- heptares5460
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朝方まで、あおかなのハロウィンイベントやってて疲れて落ちて、気づいたらこの時間だった。今日が祝日で良かった。折角の祝日だし、小話でもしようか。 pic.twitter.com/KtuM530vsn
2016-11-03 15:01:49割かし最近の話だ。ネットオークションで『人生を変える箱』というのが出てたから、ちょっと高かったけど落札した。届いた箱を開けてみたら、一台のノートパソコンと小さな紙切れが入ってるだけで、『ああ、ネタにしても失敗したかな?』と思ったけど、その紙切れにはこんなことが書いてあった。
2016-11-03 15:05:22『このノートパソコンには、超高性能の爆薬が仕込んであります。使えば、半端なく人が死にます。一度起動させたら、絶対に解除できません。但し、このパソコンから貴方や私の足が付かない事だけは、絶対に保証します』
2016-11-03 15:06:19『なんだこういう系か……』と僕は思った。こんなの本物のはずがないし、仮に本物だったところで、僕には人を殺したい欲望も、大量殺人鬼として名を残す願望もない。でも、単に銭を捨てた事になるのは惜しいから、一応、起動はさせてみようと思った。何も起こらないって事は、流石にないだろう。
2016-11-03 15:08:21家の近くのスーパーに車で出かけた。もし本当に爆発物だったらやばいから、なるべく隅っこに車を止めた。今にして思えば、河原かなんかで起動させれば良かったんだけど、やっぱりちょっと、騒ぎ位にはなって欲しい願望があったんだろう。そういう愉快犯的なところが、僕には昔からある。
2016-11-03 15:11:42僕は運転席に座ったまま、パソコンを起動させた。いつもの画面が表示されることもなく、いきなり黒バックのモニターに2:00と表示された。左側の数字はすぐ1になり、右側の数字はどんどん減って、気づいたら1:31になっていた。つまりこれは秒だ。本物だとしたら、起爆まであと91秒しかない。
2016-11-03 15:14:06これは間違いなく本物だと、本能が訴えた。背筋がゾッとして、頭で考えるより先に僕は窓からパソコンを投げ捨て、アクセルを踏みぬいた。幸い田舎だから、車で逃げれば90秒もあればかなり遠くまでいける。僕が致命傷を負うことはないだろう。他人の事なんか考える余裕はなかった。
2016-11-03 15:19:30そこからの90秒を、僕は今でもありありと思いだせる。足が痛くなるまで踏み込んだアクセルの感触、流れていった景色、そして息苦しいほどに激しく胸打つ鼓動—―勿論、厳密に計った訳じゃないけど、引け前の三分間に人生を賭けてる僕は、かなり正確にその90秒を捕えていたと思う。
2016-11-03 15:23:57だけどその体感の90秒を過ぎても、後方で爆発が起こった気配はなかった。まあ分からなくて当然なんだけど、僕はあれを絶対に本物だと思い込んでいたから、なんだか拍子抜けした。僕はアクセルを緩めたが、念のため車は止めなかった。そしてそこから更に90秒ほど走った後、後方で爆音が轟いた。
2016-11-03 15:27:268割方安心していただけに、その衝撃は大きかった。目視で後方を振り返ると、スーパーの辺りから黒々とした爆炎が上がっていた。「とんでもない事をしでかしたな」と僕は思った。僕の人生は悪い予感だけはきっかり当たる。相場師として名を馳せたいと思った事はあるが、こんな事で名を残したくはない。
2016-11-03 15:34:05あれだけの爆発だ、すぐに捜査が始まるだろう。とにかくどこかに落ち着いて、先を考えなければと思った。パソコンを捨ててから、爆発まで約三分。目撃者が居てもみんな死んでるはずだが、僕には相場操縦の前科がある。このまま家に帰るのはマズイかもしれないと思って、近くのホテルに偽名で泊まった。
2016-11-03 15:40:00TVは爆発の話題で持ちきりだった。田舎のスーパーにも関わらず、相当な死人が出ていた。ホテルのパソコンで事件について色々調べたけれど、何もわからなかった。当事者の僕がわからないのだから当然なんだけど、何かしてなきゃ気持ちが落ち着かなかった。今思い出しても、背中に冷たいものが走る。
2016-11-03 15:44:15分からないなりに出た結論は二つ。まずはここを出なくちゃいけないって事。現場近くの宿なんて、真っ先に調べられるに決まってるからだ。もう一つは、リスクはあっても一度家に帰って、自分のPCを処分しなきゃいけないって事。爆発物からは何も出ないだろうが、PCには送り主との履歴が残ってる。
2016-11-03 15:50:42既に自宅に手が回ってるくらいなら、もうここで捕まってるはずだ。またしばらく車で暮らすにしても、どうしても手元に置いておきたい品もいくつかあった。一刻も早くここを出て自宅に戻り、PCと思い出の品を回収してどこか遠くに行こう。そう思った瞬間に、何者かに後ろから声をかけられた。
2016-11-03 15:56:00「君は○○君だそうだが、これは偽名だね? どうして偽名でここに泊まってる?」と、明らかに堅気じゃない風の男にそういわれた。警官でこそないが、間違いなく捜査関係者だ。逃げようとしても無駄だろう。だが、今度捕まったら僕は間違いなく死刑だ。頭の中で必死に考えながら、僕はただ黙っていた。
2016-11-03 16:04:34お上が僕に目をつけていたとしても、逮捕状はまだ出てないだろうと思った。裁判所がそれを出す時間はまだ経ってないし、それがあるなら問答無用で逮捕すればいいだけだからだ。初動捜査で手当たり次第に不審な奴に声をかけてるだけだと僕は踏んだ。下手に怪しまれ、別件で拘束される方がまずい。
2016-11-03 16:09:02逮捕状がない以上、僕が○○(僕の本名)である事を向こうが確信してないなら、いくらでも逃げようはある。とはいえ、僕があの爆発の実行犯である事実に変わりはない。もしここで受け答えを間違えれば、文字通り人生が終わる。あれは正に、『人生を変える箱』だった。僕は騙されてはいなかったのだ。
2016-11-03 16:20:53『人生を変える箱の話』ここでやめた方が面白いと思うんですが、続きちゃんと書いた方がいいですかね?
2016-11-03 16:40:45