出版に至るまでの経緯

どうしたわけか、私が上司本を書く羽目になったのか、その経緯についてまとめておく。
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shinshinohara @ShinShinohara

今回、本を出版することになった経緯について、少しまとめておく。 ここ数年、「自分の頭で考える人間がいない、人の上に立てるのはごく一握り」という話をする人に出会う機会が増えた。しかし私には、愚かと言われている人たちがその人たちより愚かには見えなかった。

2016-11-18 20:33:30
shinshinohara @ShinShinohara

塾で子どもたちを10年指導した。あいにく、その頃は指導力があったとは言いがたい。だからこそその後も「人はいかにして学習意欲をもつに至るのか?」ということがずっと関心事であり続けた。私自身、才能に恵まれないため、強い学習意欲を持てなければ話にならなかった人間だったことも関係する。

2016-11-18 20:38:07
shinshinohara @ShinShinohara

周囲が結婚し、子育てするようになると、低い学習意欲しか示さない子どもに悩む人が増えてきた。でも私は不思議だった。小学校に入るまでは「きかんしゃトーマスの汽車の名前、全部覚えた」「歴代仮面ライダーの名前を全部覚えた」うちの子天才じゃないか、という話を聞いていたからだ。

2016-11-18 20:42:01
shinshinohara @ShinShinohara

学習意欲を失っていく子どもたち。指示待ち人間で、自分の頭で考えようとしないという部下たち。実は同じ問題を抱えているのではないか?そう気づくようになった。「一旦学習意欲を失った子どもにどうしたらよいか?」「指示待ちの部下はどうしたらよいか?」そんな相談が寄せられるようになった。

2016-11-18 20:45:44
shinshinohara @ShinShinohara

失われ行く子どもの学習意欲も、指示待ち人間になってしまう部下の問題も、恐らく同根。ならば、こうしてはどうだろうか?という提案を、自分の体験も踏まえてまとめてみた。それが「「指示待ち人間」はなぜ生まれるのか?」だった。 togetter.com/li/895830

2016-11-18 20:48:31
shinshinohara @ShinShinohara

togetterのまとめはこれまでにもブログがわりに行ってきたけれど、このまとめは反応が全然違っていた。昨年11月にアップしてからわずかな期間で30万件のアクセスを超えた。人事異動の多い4月と9月にも激増し、今は50万件に達しそうな勢い。

2016-11-18 20:52:02
shinshinohara @ShinShinohara

友人知人からも連絡が来た。「指示待ち人間を作る上司の話が話題になっていると聞いて読んでみたら、知っている名前でビックリした。」私の方がビックリ。想像した以上に大きな反響。それだけ、指示待ち人間の問題、というより、指示待ち人間になるよう追い込まれた苦しんだ人たちが多いのだろう。

2016-11-18 20:56:35
shinshinohara @ShinShinohara

そんな中、編集者の方から連絡が来た。「これだけ指示待ち人間の問題で悩む人が多いのだから、本を書いてみては?」という提案。 学習意欲失う子どもと指示待ち人間になる社会人の問題は同根。教育にもっぱら関心が強い私は「子育てに関して、何かできることがあるかも」と思い、引き受けることに。

2016-11-18 21:49:10
shinshinohara @ShinShinohara

ところが出版社から正式に依頼がきたテーマは「上司一年生の教科書」。え?戸惑った。なにせ、大きな組織を引っ張った経験があるわけでもない、しかも上司としての振る舞いに一向に自信のない私が、上司になる人向けの教科書?当然、筆が進まなかった。 書いてみては自分のヘソで茶がわく思いだった。

2016-11-18 21:52:36
shinshinohara @ShinShinohara

あるとき、気がついた。「そうだ、自分ではなく他の人のことを書こう。」 私は幸い、素晴らしい指導者、教育者、そして上司の方々に恵まれた。韮才の私が、恐らく極限にまで才能を開花させ、人からも評価していただける仕事がまあまあできたのも、優れた上司のお陰。その人達のことを書こう、と。

2016-11-18 21:59:28
shinshinohara @ShinShinohara

それでも、私が上司のあるべき姿を本に書く、というのは忸怩たる思いがつきまとった。そこで、2つの姿勢を重視することにした。上司がどうあるべきかではなく、部下にどう接すると意欲を引き出せるのか、という視点を重視すること。もう一つは、子育てとの共通点から考え尽くすこと。

2016-11-18 22:03:17
shinshinohara @ShinShinohara

いい大人である社会人の本を書くのに子育てを参考にするのは、人によってはバカにしていると叱られるかもしれない。しかし私には、社会人として生きるより子育ての方が遥かに難しく、重要度もなお大きいように思われてならなかった。だから本書でも、子育てになぞらえる記述が散見される。

