小説でロボをやるための方法論

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前島賢(大樹連司) @MAEZIMAS

主にSFとライトノベルを中心に活動するライター。 大樹連司名義で小説、アニメ脚本、ゲームシナリオ等。 著作:amzn.to/4aUCigp amzn.to/3xt120P  連絡先:maexima@gmail.com amazonアソシエイト利用中。


MAEJIMA Satoshi @MAEZIMAS

ロボで小説は難しいと言ってばかりだと建設的でないという意見を多数頂戴し(この話まだ続くのか!)、確かに「難しい」だけ言って対案を出さないのはイカンと思うので、個人的な「小説でロボをやるための方法論」をメモがてらつらつら書いてみる。

2016-11-18 13:53:38

MAEJIMA Satoshi @MAEZIMAS

@MAEZIMAS 1.パロディにする。スーパーロボ系に特に有効。「お約束」という書き手と読み手の共通前提を最大限に活用し、「あなたがテレビで見たあれを想像してくれればいいんです」という回路を開く。代表例だと吉岡平先生の『鉄甲巨兵SOME-LINE』ほか多数。

2016-11-18 13:58:19
MAEJIMA Satoshi @MAEZIMAS

@MAEZIMAS シリアスめの作品だとこの手は使いにくいがオマージュという形で、読み手の記憶を活用することは可能。頭部と右腕部を破壊されながらも戦い続けるロボとか、腹に手を突っ込んで機関部を抉り出すロボとか出てくるとそれだけで燃えるるって人多いでしょう。密林の違法ロボ賭博とか。

2016-11-18 14:00:40
MAEJIMA Satoshi @MAEZIMAS

@MAEZIMAS 多かれ少なかれ、また作者が意識しているかどうかにかかわらず、この手法は使われていると思いますが、一例をあげるなら賀東招二先生の『フルメタル・パニック!』8巻「燃えるワン・マン・フォース」の『ボトムズ』巻など。『機動戦士ガンダムUC』小説版も多用している。

2016-11-18 14:03:10

MAEJIMA Satoshi @MAEZIMAS

@MAEZIMAS 2.小説ならではのディテールにこだわる。 普通のロボットアニメだと、ロボがどういう動力源で動いているとか、操縦方法はどうなっているんだとか、どういう設計思想で作られたのかとか、そういう説明って尺の都合&絵にしにくいのではしょられがち。

2016-11-18 14:04:45
MAEJIMA Satoshi @MAEZIMAS

@MAEZIMAS 逆にそういうところはこそ小説の独壇場なので、めっちゃ考証と描写を費やすと小説ならではのロボットものが書けるはず。たとえば『フルメタル・パニック!』の短編集『音程は哀しく、射程は遠く』には「一編丸ごとASを動かすし方を解説するだけの話」があるがめっちゃ面白い。

2016-11-18 14:07:16
MAEJIMA Satoshi @MAEZIMAS

@MAEZIMAS ロボの操縦方法がめっちゃ詳しい作品としてはほかに、藤崎慎吾先生『深海大戦』。厳密にいうとロボものではないけど、山本弘先生の『サイバーナイト ドキュメント 戦士たちの肖像』も、作品やメカ設定や世界観を解説する だけ で一冊の本になっている異色の傑作。

2016-11-18 14:10:45
MAEJIMA Satoshi @MAEZIMAS

@MAEZIMAS ロボものではないが神林長平先生の『戦闘妖精・雪風』なんかもミサイルの発射って具体的にはどうするの? という過程を徹底的に描くことで成立している。ほかには主人公をロボットの設計者にして、ロボの作り方をみっちり書いた天酒之瓢先生『ナイツ&マジック』など。

2016-11-18 14:11:37
MAEJIMA Satoshi @MAEZIMAS

@MAEZIMAS メカの考証ではなく、戦略や国際情勢、作中の歴史というロボをとりまく状況を描くというのも小説ならでは。たとえばテロや民族紛争など現代的トピックを扱う月村了衛先生の『機龍警察』。富野御大の『F91』小説版もロナ家という敵役組織の成り立ちを手厚く描写している。

2016-11-18 14:14:50