『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』について

10月28日~11月2日にかけて公演された、長谷敏司原作、大橋可也振付構成演出・大橋可也&ダンサーズ『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』に関するまとめ。ほぼ編者用
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イルシス(雪星/イル) @Irrsys

今回のダンスでは、生物学上は人間であるものが人間ではない動きをし、人間ではないものが人間らしい動きをする。人間は相手の感情を知ろうとする時、相手の動きのイメージと自分の動きのイメージを重ね合わせ、その時の自分の感情を想起することで相手の感情を想起するらしい

2016-10-30 13:34:18
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

けれどダンサーの動きはミラーニューロンが決して働かない未知の動きで、内面を想起できない。一方でペッパー君からはミラーニューロンが内面を読みとってしまう。これがとても面白い。人間性が揺さぶられる中で、我々が人間性を見出してきた要素は意外と狭いのではないか、限定的ではないかとも感じた

2016-10-30 13:36:25
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

一方で人間がある決まった場面で必ず決まった動作をするということは社会を運営していく上で必要な要素でもある。例えば葬式では決まった服装で決まった言葉を述べることで、内面はどうであったとしても悲しみを表明することができる。その人間性を感じさせる規則があることで、人間も大いに助かってる

2016-10-30 13:36:57
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

長:正にその通りで、人間らしい振舞い方の規則が決まっていなければ小説はかけない。ある文脈や情報を読んで、そこから登場人物の感情を想起できるのは、ある程度概念や情報が抽象化され共有されている社会があるからこそで、そうした高度に抽象化されている社会が必要になる。

2016-10-30 13:38:15
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

藤:ブレヒトがいった「異化」のような、我々が無意識に身体化してる規則や常識を揺さぶって、それを変える可能性を見せるのが今回の作品だったのかなと。決してアナーキーではなく、人工知能や機械の持つ新たな法則性を見せることで、新たな領域をみせようとしているように感じた

2016-10-30 13:38:42
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

藤:今回は人間を機械の側に近づけることで、機械や人間の持つ人間性を浮き彫りにするという趣旨の創作だったが、現実に起きている事はむしろ逆で、我々は常に物や機械に人間性を見出し、機械に対してはより強い人間性を付与して人間に近づけようとしている。これは人間性の押し付けの側面もあるのでは

2016-10-30 13:47:16
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

藤:もっと機械は機械でほっておけよというか、機械は機械の子だろ、というか。機械には機械の原理があるはずなのだから、SF映画に登場するロボットのように人間的なロボットの存在や、よりコミュニケーションを充実させるSiriのように、人間性を見出したり、付与したりする動きには少し懐疑的

2016-10-30 13:50:04
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

長:人間はあらゆるものにヒューマニティを付与してしまう。例えばインターステラーに登場するモノリスのようなロボットにも、我々は一つのキャラクターとして人間性を見出してしまう。他にもSiriやノートパソコン相手でさえ、我々は対話する相手に対して人間性を見出さずにはいられない

2016-10-30 13:52:58
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

むしろコミュニケーションによって機械を操作しようとする時、機械に人間性を見出せるかどうかは重要な要素でもあり、あえて機械からヒューマニティを剥奪させることは可能なのか、その意味はあるのか。と考えてしまう

2016-10-30 13:53:27
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

大:「人間性の付与」を人間中心主義の一部として、ロボットを人間に近づける試みには疑問。一方で、人間の側があえて機械的な動きをすることで、人間性と機械性の境界を、より機械の側に広げていくことも可能なのではないか。今回はそれを示したかった

2016-10-30 13:55:47
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

こうして書き起こしていくとそれぞれの立場が見えてきておもしろい。長谷さんは人間性が曖昧化して拡張していく未来をけっこう冷静に人間の社会性として受け止めていて、藤田さんは存在論的に、機械そのものの存在意義を重視して、人間性を安易に拡張するべきではないと述べてる

2016-10-30 14:02:48
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

大橋さんは機械と人間の境界は思いの外曖昧で地続き的なものだと示したかったんだと感じられる。結局それは人間性があらゆる機械に付与される流れになると思うんだけど、反対に人間が機械的になることも可能で、境界はやがてなくなるんじゃないのか、という感じですかね。

2016-10-30 14:05:52
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

あえて自作の話に繋げると、ダイアログAIやそれに繋がる技術は、プログラムによって再現される「その人らしい人間的な動作」を認識することでその人であると信じるシステムなんですよね。そこには機械に対する人間性の付与、人間的動作の見出だしが無意識的になされている

2016-10-30 14:12:42
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

トークのなかには作品との繋がりを意識する要素が多々あって本当に楽しかった。質問もしてみたかったけど、時間がなくて残念です...でも面白かった!

