【シュアリー・ユー・アー・ジョーキング】エピローグ、あるいはAppendix

J0SHUA @kj0shua2112

【シュアリー・ユー・アー・ジョーキング】エピローグ、あるいはAppendix

J0SHUA @kj0shua2112

(マクスウェルの殺戮は終わった。彼の死がもたらした情報は、新たなイクサの火種を生み出した。彼のおまけの人生はそれ以外何も生み出さなかった。果たして、本当にそうだろうか？)

J0SHUA @kj0shua2112

001011ソーマト・リコ001110どこで間違えた。あの赤黒いニンジャとイクサになったときか。同僚を殺したときか。ニンジャになった時か。1010011101俺は、何のために100110010

J0SHUA @kj0shua2112

00110101010((お前の力だ、今こそ01011もう一度))((やめろ……そのような))110100((力を、よこせ……もう一度！))「グワーッ！」「ARRRGGGHH！」010101001......

J0SHUA @kj0shua2112

モナガは大教室めいた空間に佇む己を見出した。その場にいるのは教壇に立つ彼一人。否、最前列には、かつての指導教官が座っている。その奥、そして周囲には何人もの聴衆。殺したはずのエザキ＝センセイも。「……冗談だろう」彼はズレたメガネを手で直した。

J0SHUA @kj0shua2112

だが彼は知っていた。これは、あの時の光景だ。自分が夢に生きていた頃の、人生の転落が始まった、あの瞬間を。彼は全てを理解した。もう一度。彼はチョークを手に取った。その手は、かつてのようにやや骨ばったものだった。

J0SHUA @kj0shua2112

一面書き尽くす度、また一面。また一面。不思議な事に、新たに生み出せる枚数にも、また黒板が連なっていく高さにも制限がないように思われた。今や、天井も、壁も、周りの聴衆も、01のノイズに包まれていた。2進法の光は、モナガをも照らし、包み込んでいく。

J0SHUA @kj0shua2112

果たして何が起こっているのか？ここはモナガのローカルコトダマ空間、現実とは異なる位相の時間が流れる場所。現実空間の彼は、ニンジャスレイヤーによるジュー・ジツの禁じ手、アラバマオトシによって、背後から拘束されたまま地面への激突死を待つばかりである。

J0SHUA @kj0shua2112

ニンジャスレイヤーが用いるは必殺の暗黒カラテ奥義！今となってはアラバマオトシからの脱出は不可能だ！ナムアミダブツ！モナガの頭蓋は割れ、落下しながら血とともになお流れ出るは、彼の脳漿、人格、記憶である！

J0SHUA @kj0shua2112

万が一にニンジャスレイヤーの落下拘束を逃れ生き延びたとしても、もはやモナガは現実世界で己の名前すら満足に発声出来ぬだろう！しかし、おお、何たる奇跡か！狂人めいた執念か！ソーマト・リコールめいたブッダのイタズラか！あるいは彼の人生のロスタイムは、この瞬間のためにあったのだ！

J0SHUA @kj0shua2112

捻じ伏せられ、力づくで引き出されたニンジャソウルのエネルギーが、今だ残る僅かなニューロン回路を恐るべき密度で結びつけ、ローカルコトダマ空間における命がけの演算を可能なものとしているのだ！モナガに、最期の夢を見させるために！

J0SHUA @kj0shua2112

計算は終盤に入る。書き損じを発見し、黒板消しを取る間も惜しんで左手で消そうとする。そこには01の光。彼の身体はついに01分解され始め、残るは右腕を含む上半身のみであった。気に留めず、右手で黒板をこする。飛び散るチョークの飛沫が01に輝く。知恵の神メーティスの祝福めいて。あと少し。

J0SHUA @kj0shua2112

彼の右腕も光に溶けていく。ニンジャスレイヤーは一層拘束の力を増した。モナガは最後の行を書き終える。地面が眼前に近づいた。何十回目かの見直しを行う。背後からは硫黄めいた死神の息。右手が消失し、チョークが床で一度砕けながら跳ね、01に消えた。モナガは、微かに微笑んだ。

J0SHUA @kj0shua2112

【シュアリー・ユー・アー・ジョーキング】終わり

ハム @moq_heads

最初は赤黒と対峙させるつもりだったんですが、エリちゃんがカワイイだったから仕方ない……アーイイ #josh_txt pic.twitter.com/niwqzZIzj3

拡大