成長しない経済、プレゼンス増す農業

「農業を成長産業に」というスローガンはハッタリとして優れているが、現実には成長を見込めないだろう。それでも他産業と比べて、農業は今後、有望な産業となる。それはなぜか考察してみた。
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shinshinohara @ShinShinohara

農業は成長産業か?と聞かれればノー。農業は他産業と比べて有望か?と聞かれればイエス。 農業は私たちの生命を支える基幹産業。これが成長すると言うことは食品が値上がりしてエンゲル係数が高くなるということ。だから総じて高いものは買わない。だから農業は成長しづらい。

2016-10-24 18:09:20
shinshinohara @ShinShinohara

農業が他産業と比べて有望な理由。それは他産業が原則マイナス成長する時代に突入したから。工業が戦後に劇的に成長したのは、工業技術が先進国の独占だったから。途上国には作れないから高く売り付けられた。他方、農産物は途上国でも作れるもの。安く買い叩くことができた。

2016-10-24 18:12:32
shinshinohara @ShinShinohara

経済成長の原動力だった「工業技術の独占(寡占)」構造が崩れ始めている。中国、インドも工業国化し、世界人口の半分が工業国化、工業技術が陳腐化し、工業製品は「誰でも作れるもの」に。こうなると工業製品は買い叩かれる商品になる。一時高く売れてもすぐ模倣品が出て陳腐化、低廉に。

2016-10-24 18:16:05
shinshinohara @ShinShinohara

欲しい商品もなくなり、工業製品は作っても売れない時代に。ネット等のソフトも模倣が早く、陳腐化の速度は工業製品以上。工業製品を経済成長の土台にしてきた2次、3次産業は、これから全体としては停滞する時代に突入する。

2016-10-24 18:32:43
shinshinohara @ShinShinohara

2次、3次産業が総じて成長停滞、場合によってはマイナス成長に陥りかねない趨勢の中で、農業は底がたく見える産業になるだろう。なにしろ人間は食べないと生きていけない。一定の人口がいる限り、一定の食料が売れる。バカ売れしないが底がたい産業に映るようになるだろう。

2016-10-24 18:45:07
shinshinohara @ShinShinohara

ピケティ氏「21世紀の資本」のグラフを見ると戦前は経済成長をほとんどしていないし、農業がGDPに占める割合は6割を超える。アメリカ、イギリス、日本のような先進国でさえ。今や農業は先進国だとどこもGDPのわずか1%程度。農業が産業として見劣りするようになったのは、戦後からなのだ。

2016-10-24 18:48:51
shinshinohara @ShinShinohara

人類の歴史のほとんどで、GDPの大半が農業。戦後だけ特異的に農業が産業として存在感を失った。なぜか?石油文明に突入したからだ。 戦前は産業革命が起きたといっても今から見ればネルギー消費は微々たるものだった。しかし戦後は大量にエネルギーを消費。少人数で田畑を耕すことが可能に。

2016-10-24 18:52:24
shinshinohara @ShinShinohara

今後、石油エネルギーを節約するとなると、少人数で田畑を耕し、余剰人口で2次、3次産業を支えるという基本構造を維持できなくなる恐れがある。もう一度、人手をかけて農業をせざるを得ないかもしれない。農業は雇用吸収の場になる可能性がある。

2016-10-24 18:54:42
shinshinohara @ShinShinohara

これまでは経済成長を前提として、生産性を向上させ、儲けを厚くすることを目指してきた。しかし2次、3次産業も成長が全体として見込めなくなると、生産性の向上は、少人数で儲けを独占しようという動きになり、排除された人は飯が食えなくなる。これは若い人に雇用が少ない一因でもある。

2016-10-24 18:57:24
shinshinohara @ShinShinohara

これからは成長しない経済の中でどう人を配置し、儲けを分配し、皆が生きていけるようにするかが大事になる。それはあたかも、成人して成長しなくなった人間が、年を取っても健康でいられるよう、適切な量の食事と運動をするようなもの。成長ではなく健康体が目標となる。

2016-10-24 18:59:39
shinshinohara @ShinShinohara

今後、農業のプレゼンスが他産業と比べて強まるのは間違いなかろう。問題は、人的資源をどう配置するかだ。100年後の世界を見据えた政策運営が求められる。

2016-10-24 19:01:21