2016-10-30 14:15:28
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

今回勉強になったのは、人間は予想以上に相手に対して人間性やそれを感じさせる仕草、プロトコルを求めてしまうし、そのプロトコルに依存して社会を回している面があること。機械であれ物であれペットであれ、ミラーニューロンが活性化して、その動作に人間的な意識、思考の動きを見出だそうとしてる。

2016-10-30 14:26:28
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

一方動物は独自の行動原理を持つと人間も理解しているので、人間性を無制限に押し付けたりはしない。 では機械はどうか。機械は動物のように独自の行動原理を持たないので、人間性を無制限に押し付けてしまえる余地がある しかし機械に人間性から逸脱した行動原理を与えると悲惨なことにしかならない

2016-10-30 14:39:26
イルシス(雪星/イル) @Irrsys

これは人間がいる限り機械を人間中心主義から逸脱させてかつ共存することは結局無理なんじゃないかと思うんですが、まだ何かあるかもしれないので積極的に考えてみたい

2016-10-30 14:42:20
長谷敏司 @hose_s

「プロトコル・オブ・ヒューマニティ」layer2鑑賞。layer1とはまた違ったアプローチでロボットと人間のダンサーが描かれていて面白い。舞台を見て、人間はロボットが一般化した時、各々の文脈や気分で人間性をそこに読み取ってしまうことを思い出し確信する。いいものを見せてもらった。

2016-10-29 23:48:16
長谷敏司 @hose_s

「プロトコル・オブ・ヒューマニティ」を推しているのは、長谷自身が関わったこと以上に、「ロボットがいる世界」を先んじて見ることができるから。振付家に調整されて配置された「ロボットの身体」と人間が同じ舞台に立ち、出会い、接触した時、既知のつもりだったことが本当につもりだったとわかる。

2016-10-30 16:56:34
長谷敏司 @hose_s

SFがこれまで何度となく描き、陳腐ですらあると思っていた光景が、現実に間近にあると耐えがたい緊張感をはらむ。店舗にあるpepperでは、まだ用途や場が限られているから「こんなものか」と思っていられたけれど、あるとききっと個々人の生活や生に関わるどこかで、閾値に触れる瞬間がある。

2016-10-30 17:01:20
長谷敏司 @hose_s

あるいは何十年とロボットの性能進化と受容に時間がかかって、幸福に鈍麻したかたちでゆっくりと接触できてゆくかもしれない。けれど、それでもロボットの身体性と人間の接触や関係性を、鋭いかたちで鑑賞できる機会は貴重であると思うのです。

2016-10-30 17:04:42
Shunta Saito @mitmul

大橋可也&ダンサーズ『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』にて長谷敏司さんの新作小説を自動的に振りに変換するという試みをやってみました。会場でその過程をビジュアライズしたものを流しています。 instagram.com/p/BMLtJR5DXci/

2016-10-30 19:00:14
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Shunta Saito @mitmul

@hose_s 一応これは「あなたのための物語」の文章と振り付けのモーキャプチャデータの組をencoder-decoderという自動翻訳でよく用いられるニューラルネッワークのモデルを使って単語の系列→関節角の系列という変換を学習したものでPOHの文章から振りを予測させたものです。

2016-10-30 20:30:23
長谷敏司 @hose_s

RTしたのは、「プロトコル・オブ・ヒューマニティ」で大橋氏が作った、キャプチャしてPepperの振付にした動きのデータ数値ですね。これをディープラーニングで特徴量を抽出できれば、踊りを踊りたらしめる”何か”を受け渡し可能なプロトコルとして抽出できないかという話を昨夜していました。

2016-10-30 19:27:08
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

長谷敏司×大橋可也&ダンサーズ『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』。使ってない身体の語彙と、その見た目に対応する内面の想像にもまだまだ可能性あるなと。「人間」の在り方を揺さぶられ、不気味さと不穏さと解放が同居した状態の中で、ロボットとの共存の別種方向を提示される未知の体験でした

2016-10-30 14:57:14