月刊「概念分析」:2016年11月号
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conceptual analysisという語の歴史を辿っているんだけど、明確に突き止められなかった。そもそも初期分析哲学では、logical analysisとか、単にanalysisとか言われる。Reichenbachが1932年に使っているのは見かけた。
2016-11-18 15:54:46あと、analysisの意味が、ウィーン学派とベルリン学派で異なると指摘されていた。これは以前にReichenbach周りを調べたときに気になっていた点だったので、明確に分かってよかった。
2016-11-18 15:56:35意外なとこでは、Cassirerが1930年台に哲学の方法としてこの語を使っていて、論理実証主義の影響があると言われているんだけど、肝心の論理実証主義者にその使用例が今のところ見当たらない。
2016-11-18 15:59:38Wittgensteinは50年台初頭のRemarks on Colorで一箇所だけ"analysis of concepts"という語を使っている(原語未確認)。Ryle、Austinにも使用例が見当たらなかった。日常言語学派ではStrawsonが明確に使っているだけ。
2016-11-18 16:17:19フッサール
@kasa12345 公刊されたものではないですが、1912年10月28日付のフッサールの草稿に「begriffliche Analyse」というフレーズが出てきます(Hua XLII, p. 59)。
2016-11-18 16:15:57@kasa12345 “Jede Deskription setzt eine Analyse voraus, und Analyse ist abstraktive, begriffliche Analyse”
2016-11-18 16:16:27@uemurag ありがとう。しかし、僕が気にしているのは、どうやってこの語が分析哲学の方法を表すのようになったのかということなんだけど、Husserllはあまり関係しないだろうな。RyleはHusserllの方法は"conceptual enquiries"だとは言っている。
2016-11-18 16:21:09@kasa12345 まあ関係ないですね。公刊著作だと、ライルが読んでたはずの『論研』第二研究の第31節の終わりあたりで、数学と論理学の公理は「bloße Analyse der Begriffe」で成り立つという文言はありますね。これも関係ないでしょうけど。
2016-11-18 16:24:01@kasa12345 ただ、フッサールやブレンターノ学派の哲学者が概念分析をやっているという解釈は、わりと無理なく成立しますね。ただ、概念ということで考えているものが、少なくともフッサールの場合、われわれが世界を捉えるときに使うものというよりも、対象の持つ本質という感じですが。
2016-11-18 16:25:49@uemurag ふむ、いや実のところ、分析哲学者の間でも初期から、analysisが何なのか、それは概念の分析なのか、意味の分析なのか、対象の分析なのか合意がない。現代まで引き継がれる"conceptual analysis"の曖昧性はすでに初期からあったことがわかった。
2016-11-18 16:28:36@uemurag これはFregeがlogical analysisという方法を導入したんだけど、術語の意味と指示対象を区別して、後者を概念と呼んだことに端を発している、というところまではあたりが付いた。この辺で、Husserllとも絡みがあるかもね。
2016-11-18 16:30:55@kasa12345 述語のSinnとBedeutungの話が最初にでてくるのってたしかフッサール宛書簡でしたよね。ちなみにフッサールについてはボルツァーノからの影響も考慮する必要があって、後者についてはこの本の第3章が手頃です。bit.ly/2g2ItaC
2016-11-18 17:09:53@uemurag だよねー、たしか(覚えてないけど、僕の修論でそのへん書いたような…)。書誌情報ありがとう、あとで見てみる。
2016-11-18 17:12:58ダメット
Dummettもconceptual analysisは使ってなくて、analysis of languageと言っているのに、91年のFrege and Other Philosophersでは突然使い始める。
2016-11-18 17:05:07分析哲学の方法論の理解形成に影響力があったというRortyの67年のThe Linguistic Turnの序文でも、あまり重要でない形(論理形式などの後継者として)、一箇所で使われるだけ。
2016-11-18 17:08:46analysisと初期に呼ばれたものは、論理実証主義系と日常言語学派系に違う形で引き継がれて、前者はQuineの分析性批判、自然主義の台頭によって、後者はGriceの意味論と語用論の明確な峻別と理論重視によって衰退したというのが大雑把な80年台までの歴史。
2016-11-18 17:34:35最近分析哲学の歴史をちょっと勉強して、いろいろ小ネタをしいれたので、科哲行って、他の人と話したかったな。でもしばらく学会に行く余裕がない…
2016-11-18 17:40:30@kasa12345 いえ、Frege: Philosophy of Language (1973)で既に使っています。まず一つ目:"He [Frege] does not, as some later linguistic philosophers did, make→
2016-11-19 00:59:27@kasa12345 → this [analysis of meanings] into the whole object of philosophy---philosophy viewed as `conceptual analysis' " (p.667).
2016-11-19 00:59:42@kasa12345 二つ目:"But the plausibility of this [ギーチの説], if any, as a piece of cocnceptual *analysis*---i.e. as uncovering →
2016-11-19 01:02:48@kasa12345 →the sense-mechanism of the words---depends wholly upon …" (p.564)
2016-11-19 01:04:06@kasa12345 なお、前者のp.669は刊行直前に書かれた部分ですが、後者のp.564は、本人が序文で述べているところによれば、1964年以前に書かれた部分をそのまま使っているそうです。
2016-11-19 01:07:06@Zahlangabeheft おお、ありがとう。自分でも検索して調べたつもりだったけど、もれてたみたいです。どの程度Frege由来の分析哲学の方法を表すのにDummettが使ってたと思いますか?
2016-11-19 01:12:41