斎藤環『キャラクター精神分析』読書メモ集

斎藤環『キャラクター精神分析』(ちくま文庫、2014)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

あなたはミッキーを、本当に「ネズミそっくり!」と思うだろうか。僕はそうは思わない。だいたいネズミはあんな大きな耳を持っていない。目にしても大きすぎるし、表情も豊かすぎる。手足が長くて二足歩行の、靴や手袋をしたネズミをあなたはみたことがあるだろうか。by斎藤環『キャラクター精神分析

2016-09-29 10:58:24
荒木優太 @arishima_takeo

「たとえば「狐のようにずる賢い」とか「炎のような情熱」といった表現は隠喩的である」(斎藤環『キャラクター精神分析』)。隠喩の説明で「ように」とか使って大丈夫だろうか…?(隠喩じゃなくて直喩じゃね??)

2016-09-29 11:00:04
荒木優太 @arishima_takeo

『キャラクター精神分析』。パースのシンボル/イコン/インデックス。ミッキーマウスは東京ディズニーランドのシンボル(抽象化的産物)になりうるが、同時にインデックス(因果的連結)でもある。それは文脈次第。メモ。

2016-09-29 20:04:57
荒木優太 @arishima_takeo

『キャラクター精神分析』。キャラには隠喩的と換喩的がある。前者の代表例はディズニー、極めて人間的(擬人化)で表情豊か。対して、後者の代表例はサンリオ、表情が乏しく動物的。隠喩は対象の抽象的特徴に注目するが、換喩は隣接する事物に注目する。つまり、前者がキャラクターで、後者がキャラ。

2016-09-29 20:09:09
荒木優太 @arishima_takeo

『キャラクター精神分析』。隠喩的=人間的=キャラクターの本質は「転送可能・複製不可能」。換喩的=動物的=キャラの本質は「複製可能・転送不可能」。メモ。(たとえばサザエさん一家はどっちなんだろう?)

2016-09-29 20:13:00
荒木優太 @arishima_takeo

「キャラ」とは要するに、何度も複製されることでいっそうリアルになるような存在のことではないか。だからこそ彼らは、二次創作における複数の世界で、生き生きと活動できるのではないだろうか。by斎藤環『キャラクター精神分析』

2016-09-29 20:14:23
荒木優太 @arishima_takeo

「~萌え」という自称は、自らの嗜好に対する揶揄や嘲笑を、キャラクター化によって先取り的に笑いのめす(「シャレ」や「ネタ」にする)ことで、セクシュアリティによる傷付きを防衛しようという身ぶりではないだろうか。by斎藤環『キャラクター精神分析』

2016-10-01 09:20:57
荒木優太 @arishima_takeo

データベースは、徹底して匿名的だ。たとえその断片の元ネタがなんであるか推定できたとしても、その元ネタがさらなる引用の束だったりすることもある以上、作家へのリスペクトよりは、公共財の気軽な活用、というニュアンスが濃厚になる。by斎藤環『キャラクター精神分析』

2016-10-01 09:28:42
荒木優太 @arishima_takeo

どうでもいいけど、ニュアンスって微妙な差異って意味だから、「ニュアンスが濃厚」みたいな使い方されると躊躇を感じるよな(誤用とは思わないが)。

2016-10-01 09:29:50
荒木優太 @arishima_takeo

データベースは「顔」を生み出すことができないのだ。より正確に言えば「顔の同一性」を。データベース理論は、キャラの差異化についてはある程度記述可能だ。しかし同一性の成立については、これだけでは積極的に記述できない。by斎藤環『キャラクター精神分析』

2016-10-01 09:36:28
荒木優太 @arishima_takeo

顔の反復から新しい顔が生まれる。僕はキャラの顔は、そのようにしてもたらされたと考えている。現存するほとんどのキャラは、なんらかのコンテクスト性のもとでの反復によって生まれた。僕はそう確信している。by斎藤環『キャラクター精神分析』

2016-10-01 09:38:53
荒木優太 @arishima_takeo

「キャラは、単一の主体の所有物ではなく、対人関係の文脈においてその都度生成させられるものであるがゆえに、コントロールがきかない」(斎藤環『キャラクター精神分析』)。そう、もし分人主義を唱えるのなら、この厄介さもまた引き受けなければならないはずだ。分人こそ対人恐怖を助長するのでは。

2016-10-01 09:51:47
荒木優太 @arishima_takeo

僕の考えでは、同一性とは、実は「人間」にしか該当しない概念である。by斎藤環『キャラクター精神分析』

2016-10-01 09:54:43
荒木優太 @arishima_takeo

斎藤環『キャラクター精神分析』読了。途中事例紹介の羅列になってややテンションが落ちるようにも思ったが、最後盛り上げてくれるので、一貫して興味深く読んだ。あと、東浩紀愛が全体に溢れている。出て来ないページ探す方が難しいのでは?

2016-10-01 10:18:52
荒木優太 @arishima_takeo

「キャラとは同一性だけを伝達する」という新定義は成程と思ったが、それだと別に新しい現象でもないんじゃないか、とか思うのだが、どうなんだろう(たとえば、固有名はキャラなの?)。

2016-10-01 10:21:47
荒木優太 @arishima_takeo

あと、ペルソナとキャラの違いとして、背後に欠如を抱えているかどうかが重要とあるが(275頁)、齋藤のいうように結局キャラが否定神学的人間的主体モデルから離れられないのなら、それって結局同じなんじゃないの?とか思った。

2016-10-01 10:22:19
荒木優太 @arishima_takeo

データベースからはキャラの「顔」は生まれないって話も、すごい説得的だなと思う一方、じゃあ「顔」ってどう生まれるの?って話になると、よく分からなかった。「顔の反復から新しい顔が生まれてくる」のはいいとして、その個体性を弁別する(あのキャラとこのキャラ)契機ってなんなの?

2016-10-01 10:25:37
荒木優太 @arishima_takeo

データベースに代わり出てくる「アーカイヴ」の内実もまだイマイチ掴めていない。DBと違い「複雑な構造と自律的な作動原理」を備えており、「作家の衝動性や抑圧、郷愁や強迫」の原因となるもののようだけど、要するに同一性を司るコンテクストがそうなの?

2016-10-01 10:30:49