「フォビドゥンフォレスト２話「バケグモ大進撃」 #17 「進撃」

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

「フォビドゥンフォレスト２話「バケグモ大進撃」 #16 「奮闘」」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1044495

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（洞穴の東通路で片桐と恵里がバケグモの新種と戦っていた同時刻、佐祐里も中央エリアで生存者を庇いながらバケグモの集団と戦っていた。数では勝りながら連携力のないクモ達を、レコードアームでなんとか食い止める。だが新種の発した奇声により、状況が一変した！集団が一斉に東進し始めたのだ）

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『＄％*＆；：・＆＄％＃＠＆！！！！！』 耳をつんざくような不気味な声が東側から鳴り響く。生存者達は思わず悲鳴を上げ、何人かは気絶した。

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佐祐里にとってはうるさい以外に特に害はない。音…いや声の発生源であろう新種と、その近くにいる二人のことが心配なだけだ。比較的平然としているのは、サポートドロイド達くらいなものだが、彼らすら非常事態を察し、佐祐里の安全を気にしながらも岩陰に隠れるようにしている。

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そしてバケグモ達も平然としてはいなかった。数秒間すくみ上がるような動きを見せ、次の数秒は死んだように固まり…そして一斉に東に向かって動き出した！

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フォビドゥンフォレスト２話「バケグモ大進撃」 #17 「進撃」 実況・感想タグ： #禁森実況

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佐佑里はハンドサインを出すと、レコードを１枚投擲、同時にワイヤーガンを東の岩壁に撃ち込んで跳ぶ。ワイヤーを引き戻し、辛うじてクモ達に先回りする。レコードを排出して手元にしまうと左サイドに投擲したレコード、右にドロイドが投げたものを、上向きに開いた銃のスロットで受け止める。 1

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〈Geo！ゼニス！〉 東進する集団の中央、足元へと向けて鈍足の黒い弾を放つ。弾はゆっくり放射状に拡散、更に上昇して命中するとバケグモ達の動きを鈍化させる。Geoは敵の動きを鈍らせる重力属性、先程も使ったゼニスは天頂から攻撃を降り注がせるのだが、地上に使えば今のようになる。 2

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〈Geo ！ネット！〉 右レコードを交換、通路奥にも先んじて重力の網を撃ち込む。設置型の罠だ。地面や壁、天井に仕掛ける。いっそ天井を崩した方が確実だろうが、行き場を失ったクモ達が引き返しても生存者が危険だ。そうでなくてもこの異常な進撃がいつ止まるのかも分からないのだ。 3

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先程まで警戒態勢を取っていたクモ達が、ゆっくりだが整然と進んでいく。それも彼らが恐れていた筈の新種の方へ。あれが捕食者であることは彼らも認識している筈だと言うのに、その歩みが止まる気配はない。大きく開いた口に自分から歩いていくようなものだ。明らかに洗脳の類だろう。 4

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佐祐里は、恐らく恵里が東側のクモ達を、片桐が新種を抑えていると推測した（実際その通りだ）。問題は２人の余力と新種の強さ、そしてこの声の効力だ。こればかりは片桐に聞かねば分からないが、瘴気と糸、曲がりくねった通路が通信を阻害していた。だが今、通信状況がグリーンになりつつあった。 5

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先程、膠着状態のうちに通路に放った通信中継ドローンが上手く調整してくれたようだ。 「片桐くん！恵里ちゃん！お二人とも聞こえますか！？」 ＜ Blizard！エクステンド！＞ 氷の長剣でクモ達を切り裂きながら、佐佑里は片桐達にインカム越しに通信を試みる。 6

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Blizardの氷は傷の周囲の魔力を奪って凍結を維持する。Geoより攻撃範囲は局所的だが、攻撃速度が鈍化せず殺傷力もある。妖怪相手には有効だ。 ＜Blizard！クイック！＞ 右を連撃効果に切り替えると、Geoで鈍化させたクモの上を跳び渡りながら銃モードで撃ちまくる。 7

