第14話 「エンドウ沖の残火」 パート2

脳内妄想艦これSS 独自設定注意
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白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

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2016-10-21 07:46:15
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

__ 隠しておく事の持った意味 __

2016-10-21 07:46:22
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__ 第14話 エンドウ沖の残火 パート2__

2016-10-21 07:46:29
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14-2-1 ガゴッ!ガシャンッ!! …重たい音を立てて土を撒き散らしながらシャッターが開く。 その先に現れた薄暗い空間に目を凝らすと、搬送エレベーターになっているようだ。 「…無人島のジャングルの中に何てモノを作ってるのよ…」 五十鈴は半ば呆れつつ、荷物から懐中電灯を取り出す。

2016-10-21 07:47:04
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14-2-2「さて、鬼が出るか蛇が出るか…」 全員がリフトに降り立ったのを確認すると、雲龍は自分の側のレバーを『降下』と刻印された方向に倒し…4人が乗ったリフトはゆっくりと暗闇へ向かって下がる。 …そして同時に頭上のシャッターは重い音を立てて閉じ始め…直後日の光の一切が失われた。

2016-10-21 07:47:21
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14-2-3 リフトはそう時間を掛けずに終点に到達した。 着いた先は外の明かりも電気も無い、完全な暗闇。全員がライトを付け、油断なく周囲の暗闇に目を光らせる。 「あれ?」 鉄柵、ラインの引かれた鉄の床、配管…綾波は灯りの中に映り込む光景に、妙な既視感を感じた。

2016-10-21 07:47:42
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14-2-4 他のメンバーの顔にも同じ疑問の色が表れている。 それは、自分達の記憶の内の艦娘の部分が思い起こさせてくる光景。 「…航空機格納庫?」 「…に見えなくもないですね、ここ」 肝心の航空機は見当たらないが、似ている。 「なら、今使ってきたのは航空機のエレベータかしら」

2016-10-21 07:48:39
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14-2-5「そうだとしても飛ばせるスペースが無いと思うけど」 雲龍が訝し気な顔をする。何しろ外は密林で、空き地の幅も飛行するには全く足りていない。 「…情報が足りないわね。進みましょうか」 ここで幾ら推論を並べても仕方ない。 とは言え、視界は現状手持ちのライトの灯りが頼みだ。

2016-10-21 07:48:48
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14-2-6「ここに誰か居たとしても、まさかこのまっ暗闇で生活してたって事は無いでしょう」 五十鈴が目の前に現れた防火扉を開く。 先には、無機質な狭い通路と、通路に沿うように点在する扉が見えた。 「今は切れてるようですが、天井や壁にも電灯が有ります。電力を復旧出来れば、点くかも」

2016-10-21 07:49:04
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14-2-7「復旧ね…」 そのためには発電機ないし非常電源施設を視界の悪い中で見つけ出さなくてはならない事になる。普通に考えれば中々難しい話なのだが… 「どう思う?皆」 五十鈴が意見を求める。 「当てずっぽうで回るよりは、下のフロアの『中央』付近から探すのはどうでしょうか」

2016-10-21 07:49:22
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14-2-8「やっぱりそう思うわよね」 ここは孤島の地下空間のハズである。 …なのだが、防火扉を抜けてから視界に入ってくる物々も、五十鈴達に目指す場所が『船底区画』にあるのではないかと思わせていた。 その場所の造りは、あまりにも艦船の内部の構造に酷似していたのである。

2016-10-21 07:50:01
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14-2-9「油断はしないでよ、深海棲艦達をあんな状態にした何かが、この島には確実に居たって事なんだから…」 コツ、コツと五十鈴達の歩く音だけが暗闇に響いて消える。 その音を耳で追っていく分には、孤島地下の無機質な鉄の体内には他の生命の息遣いは感じられなかった。

