安倍晋三首相の国会での「自衛隊等への拍手促し」事件について 《山崎雅弘》

表題に関連するツイートをまとめました。諸々の問題を考える参考にしていただければ幸いです。
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

これもすごく気持ち悪い。「安倍晋三首相の26日の所信表明演説で、海上保安庁、警察、自衛隊をたたえるために安倍氏自らが約10秒間にわたって演説を中断し、拍手をする一幕があった」(朝日)asahi.com/articles/ASJ9V…「安倍氏に拍手を促された自民党の議員たちも一斉に立ち

2016-09-26 19:58:17
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

(続き)上がり、手をたたき続けた」日々仕事をしているのは海上保安庁、警察、自衛隊の職員だけじゃない。なんでこれらの人にだけ、特別な「心からの敬意を表す」のか。1930年代後半の日本なら珍しくない光景だが、これで自衛隊員が紛争地で死ぬようなことになればどうなるか。容易に想像できる。

2016-09-26 20:01:30
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

私は、国会の所信表明演説で安倍晋三首相が行った「海上保安庁、警察、自衛隊礼賛の拍手」は、ただのパフォーマンス(人気取り)に留まらないと思う。社会の空気を特定の方向に、少しずつ変えようとしている。国家権力に奉仕する人間が、他の職業より優位にあるという価値観を浸透させようとしている。

2016-09-26 20:05:01
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦前戦中の日本と同様、国家体制に奉仕し命を捧げる人間を特別に礼賛するのが「当たり前のこと」という舞台設定をまず作り、それに異を唱える人間は「道義的に問題がある者」であるかのような構図を創り出して、後者の立場をとる者を精神的に孤立させ、圧迫する。国家体制への奉仕が社会の理想となる。

2016-09-26 20:07:35
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

安倍晋三首相の促しで国会議員の多数が起立して行った「海保、警察、自衛隊への拍手」の問題は、やがて安倍時代が終わり社会の揺り戻しが起きた時、2016年の政治状況の異様さを示す事例としてシンボリックに扱われるだろうと思う。社会の構造や価値観の転換を、国権の最高機関で堂々と行っている。

2016-09-30 14:05:28
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

今はまだ、野党議員や国民がこうした拍手に「従わない」という立場をとることもできるが、この先もし自衛隊や海上保安庁の隊員が「国を守る」という形式で外国人との衝突などで死ぬような事態になれば、従わないという立場をとることが一挙に難しくなる。安倍首相とその支持勢力は、それを望んでいる。

2016-09-30 14:06:50
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦前戦中の日本でもよく使われた手法だが、権力者が特定の名目で行う政治的行動には、表向きは語られない、二つ目や三つ目の実質的な政治的効果の期待が込められている場合が少なくない。国会での与党議員の起立拍手は、今後起こる出来事への布石的意味も含め、多面的な分析と批判的検証が必要だろう。

2016-09-30 14:09:19
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

安倍晋三首相の促しで国会議員の多数が起立して行った「海保、警察、自衛隊への拍手」には、各組織の沖縄での行動を擁護し、大手メディアが批判的に報じにくい空気を作る効果もある。「批判されても心配するな、情け容赦なくどんどんやれ。バックに俺たちがついているぞ」とのメッセージを送っている。

2016-09-30 14:17:47
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「首絞まっちゃうよ」警察官、笑いながらロープで市民拘束 【動画】(沖縄タイムス) headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160929-… 安倍晋三首相と自民党の国会議員は、この警官の行動にも拍手を送っている。自分たちに従わない人間は、たとえ日本国民であっても、日本国民ではないように扱う。

2016-09-30 14:23:48
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「安倍首相と与党議員の『海保・警察・自衛隊』だけ特別扱いした国会での拍手」事件について、民進党も大手メディアも「国会でのスタンディングオベーションという行動/形式の妥当性」に矮小化しているが、問題は形式じゃないだろう。そこでは明確な「価値観」が示されているのに、見ないふりをする。

2016-10-01 15:16:37
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

海保・警察・自衛隊の三組織には「国の内外で『現在の権力者から見た敵』と戦う公務員」という共通点があり、同様に日々過酷な勤務に従事する公務員でも、消防隊員や救急隊員は「国会で拍手」されない。首相と与党議員が国会の議場で「海保・警察・自衛隊の三組織だけ」特別扱いする必要が今あるのか。

2016-10-01 15:18:32
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

首相と議員の国会議場での「海保・警察・自衛隊への礼賛の拍手」という事件は、各組織内部でこれから先「受けた命令の妥当性への疑問」を封じる心理的効果を生み出す可能性もある。公務員は権力者の奴隷や私兵ではないので、法を逸脱した命令を拒絶する権利を持つが、それをできない空気が醸成される。

2016-10-01 15:20:31
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

安倍晋三首相は、非民主的な政治権力者の多くと同様、「敵と味方」の区分法を多用する。首相と国会議員による「海保・警察・自衛隊への礼賛の拍手」事件は、安倍首相と与党議員が「海保・警察・自衛隊の味方」であるかのような図式を一方的に創り出し、三組織の隊員が命令に疑問を抱く余地を消し去る。

