にはたくさんいる」(続く)

2011-02-19 11:18:16
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

「彼らはその押しつけられた『エゴ』を真理、すなわち『答え』だと受け入れてしまった。君たちにとってはそれが『答え』だとは思えなかっただけだと思う」と。物事を考えるフレームワークとはまさにこのことで、自分の判断の基準をつくること、それによって現在起こっている事態を説明すること(続く)

2011-02-19 11:22:36
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

そしてもっとも重要なのは、同じフレームワークを利用してこれから起こる未来を予測可能にすることにある。その為に、日々そのフレームワークが「正しい」ものであるか、常にチェックしている必要がある。こういう思考法を仮説演繹法といい、それを発展させたものが科学的方法論です。(続く)

2011-02-19 11:27:18
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

本来の大学教育は、この科学的方法論に則って各分野を知識を系統立てて整理し、次の世代へとつなげていくことを使命としている。しかしそのことを学べる学生は、おそらく同じ学部の1%もいないことと思う。そんな当たり前のことが奥義になってしまっているのが、今の大学教育の悲しいところだろう。

2011-02-19 11:31:03
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

さて、元の「大学生活を棒に振った人のマンガ」だけど、あのマンガ自体は面白いと思う。でもだからといって彼がエンタティンメントに向いているかというと、それは違う。(続く)

2011-02-19 11:39:19
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

どんな物語でも血肉の入っているものは面白いものなのだ。そういう点では、あのマンガは面白い。でもその面白さはエンタティンメントとは違う。その差がわかるかどうかがプロになれるかの境目かと思う。プロとは、その血肉の入った物語から、エンタティンメントのみを抽出して提供できる職人のことだ。

2011-02-19 11:40:46
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

そしてそれを分けるスキルこそが、業界を生き抜くための知恵なのだと思う。

2011-02-19 11:41:10