ダイアン・コイル「GDP――〈小さくて大きな数字〉の歴史」 @WARE_bluefieldさんと@ysttさんの書評

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WARE_bluefield

WARE_bluefield @WARE_bluefield

コイルの『GDP』やっと読んだわよ。これは面白いですね。以前呟いた小巻本と互いに補完しあってる内容ではないかと思う。詳しい感想はまた後で呟く予定。 amazon.co.jp/dp/4622079119/

2016-08-31 10:39:30
WARE_bluefield @WARE_bluefield

小巻本ではSNAの違いで経済政策の計測結果に差が出ることが指摘されてるけど、コイルの本ではそのSNAの内訳と改定されてきた歴史的経緯が細かく改正されてて、いろいろ興味深い。

2016-08-31 10:47:01

WARE_bluefield @WARE_bluefield

これ論を続けると結局、「フィスカル・ポリシーを適正に試行することができるのか? 」って命題に突き当たるとは思う そして以前呟いた小巻本だと、たしかたしかサービス業の稼働状況の統計が日本では不完全なので、ギャップ計測の難しさに繋がってる、と指摘されてるわけだよね。

2016-09-04 02:47:10
WARE_bluefield @WARE_bluefield

そしてまあ、小巻本を読んだ時は日本だけの問題なのかな、と思ったけど、先日呟いたコイルの『GDP』によると、他の先進国もサービス業の統計は非常に難しくて、十分の実態を把握できてない、とか。

2016-09-04 02:48:47
WARE_bluefield @WARE_bluefield

サービス業だけではなくて、ITや金融業の生産性計測・GDPへ反映が非常に難しいことも指摘されてるんだよね。

2016-09-04 02:53:13
WARE_bluefield @WARE_bluefield

コイル本では、米でニューエコノミーがもてはやされていた時期、要は他の先進国に比べて米が高い成長率を達成していた時期、国連のGDP計測の改定基準をいち早く反映させた結果の可能性が高い、と指摘されている。 遅れて反映された、他の先進国でも似たようにGDPの増加が計測されるそうな。

2016-09-04 02:56:57
WARE_bluefield @WARE_bluefield

金融業のに関しても、リーマンショック直後に、英でGDPの内訳に金融業の比重が増え、金融業の成長率の向上等々がが計測されたが、これも基準改正の結果ではないか、と指摘されている。

2016-09-04 02:59:17
WARE_bluefield @WARE_bluefield

もうすぐ各国が採用予定の『2008SNA』を、今のアメリカに適用すると、GDPが2%近く上がるとか。

2016-09-04 03:00:41
WARE_bluefield @WARE_bluefield

あとは現行下の英で成長率がゼロ近傍なのに、就業者が増えていってる現象が指摘されていて。ココらへんはけっこう日本と似てるよね、とは思った。

2016-09-04 03:01:49
WARE_bluefield @WARE_bluefield

コイルの本で一貫して問題視されているのが、当初は生産性を測るために考案されたGDPが、ニューディール期と戦後を経て、財政政策の有効性の為の数値としてアドホックに改定を重ねてる事実。

2016-09-04 15:32:45

WARE_bluefield @WARE_bluefield

最近、会う人、会う人が、ジョセフ・ヒースとダイアン・コイルを褒めてるので、TLで未読の方々は是非とも読みましょう。 人文・社会科学的な領域で論争になってるいろんな事案に関して、現段階での総合的な見地みたいな知見が得られるんじゃないかな。

2016-09-26 19:32:36
WARE_bluefield @WARE_bluefield

個人的には、ヒースとコイルに追加して、小巻さんの『経済データと政策決定』も良いですよ。 amazon.co.jp/dp/4532134617/

2016-09-26 19:33:18
WARE_bluefield @WARE_bluefield

コイルのGDP本、サービス業の統計を取る困難さについて延々書いてある本でもあるのだけど、10年以上前の著作の問題提起が実を結んだようでなかなか感慨深い。 自分もこれを読み直す予定。 amazon.co.jp/dp/4492222073/

2016-09-26 20:25:59

ystt

ぜく @ystt

コイルの『GDP』に関連して。イギリスは1976年にIMFから緊急融資を受けたが、後に貿易赤字とGDPの数値が修正されると、実は「危機」はそれほど深刻ではなかったそうだ。当時の大蔵大臣は「正しい数値が分かっていたら緊急融資を求める必要はなかった」と述べている。この話は驚いた。

2016-09-04 23:24:04
ぜく @ystt

『GDP――〈小さくて大きな数字〉の歴史』(ダイアン・コイル)を読み終えた。GDPはそもそも何を測っているのか、実質化と国際比較の難しさ、「生産の境界」の恣意性、SNA改訂の影響、サービス産業や金融業、IT産業の「生産」とは何なのか、新たな時代のGDP等々、得るものが多かった。

2016-09-05 22:11:30
ぜく @ystt

金融仲介業は93SNAで「間接的に計測される金融仲介サービス(FISIM)」なるものが導入されてGDPに計上されるようになったが、FISIMは定義上、金融機関がリスクを取れば取るほど「付加価値」が増えるので、金融業は実態よりも過大評価されていたとか。コイルはFISIMに批判的。

2016-09-05 22:17:12
ぜく @ystt

要は運用残高に参照利子率(リスクフリー・レート)と運用利子率のスプレッドを掛けた額が金融業の生みだす「付加価値」になるわけだけど、2008年に FISIM を導入したイギリスは、金融危機の真っ最中に金融業の GDP への貢献度が大幅に上昇したとか笑えない話もあった。

2016-09-05 22:19:14
ぜく @ystt

また、貿易統計では通常、中間財が控除されていないため、たとえば米中間の貿易不均衡などは実態よりかなり誇張されているだろうという指摘があったが、もっともな話である。

2016-09-05 22:20:56
ぜく @ystt

一定水準を超えると所得が増えても幸福度は上がらないとうイースタリンの逆説にも触れていたが、GDP は定義上、上限がないのに対して、アンケートで測られる幸福度は上限があるという統計的性格の違いのために生じた逆説だという。言われてみれば当たり前の話である。

2016-09-05 22:28:53
ぜく @ystt

『GDP――〈小さくて大きな数字〉の歴史』(ダイアン・コイル)、オススメです。 amazon.co.jp/dp/4622079119

2016-09-05 22:31:51

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