2016-11-18 22:07:03
shinshinohara @ShinShinohara

子育てに関しては、当然ながら嫁さんに負うところが大きい。嫁さんは子どもへの接し方が大変うまい。子供が意欲をもって課題に果敢に取り組めるように環境作りをする。夫婦で子育てのことをずいぶん話し合うのだが、実践において私は嫁さんにとても及ばない。

2016-11-18 22:10:10
shinshinohara @ShinShinohara

私を叱咤激励してくださった上司の方々、子育てを見事にこなすだけでなく、私の失敗と欠点を優しく見守り、意欲をかきたててくれる嫁さん、そうした人たちがなぜ私の意欲をかくまでかきたてることができたのか、それを本にまとめることとした。

2016-11-18 22:12:35
shinshinohara @ShinShinohara

あとがきにも書いたが、今回の本は私を書いたものではない。私という人間を導いてくださった人達のことをまとめたものだ。だから、自分のことに自信がない私でも書くことができた。 「素晴らしい人達でしょう!」自分もそんな上司になれたらと強く願う。

2016-11-18 22:19:50
shinshinohara @ShinShinohara

「子どもの学習意欲と指示待ち人間の問題は同根」という意識で書いたことはすでに述べた。だから、本書は社会人の指示待ち人間の問題だけでなく、子どもの学習意欲を損なう行為にも通ずる問題を取り扱おうと腐心した。タイトルが社会人向けなため、教育関連とは思われることはないだろうが。

2016-11-18 22:22:57
shinshinohara @ShinShinohara

できれば本書が、社会人の指示待ち人間の本としてだけでなく、子どもの学習意欲を損なわないようにするための子育て本としても役立てて頂けたらと思う。私はあいにく、優れた上司でないばかりでなく、教育者としても優れてはいない。ただ、私は優れた上司と優れた教師に指導してもらった自信がある。

2016-11-18 22:25:41
shinshinohara @ShinShinohara

私は記憶力も弱く、理解力も乏しい。本の著者紹介にはなんだか偉そうなことが書いてあるが、それらは私の功績ではなく、私を指導してきてくれた教師と上司に帰すべきものだ。よくもまあ、問題だらけの私をここまで根気強く指導していただけたものである。私だったらサジを投げていただろう。

2016-11-18 22:28:21
shinshinohara @ShinShinohara

私も本書にまとめたような上司になりたい。あるいは、親になりたい。心からそう思う。 私の筆力のなさから、もしかしたら皆さんの参考にならない部分があるかもしれない。しかしそれは私の責任であって、私を導いてくれた人達の責任ではない。

2016-11-18 22:31:16
shinshinohara @ShinShinohara

今回、出版社からのご提案により「社会人1年生の教科書」というタイトルがついている。ただ、これを確定版と考えていただかなくて結構。本書をきっかけに、部下の意欲や子どもの学習意欲をかきたてる手法について、科学的な練磨が始まればよいな、と考えている。

2016-11-18 22:33:51
shinshinohara @ShinShinohara

私たちはついつい、自分の狭い体験を普遍化して考え勝ちだ。特に誰もが子ども時代を潜り抜けているから、教育論に関しては一家言ある人が非常に多い。しかし意見は相互に矛盾する。そして相手が間違っていると非難する。その混乱が、上司像の混乱にも影を落としているように思う。

2016-11-18 22:36:24
shinshinohara @ShinShinohara

この事を思うとき、「群盲象をなでる」という話を思い出す。目の見えない人たちが生まれてはじめてゾウに触ったとき、尻尾を握った人は呼び鈴のヒモだといい、耳を触った人はカーテンだといい、鼻を握った人は大蛇だと言い、足を触った人は柱と言い、意見が合わなかった、という話。

2016-11-18 22:39:15
shinshinohara @ShinShinohara

子育てについても、自分の体験を普遍化させ、教育について持論を展開してしまう人が多く、異なる意見に対して手厳しく攻撃する様子を見ると、この話をいつも思い出してしまう。あるべき上司像、リーダー像についても意見が別れるのは、狭い自分の体験を普遍化してしまうことにあるのかもしれない。

2016-11-18 22:42:17
shinshinohara @ShinShinohara

しかし「群盲象をなでる」という話には続きがある。最初は意見が合わず、「俺の言うことが間違っているとでも言うのか?!」ともめそうになっても、やがて「いや、同じものに触っているんじゃなかったっけ?」という反省点に立ち、互いの意見に耳を傾けるようにした。そしたら劇的なことが起きた。

2016-11-18 22:44:44
shinshinohara @ShinShinohara

呼び鈴のようなヒモ、カーテンのような平べったさ、大蛇のような太いホース、柱のように太い何か、山のように大きな何か。これらの「狭い体験」を否定せず、それぞれに耳を傾けたとき、目の見えない人たちは「これはウワサに聞いていた、ゾウというヤツじゃないか?」と気がついた。

2016-11-18 22:47:26