十一月十五日/恋するねんたぬbot

とある十一月十五日の出来事。
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恋するねんたぬbot @nentanu_bot

陸奥守吉行の姿が見当たらない。

2016-11-15 13:00:17
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蜂須賀虎徹が物言わぬ人形を拾った。 そう言えば今朝から彼の鳴き声を聴いていない。 蜂須賀の血相が変わる。

2016-11-15 16:07:57
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廊下を通り掛かった堀川国広が蒼顔の蜂須賀虎徹を見付けて首を捻る。 蜂須賀は手に何か包んで、陸奥守吉行の部屋の前で唖然としていた。

2016-11-15 16:19:52
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「だから吉行を見張って置こうと俺は言ったんだ…!」 へし切長谷部が青筋を立てて怒鳴っている。そんな長谷部の胸倉を御手杵が掴んだ。咄嗟に山伏国広は仲裁に入る。

2016-11-15 17:59:04
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「悪いがこれは俺っちの管轄外だ」 薬研藤四郎は人形を前になす術なく肩を下げた。 「俺も、無くなった生命を戻す事は出来ん」

2016-11-15 18:01:44
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「ねんが動かなくなったんだ」 蜂須賀虎徹の言葉にへし切長谷部、御手杵、続いて山伏国広が息を呑む。 三振の瞳の翳りに後悔の様な念が滲むのを、堀川国広は見逃さなかった。

2016-11-15 18:43:39
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「薬研、お前だって万能じゃねぇだろ。医術じゃどうにもならない事もある」 厚藤四郎がそっと薬研藤四郎の肩を叩く。 「色々と調べれば何か策はあるかも知れない、一緒に探そうぜ」

2016-11-15 18:48:50
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「なぁ、曽祢さん…陸奥守が見当たらねぇんだが」 和泉守兼定が通りがけに長曽祢虎徹を捕まえた。 「…日が日だろう、彼奴にも思う所があるのやも知らんが…」 きな臭い、そう思ってしまうのは何故なのだろうか。

2016-11-15 19:34:46
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同田貫正国は陸奥守吉行を探していた。 忽然と姿を消してしまった陸奥守、断りも無く出掛ける様な男には思えない。 思えない、と昨日まではそう信じていた。 同田貫は皆の目を掻い潜って門の外へと歩んだ。

2016-11-15 19:40:01
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「御手杵…!戻れ、まだ主に許可を頂いていない…!」 「許可も何も吉行が居るのは安土だ!あんただって分かってるだろ…!」 経った今出たばかりの表門でへし切長谷部と御手杵が口論する声が聞こえ、同田貫正国は足を止めた。

2016-11-15 20:00:51
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厚藤四郎は本丸の書庫を訪れていた。 ねんたぬの顕現について詳しい事は特に聞かされていない。 それ故、一体ねんたぬが何者なのか皆分かって居る訳では無かった。 走り書きで良い、何か無いか。厚の表情に焦りが浮かぶ。

2016-11-15 20:28:58
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「ねえ、兄弟。ねんくんはどうして突然生命が消えちゃったんだろう」 堀川国広が山伏国広の瞳を見据える。 「何か知ってるんでしょ。ずっと、ずっと前から兄弟は僕達に何か隠してる」

2016-11-15 20:54:17
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「無謀な事はよせ御手杵、お前まで折れる気か」 へし切長谷部はそれだけ言って門を後にした。 「……お前までって何だよ」 同田貫正国は我慢出来ず残された御手杵の前に飛び出す。 「この本丸は誰も折れてねぇんじゃなかったのかよ、あんたら俺達に何を隠してるんだ」

2016-11-15 21:35:07
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厚藤四郎は書庫で奥に仕舞われた一冊の日記帳を見付けた。誰のものか、開いて見たが当たり障りの無い内容で良く分からない。 「厚、何しているんだ?」 書庫の入口で聞き慣れた声が厚を呼ぶ。 へし切長谷部だ。

2016-11-15 22:03:42
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何も感じない人形に秋田藤四郎は小さな手拭いを掛けた。 それを誰も止める事はしない。皆、生きていると信じたいのだ。 陸奥守吉行がまだ見当たらないと日本号が顔を顰める。皆、彼らの帰りを待っている。

2016-11-15 22:25:44
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「あぁ、長谷部か。俺今ねんの…」 そう言い掛けて厚藤四郎は口を噤んだ。日記帳を目にした途端、へし切長谷部の顔色が変わった事に気が付いたのだ。 「…なぁ、この日記帳。誰の何だ…?」

2016-11-15 22:59:45
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「拙僧共が把握出来ていなかった」

2016-11-15 23:57:43