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「…また後で！」 通信を終える頃には、中央エリアのクモで氷結か重力を１度も受けていないモノは数体だけとなった。半数以上は移動に支障を来している。特に東通路への入口付近は重力の影響下で強引に動いた為に脚がもつれ合っているモノもいる。数分後に重力が解けてもすぐには動けまい。 8

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ともかく即席の防塁は完成した。防塁に組み込まれなかった後ろのクモ達は手こずりながらも進行を続けている。辛うじて通れる幅の空白を親グモ用と小グモ用に２箇所だけ故意に空けておいたせいでもある。完全に進軍を止めた結果、生存者の方へ引き返されてはまずいからだ。洗脳が解ける恐れもある。 9

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「うわあああ！？」 生存者の悲鳴。北側の通路から新手のクモ達が現れたのだ。親子合わせて３０以上はいる筈だが、その内どれだけがこの中央エリアを通るつもりだろうか。佐祐里は防塁を跳んで、再び生存者達の前へと降り立つ。 「皆さん…もう少しだけ堪えて下さい…！」 10

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その言葉は自分にも向けられていた。時刻は２：５０。援軍の桐葉達が後何分で着くかは微妙な所だ。外へ逃げたクモが彼女達と鉢合わせていれば１０分以上掛かる可能性もある。それだけの間保つだろうか？思わず外の星明りに目を向け…息を呑んだ。逃げた筈のバケグモが戻ってきていた。 11

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２０匹近く逃げた内の恐らく約半数、足取りはやはり奇妙に整然としている。 （新種の呼び声は外にまで…！） 流石に想定外中の想定外過ぎた。既に侵入済みの北からの個体と合わせれば動けるクモは親６、子２０はいる。動きを封じた親グモはその倍近く、同じく子グモも２０はいる。 12

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「フーッ…」 生存者達が絶望の色を濃くする中、佐祐里は静かに息を吐き、そして吸った。 「良いでしょう…私の力が続く限り…お相手します。皆さん、目を瞑っていて下さい…！」 言うと同時、手持ちのレコード数枚を天井高く放る。ドロイド達もそれに続きレコードを宙や壁、床へと放り出す。 13

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＜Cyclone！/ボレー！＞ 銃の横に、本体や持ち手のない無数の銃身が具現化する。そして本体と共に東通路を攻撃する。これは幻ではない。多重攻撃だ。消費は重いが必殺射の一種である。追尾効果で防塁を避け、その隙間を通ろうとする個体の体幹部を抉り取っていく。 14

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左レコード排出、風の盤が転がり、佐祐里の足元を狙った子グモの足を払う。転んだクモをドロイドが更に叩く。飛行メカが弾いた盤が空いたスロットに入る。 ＜Geo！/ボレー！＞ 無数の鈍足弾が北へ飛ぶ。北口を塞げば片桐達がキツくなるが、生存者の保護を優先する為だ。 15

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両レコード排出、勢い良く中央口へ放り出戻りグモを牽制する。親グモに空中２段蹴りを見舞う地面と並行の状態のまま、壁面反射した２枚を受ける。 ＜Lightening！/ゼニス！＞ 雷速拡散弾が鈍足弾を追い抜く。子グモを殺傷し親グモの体制を崩す。鈍足弾が北口付近個体に命中する。 16

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＜Aqua！/ゼニス！＞ 水属性の矢雨が敵全体を牽制。体をくるくる回して糸や毒液を躱し、手近な親グモに右肘打ちを見舞う。右肩で天井からの黒盤を受ける。右回転し子グモを蹴り飛ばす。同時に排出した左レコードは真後ろの子グモを転ばせる。空いたスロットには肩を離れた黒盤が入る。 17

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右手で北の岸壁にワイヤーを撃ち込み、半ば錐揉み状態で宙を舞う。 ＜Blizard！/ゼニス！＞ 北口を中心に床や壁面に、今度は氷の矢雨を見舞う。水との相乗効果で足止め効果は抜群だ。地上や壁面からの攻撃は自分に引き付けつつ、射撃と宙を舞いながらの打撃の反動で躱す。 18