- nao_komeiji
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本ツイートは、「心理学検定基本キーワード 改訂版」1.01「心理学の科学的方法論」を詳しく分かりやすい形にまとめたものです。
2016-11-02 07:37:35■心理学とはどんな学問だろうか? 19世紀になると、科学を大きく「自然科学」と「精神科学」に区別することが一般的になったが、心理学はこのどちらか一方にのみ所属している学問ではない。
2016-11-02 07:38:24すなわち、心理学は物理学などの自然科学とも方法論を共有していて、観察された客観的データなどから法則や理論を導くという側面を持つ。
2016-11-02 07:39:01※精神科学とは 「経験科学」を大きく2つに分ける際に、「自然科学」に対して用いられた分類で、19世紀以降のドイツの学者に好んで使われていた。 「精神科学」の他の名称としては、「人文科学」「社会科学」「人間科学」などがある。
2016-11-02 07:40:07この言葉が意味するものは、心や意識の研究、すなわち心理学に限るとはいえない。 歴史学・経済学・社会学なども精神科学に当たる
2016-11-02 07:40:36■科学の分類について 1.自然科学 特徴:一般的な法則を見いだす「法則定立的」な研究である。 求めるもの:論拠に基づく「説明」である。
2016-11-02 07:42:00※法則定立的(nomothetic)・個性記述的(idiographic)とは ドイツの哲学者ヴィンデルバント(Windelband,W.)の用語 法則定立:普遍性や客観性を重視し科学的法則の確立を求めるもの。 個性記述:現象の事例の一回性や特殊性を重視し個別具体にこだわるもの。
2016-11-02 07:43:54例)心理学者のオールポート(Allport,G.W.)は、同じパーソナリティの研究であっても、多くの人に共通した普遍的な法則を見いだそうとする法則定立的な研究も、その個人に特有な性格を研究しようとする個性記述的な研究も可能である、とした。
2016-11-02 07:44:55※オールポート(Allport,G.W.) 米国の心理学者。 ここではパーソナリティ心理学を研究した弟のゴードンをさすが、社会心理学を研究した兄のフロイドとの共同研究も多い。 個性記述的/法則定立的という研究分類を実際に援用した。
2016-11-02 07:45:47※理解とは 英語では"understanding"であるが、ドイツ語(verstehen)の訳からの慣例で、「了解」と訳されることも多い。 「判断」や「解釈」を含むものである。
2016-11-02 07:47:24したがって、実験や観察などに用いる心理学の研究においては、ある状態や現象を表す「記述概念」と、因果関係を表す「説明概念」の違いを区別することは重要であり、記述概念によって説明をしてはならない。
2016-11-02 07:48:09※説明概念・記述概念とは ドイツの哲学者・心理学者であるディルタイ(Dilthey,W.)は、説明的心理学と記述的心理学を区別し、前者は自然科学、後者は精神科学に属すると考えていた。
2016-11-02 07:48:56例1)「目の前にボールが飛んできたので、条件反射で目をつぶってしまった」という文において。 「条件反射」は「ボールが飛んできて目をつぶった」という意味の記述概念にとどまらず、因果的な説明概念の役割も果たしている。
2016-11-02 07:49:47例2)「血液型がB型なので落ち着きがない」という文において。 「B型」は1つの分類を表した記述概念にすぎないので、誤った説明をしていることになる。
2016-11-02 07:50:11※演繹(えんえき)と帰納(きのう)とは 「演繹」 [名](スル) 1.一つの事柄から他の事柄へ押しひろめて述べること。 2.与えられた命題から、論理的形式に頼って推論を重ね、結論を導き出すこと。一般的な理論によって、特殊なものを推論し、説明すること。
2016-11-02 07:52:191.演繹的研究法 すでに確かめられた一般法則に基づいて、新しい個別の「仮説」を立てるものである。 心理学においては、ある理論から演繹的に予測された仮説を実証する型の研究が多いので、特にこれを「仮説演繹法」と称している。
2016-11-02 07:53:29※仮説演繹法(hypothetico-deductive method) 新行動主義者のハル(Hull,C.L.)やゲシュタルト心理学のレヴィン(Lewin,K.)など20世紀の心理学者は、科学としての心理学における基本的な方法論としてこれを説いた。
2016-11-02 07:54:42手順としては、まず収集したデータをもとに帰納法を用いて、現象をうまく説明できそうな仮説を立てる。 この仮説は法則を表す命題や公式の形をとる。 次に、仮説を検証するため、演繹法を用いてこの仮説を具体的事例に当てはめ、「仮説が正しければこうなるはずだ」といった結果を予測する。
2016-11-02 07:55:29最後に、実験や観察を行い、予測を裏づけるデータが得られれば仮説は正しいとされる。 なお、仮説演繹法では最後の予測を検証するプロセスが帰納法となっている。 そのため、検証結果が予測通りであったとしても仮説は確からしいというレベルに留まる。
2016-11-02 07:56:102.帰納的研究法 多くの個別の事象についての経験から、それに共通して認められる仮説を導くものである。 例)「私は数人のX国人の女性を観察したが、彼女たちは全て神経質であった。したがって、X国人の女性は一般に神経質であると思われる」といった推論の立て方は帰納的である。
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