「プリンスに大量の未発表曲があることは八〇年代から公然の事実で、ブートレグも数多く出回っていました。自分もそのほとんどを、今はもうすべて潰れてしまった西新宿の海賊版専門店を回って買い集めてきました。」
2016-10-07 20:17:17「しかし、今となっては、自分はプリンスの未発表音源を待ち望む気持ちをまったくもっていません。むしろ、みんながなぜそこに期待を膨らませているのかがわからない。」
2016-10-07 20:17:32「本来、発表される音源と言うのはアーティストの立ち会い、もしくは承認のもと、ミックスとマスタリングを施さなければ完パケしません。」
2016-10-07 20:18:10「それを--プリンスのスタジオにあった金庫の扉をドリルで開けたという話を聞いたときははっきり不快でしたが--プリンス自身が関与しないところで、彼が望んでいないかたちで、その死後に聴いても、自分は悲しくなるだけです。」
2016-10-07 20:18:29アーティストが関与しないところで、本人が望んでいないかたちで出された音源を聴くということをどう考えるか、というのはブートレグを聴く人間にとっては常に問題である。
2016-10-07 20:18:53だが、ここではブートレグの是非については議論しない。宇野も、80年代には買っていたというのだから、ブートレグ自体を否定しているのではないだろう。
2016-10-07 20:19:07宇野の言い方だと、ミックスとマスタリングを施したものをアーティストが承認すれば、 そのアーティストの「身体」が刻印されることになるらしい。この理屈が分からない。そもそも、"「身体」が刻印される"という言葉が何を意味するのかも曖昧でよく分からない。
2016-10-07 20:19:42現在のレコーディングの通常の工程においては、ミックスとマスタリングを施したものをアーティストが承認するということが行われる、というのは分かる。だが、過去には必ずしもそうではなかっただろうし、現在でも常にそうだとは言えないのではないだろうか。
2016-10-07 20:20:01昔のジャズのミュージシャンなんかで、自分が演奏した後の工程には全く無関心で、そうして出されたものが今では名盤と呼ばれている、なんてこともあるのではないだろうか。
2016-10-07 20:20:17また、テレビやラジオで放送されるライブ音源では、録音やミックスは曲の側が行って、アーティスト側は直接関わらない、ということもあるのではないだろうか。
2016-10-07 20:20:38そもそも"「身体」が刻印される"という言葉が何を意味するのかよく分からないので、この問いに意味があるのかどうかすら分からない。
2016-10-07 20:21:06宇野の文章に対する反応を検索したら、素晴らしい身体論、と褒めている人がいたのだが、その人には、私には意味のない似非哲学な物言いとしか思えないこの文章が理解できるのだろうか。
2016-10-07 20:21:32「かつてブートレグを買い集めていたのは、『Crystal Ball』(1997)のようにいつか本人が承認した作品が出るのを期待しつつ、それをこっそり人よりも先に聴くのが楽しかったからなんですよ。」
2016-10-07 20:21:54それじゃあ、宇野は、その時点では本人が承認していない、"「身体」が刻印されていない"音源を、こっそり人よりも先に聴いて楽しんでいたのか。「身体」が刻印云々の議論は一体何だったのか。
2016-10-07 20:22:19