2016-10-21 07:50:11
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14-2-10 暑い日差しに包まれた孤島の浜辺。 主機のメンテナンスをさっさと終わらせた明石は、ビーチセットを広げて一人その環境を満喫していた。 サイドテーブルから前もって準備しておいたジュースを喉に流し込み、パラソルの下にセッティングしたビーチチェアにごろりと横になる。

2016-10-21 07:51:15
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14-2-11「完璧…完っ璧だわ、私の任務中休暇計画…」 ちなみにこの明石、『鳶』の荷物に手製のセンサーを紛れ込ませており、4人が付近まで戻って来た際にはアラームでそれが分かるように仕込んでいる。引き際を誤るつもりもない。 「あぁ、良い眺め。リラックス出来るわ…」

2016-10-21 07:51:23
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14-2-12 目を閉じれば、頬を撫でていく海風、そして周りからは心地良い自然の音。 波が打ち寄せ、カモメが鳴き、草木がこすれ、遠くには熱帯の鳥の声。 また波が寄せ、キィと高い音が響き、草木が擦れ、鳥が飛び立ち… 「…」 明石はすっとサングラスを外し、丁寧に畳んでテーブルに置く。

2016-10-21 07:51:32
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14-2-13 そして、脱いだ上着から通信機を取り出すと、大きく息を吸い込み… 叫んだ。

2016-10-21 07:51:56
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「てぇいいいいぃいとぉおおくぅうううっ!!!!!」 通信機の向こうから水のはね散らかる音と、ドタンバタンと騒がしい音、それから鳳翔の驚いた声が聞こえてくる。

2016-10-21 07:52:11
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14-2-14 執務室の机の周りは酷い有様だった。 風見の口からほうじ茶が飛び散り、通信機は地面に落ち、机の上にあったものは滅茶苦茶になっていた。 鳳翔はふきんを取りにパタパタと慌ただしく執務室から部屋から走り出て行く。

2016-10-21 07:52:28
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14-2-15「ッ~!明石か!?そんな緊急通信の入れ方があるか!?お前はバカか!?バカなのか!?」 風見は口の周りを拭って通信機越しに明石に怒鳴り返す。 「で、一体何だ!」 『この島、一体何なんです!!』 「こっちが聞きたー」 呆れて怒鳴り返そうとして、風見は喉で言葉を止める。

2016-10-21 07:52:47
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14-2-16 絨毯の上の通信機から、耳を劈く音が飛び出て執務室に響き渡る。 今度は明石の大声などではない。銃器の乱射される音!! 「明石!おい、明石ッ!!」 今度は風見が通信機を引っ掴んで叫ぶ番だった。 手元の通信機からは激しいノイズ、重い鉄の音、止まぬ銃声!

2016-10-21 07:53:13
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14-2-17「明石…おいっ…応答しろ…!」 …

2016-10-21 07:54:00
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暫くして銃器の音が途絶え、静寂が訪れる。 最悪の予感が風見の頭を塗りつぶし、汗が額に浮かぶ。 「…」 遠目から聞こえる波の音以外、手の中の機械は依然応答を返さない。 「…クソが」 立膝の姿勢から立ち上がると、風見は通信機を机に戻した。

2016-10-21 07:54:44
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14-2-18『てぇいいいいぃいとぉおおくぅうううっ!!!!!』 「な゛ーッ!!あだーッ!!」 再度叫び始めた通信機に心臓が跳ね上がり、風見は腿を強かに机に打ちつけた。 『すみません、飛び退いた時に通信機落としちゃいまして』 あっけらかんとした明石の声だ。少々息はあがっているが。

2016-10-21 07:55:11
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14-2-19『随分驚いてたみたいですけど、大丈夫ですか?』 「…」 『もしかしてぇー、心配とかしてくれちゃってました?』 「…」 『あの』 質問には一切応じず、風見は握り込んだ手から無言の殺意を通信機に注ぎ込み続けた。 『ごめんなさい』 「それでいい。状況は?』

2016-10-21 07:55:30