キリ番twnovel『@windcreator 記念回作品集』千~

@windcreator のキリ番記念twnovel企画、作品集。 (※追記、2013.10.16に2000作品越えました。) 1-1000 http://togetter.com/li/5966 続きを読む
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とおる6th @windcreator

に抱かれ、命儚き千夜一夜。傷付き果てた男の隣、そっと言葉を謳い紡ぐ。其は果てなき物語。夜更けから夜明けまで、休むことなく女は語る。聞き手は一人、報酬は一日の命。物語は静かな闇夜にゆっくりと染み渡り――凍った男の心を溶かす。灯が微かな風に誘われ、影を揺らす。 #twnovel

2011-01-14 20:24:09
とおる6th @windcreator

地下鉄に乗っていたせいか、色々とツイートが前後してしまった。とりあえず千一なら千夜一夜しか無いって決めてました。

2011-01-14 20:32:37

千夜一夜の物語の、その全貌は正直よくわかっていない。でも、きっかけはともかく、二人が出会い、物語を通して絆を深めていくってのはラブコメの粋だよなぁと思うのです。以後、千作ごとに次の一話が千夜一夜ネタになることが決定された話。

とおる6th @windcreator

度だけ、彼女に嘘を吐いた。大学のサークルで一目惚れした俺は、彼女が好きだと言った本を「僕も大好きです」と言ったのだ。バレるかどうか冷や汗ものだったが、次から次へと自己紹介が進む中、彼女に問い質される機会などあるわけもなく、二日酔いの翌日に全巻買い揃えて読んだ。 #twnovel

2011-02-24 03:40:50
とおる6th @windcreator

人きりで、部室にいた日があった。偶然が重なって、たまたまその時間、普段は人が絶えない部室に、俺と彼女しかいなかった。ポツリポツリと、互いの書いた文章について話した。他愛もない会話。ただ、彼女が挙げた好きなものの名前だけが、幾度も幾度も頭の中で反響して消えない。 #twnovel

2011-02-24 03:49:13
とおる6th @windcreator

冊目の部誌に原稿を出した時、彼女は下読みした俺の原稿に、高得点を付けた。部内の、ささやかな”感想用紙”に、手書きの文字で綴られる短い感想。「なんで、そんないい点数をつけてくれるんですか?」俺は、訊いた。「面白かったから」なんでそんなこと聞くの? と彼女は笑う。 #twnovel

2011-02-24 04:05:58
とおる6th @windcreator

時からの5限は休講だった。ふらふらと部室に寄ったのは、彼女に会えるかもしれないと思ったからだろうか。部室には3人いた。同期と、先輩と、彼女。唐突に、和菓子を食べに行こうと、彼女は皆を誘った。二人はゲームの続きを選び、彼女と俺だけが部室を出た。味は憶えていない。 #twnovel

2011-02-24 04:28:08
とおる6th @windcreator

字脱字は、印刷する前に自分たちで修正する。原稿を持ち寄って、お互いの文章に朱を入れていく。参加者が多いほど間違いが減るはずだ。俺のも下読みで赤くなり、一枚目には読んだ人のサインが点々と並ぶ。彼女のサインもある。束をめくりながら探したのは、朱文字か、彼女の字か。 #twnovel

2011-02-24 04:47:03
とおる6th @windcreator

角形の鉛筆に数字を振る。酔いが回った部室の中で、鉛筆は机の上を転がった。せっかく出来立ての部誌があるのだから、負けた人は番号で当たった作品を朗読しよう。軽快な部長の愉快な思いつき。書いた人をも羞恥心に巻き込む罰ゲームで、彼女は俺の短編の告白シーンを読まされた。 #twnovel

2011-02-24 05:07:52
とおる6th @windcreator

曲目は彼女の番だった。「私は聴いているだけでいいんだけどなぁ」と苦笑いしながら、マイクを持つ。聴き覚えがある曲を、少し頼りなさげな声で、歌う。誰か、俺意外に彼女の曲を聴いていた人はいただろうか。歌い終わり、彼女は席に戻った。次の次が俺の番。一昔前のラブソング。 #twnovel

2011-02-24 05:22:26
とおる6th @windcreator

時。大学は静かだ。部室泊まりの身体はだるいが、ソファと毛布があるだけ贅沢だ。外からは体育会系の掛け声が微かに聞こえる。誰もいない部室で、A4の紙に単語を並べてみた。どこにもない物語の欠片を弄ぶ。「私は思いつくままに書いてるかな」卒業した彼女は今も元気だろうか。 #twnovel

2011-02-24 06:26:45
とおる6th @windcreator

月は俺の誕生日だ。二十歳を過ぎた今となっては、ごく普通の一日が始まって終わるだけだ。机に座って去年の日記を見返しながら、あんまり成長してねぇなと呟き、今年の文も綴る。残り一時間。メールが届く。「誕生日おめでとう」絵文字が無いのも唐突なのも、実に彼女らしかった。 #twnovel

2011-02-24 06:54:31
とおる6th @windcreator

年後を想像してみる。サークル棟は真新しくなって、懸命に書いた小説はどこにしまったのかがわからない。書きかけの原稿は完結しているだろうか。俺の隣には誰かがいるかもしれない。それでも、忘れることはない。彼女を。笑顔を。――好きだったのだろうか。恋だったのだろうか。 #twnovel

2011-02-24 07:17:57
とおる6th @windcreator

計算また間違えた……。1100ピッタリの予定だったのにどうしてこうなった。

2011-02-24 07:21:41

連作。9番目が1100作目。

とおる6th @windcreator

年前の話を、彼女はまるで見て来たように話す。歴史に名を残した偉人ではなく、名もなき人々のささやかな生活を。それらは彼女の研究成果でもあり、大部分は彼女の想像力が補った創作でもある。極め付きは『竜の唄』だ。文献すら無い唄を彼女は諳じる。外では雨が降り出していた。 #twnovel

2011-04-20 18:37:53
とおる6th @windcreator

度目の告白だった。一年間で僕の何がどれくらい変わったか、僕にはわからないけれど――彼女は笑って頷いた。「君も物好きね。現代より過去の常識に詳しい女なんて付き合って楽しい?」試すような笑み。「仕方ないですよ、惚れたら」そうだね、と山積みの書物を見て彼女は呟いた。 #twnovel

2011-04-22 23:37:27
とおる6th @windcreator

回目だよ。彼女は笑みで囁く。二人きり、豪雨が響く。何がとは訊かず、唇を塞ぐ。“大事な数”しか彼女は覚えない。「この雨も君が降らせたの?」彼女があの唄を謳えば必ず雨を喚ぶ。「私を何だと思ってるの?」竜の生まれ変わり。彼女は深く笑む。「なら、竜を娶る覚悟はある?」 #twnovel

2011-04-23 10:14:41
とおる6th @windcreator

200回の時が「二」「百」「回」だったので、1200回の時は「千」「二」「百」で。間が開いてしまったものの、三つでセット的な。1100から二か月かぁ……ペースが……あと800……8ヶ月……

2011-04-23 10:23:09

200の時と1200の時とで、果たしてどれくらい僕は変わっているのだろうか。

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