2016-10-01 15:22:11
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

実際には、政治指導者と兵士や国民が常に「味方」であるとは限らない。北朝鮮の国民や一般兵士にとって、本当の敵は「アメリカ」ではなく自国の政治指導者ではないのか。第三国の立場から客観的に見れば、そんな欺瞞的な構図がよくわかるが、当事者になってしまうと客観的な視点を失い、見えなくなる。

2016-10-01 15:23:52
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

安倍晋三首相も稲田朋美防衛相も、靖国神社への参拝を正当化する理由として「国のために犠牲になった軍人に感謝するのは当然」という論理を使うが、その首相が国会の議場で「海保・警察・自衛隊の三組織だけ」特別扱いして国会議員に拍手させる。ある種の方向に沿った「お膳立て」が着々と整えられる。

2016-10-01 15:25:35
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「国のために死んだ軍人やそれに殉じる国民」に感謝するのは当然、という論理は一見もっともらしいが、重要な落とし穴が隠れている。この論理では「国家指導者の判断が間違っている場合もある」という現実の一側面が巧妙に切り取られる。国家指導者の判断や命令は常に正しいという前提が絶対化される。

2016-10-01 15:27:29
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「国のために死んだ軍人」に感謝するのは当然という論理で、首相や閣僚の靖国神社参拝を正当化する人間は、当時の国家指導者の判断や命令に問題があったから軍人や市民の死者が不必要に増えたのでは、という現実の一側面を巧妙に消し去る。戦没軍人顕彰という形式で、当時の指導者の責任を消失させる。

2016-10-01 15:33:45
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

先の戦争は当時の国家指導者の判断ミスや無能力が原因で発生し、破滅的な結果をもたらしたのではないか、指導者の判断や命令に間違いも多かったのでは、という観点で国民が議論することを、首相やその周辺は認めない。それを認めると、戦前同様の「国家指導部の無謬」という神話を再構築できなくなる。

2016-10-01 15:36:34
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

衆院予算委 首相「私が促したわけではない」起立と拍手に(毎日)mainichi.jp/articles/20160… 総理大臣が平然とウソをつく。「心からの敬意を表そう」と言ったあと、自分が拍手して議場に追随を促していたのは明白で、「(拍手)」などと記された演説の台本も確認されている。

2016-10-01 15:38:03
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

事前の打ち合わせがなければ、あんな短い時間に全ての与党議員が滞りなく一斉に立ち上がり、北朝鮮の議場のような統制がとれた拍手をすることは起こりえない。この毎日の記事は「首相が(中略)問題視しない考えを示した」で終わりにしているが、新聞の仕事は何なのか。首相に従って問題視しないのか。

2016-10-01 15:39:24
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

実際には拒絶を許されない「命令でなされた行動」なのに、形式的に「自発的」とされ、命令者の道義的責任を消失させた前例として、先の戦争末期の特攻(航空機の体当たり攻撃)が思い浮かぶ。価値観が同じなら、行動も同じになる。命令者が責任をとらない形式で、実質的な命令と服従の範囲が拡大する。 pic.twitter.com/ifGHWN0gpA

2016-10-01 15:41:27
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

毎日新聞別冊「日曜くらぶ」10月2日付に掲載された、松尾貴史さんの「安倍首相の国会での所信表明演説」についての寄稿。首相の促しで起きた集団的拍手が「国家のために命を提供することも辞さない職業に対して、優位に評価する価値基準を定着させようという目論み」という見立てに、私も同意する。 pic.twitter.com/bqozA9NzXr

2016-10-03 20:31:01
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

南スーダンの状況が悪化しているにもかかわらず、安倍晋三首相が「『衝突』であって『紛争』ではない」との印象操作による現実認識の歪曲に固執しつづければ、やがて自衛隊に死者が出る。それを避けたいと思っているのか、実はそう思っていないのか。 twitter.com/yujinfuse/stat…

2016-10-04 18:54:16
布施祐仁/FuseYujin @yujinfuse

在南スーダン大使館の「紛争」の記述もそのうち、すべて「衝突」と書き換えられるかもしれませんね。大使館HPに掲載されている「南スーダン通信」はぜひ読んでみて下さい。日本がいかに非軍事の分野でも既に貢献しているかがよく分かります。

2016-10-04 10:20:44
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「『衝突』であって『紛争』ではない」との印象操作で、状況認識を見誤り、それで自衛隊員に戦死者が出るなら、それは安倍晋三首相の判断ミスによる犠牲者であり、「国策に殉じた自衛隊員の英霊に感謝の誠を捧げよう」という話ではない。撤退すべき時期を見極められない人間に最高指揮官の資格はない。

2016-10-04 18:56:36
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「国を守る」という言葉を政治家やメディアが使う時、その意味には少なくとも三種類ある、という話を、本で書いたり講演で話したりしている。この三種類は、本質的には別物だが、政治家はわざと違いを曖昧にして、受け手が錯覚するような使い方をする。画像は去年、沖縄の講演で使った資料の1ページ。 pic.twitter.com/BYgY87SJOI

2016-10-06 18:33:01
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