掌小説語り～自作つぃのべる集36～

リュカ @ryuka511

大事な人を救いたいとタイムマシンに乗り込む彼を見送った。上手く行けば現在は変わるだろう。私と彼は出会わない。 #twnovel と、書かれた日記が見つかった。確かに私の字だが覚えがない。けどこの悲しみは何だ? 中途半端に存在を残した彼は誰? 衝動に駆られタイムマシンへ駆け込んだ。

リュカ @ryuka511

杖を魔物に折られた、もう戦えないと嘆く魔法使いに戦士は言い放つ。「杖がないなら素手で戦えよ」「私にあなたのような肉弾戦をしろと？」「そうじゃねぇよ。杖は触媒に過ぎないんだろ？お前の腕は何の為にある？」はっとする魔法使いに戦士は笑ってみせる。「頼りにしてるんだぜ」 #twnovel

リュカ @ryuka511

君を忌避し虐げる世界を滅ぼし、新たな世界を作ると決めた。軍を指揮し時には自ら戦線に立つ。どんなに苦しくとも戦い抜く。人間共は我々を悪魔と罵るが、崇高な目的の下に戦い破壊を楽しむわたしは果たして悪魔か。いや、肩書きや種族などどうでもよい。ただ君の為に突き進むのみ。 #twnovel

リュカ @ryuka511

流れ星に願い事をしていたら怪訝な顔をされた。魔法使いは魔法で何でも叶うんじゃないのと。確かに魔法で何でも叶う。例えば君を恋人にする事も。魔法を使えない君には解らないだろう。何でも叶えられても何も叶わない。だから流れ星に願う。私が魔法を使えないようにしてほしいと。 #twnovel

リュカ @ryuka511

今日も手紙を食す。今日は悪口と嫉妬が多めだな。相手には絶対に届かないと思い込んでいるから、遠慮の無い言葉で埋め尽くされている。さて、誰がそんな事を保証したのかな？ そろそろ元の白い毛並みが懐かしくなってきたな。 @23novel #twremix 投函口が口角を上げ笑った気がする

リュカ @ryuka511

間も無く神から地上を滅ぼせと命令が下るに違いない。神官兵達はそう信じ鍛錬に励んだ。だが一向に命令は下りない。「神よ、この腐り切った世界を見ていらっしゃらないのか？」業を煮やし神官達は神託を偽り地上を滅ぼし始めた。後の世で彼らが邪教徒と呼ばれる事など知る由もない。 #twnovel

リュカ @ryuka511

政略結婚した夫は優しく、少なくとも笑みは私に向けられている。だが心は私には向けられていない。諦めていた事ではあるが、目の当たりにするとやはり悲しい。家同士の思惑なんて関係なく、彼を好きになった。彼に好かれたいと願った。その笑みは、誰に向けたかったものなんだろう。 #twnovel

リュカ @ryuka511

薄っぺらな歌詞を単調な旋律に乗せ歌う。俺自身全く納得してないこの曲が売れてるのは癪だ。流行に乗っけて売れなきゃ生きてけない世界で、痺れる何かに出会えるだろうか？ ステージ上を駆ける。生の声援はやっぱ気迫が違う。癪でも何でも、これには応えなきゃ俺の全部が嘘になる。 #twnovel

リュカ @ryuka511

私が作られてから何人も主は変わりました。それぞれの主の記録は私のメモリーに残されています。それらはデータの羅列に過ぎないのに、ふいに再生され懐かしさと呼べそうな思考に陥り、私は混乱するのです。前の主の記録は消去していいはずなのに、消したくないのは何故でしょう。 #twnovel

リュカ @ryuka511

「おやすみなさい、王子さま」意識を失った王子を抱きとめ王子とそっくりな少年は笑う。「同じ男を父に持つのに生んだ女が違うとこんなにも人生が違うって理不尽だよねぇ」服を取り替え、眠る王子を見下ろす。「今から僕が王子さま。将来僕が王国を滅ぼしたらまた会おうね、兄さん」 #twnovel

リュカ @ryuka511

逃避行はもう終わりだ。君を逃し追手と対峙する。敵う相手じゃない。それでも最後の抵抗に剣を握る。君が逃げる時間を少しでも稼ぐ為に。お互いの最期を見なくて済むように。喉を裂いた刃が僕の声を消す。『先に、逝くね』敵同士の僕と君が恋をしたのは、意味があったのだと思いたい #twnovel

リュカ @ryuka511

村人に親を撃ち殺されても、あの狼は泣かなかった。達観した目で、人間も生きるのに必死なのだと考えた。何より、人間の子供が大人のした事を泣きながら詫びるから、狼は静かに子供を諭した。だが自分を庇ってその子供が撃たれ、狼は初めて泣いた。分かり合えない悲しみを痛感して。 #twnovel

リュカ @ryuka511

やっと解った。私がここにいる意味が。今までいい子を演じてきた理由が。抑え付けてきた怒り怨み悪意殺意を、解き放つ時だ。長年かけて真っ黒に育った本性が、私を魔物に変える。世界がなかなか滅びないなら、この手で滅ぼしてやる。こんな世界にもいい子の私にも、未練は無い。 #滅亡モンスターズ

リュカ @ryuka511

「仕事行きたくない」「学校嫌だ」「このまま布団にくるまっていたい」人々の強い願いに布団は意思を得て持ち主を包み閉じ込めた。やがて布団は外へ飛び出し、人生を謳歌する人も悲嘆に暮れる人も無差別に包み込む。恐怖する人抵抗する人世界は混乱したが、やがて静かになった。 #滅亡モンスターズ

リュカ @ryuka511

しゃらり、巫女の手にした錫杖が鳴る。世界の滅びを求める人々の願いを、恨みつらみ憎悪絶望を、その身に降ろす。己の役目を確信する。巫女は形代、世を嘆く彼の人の為、世界に滅びを執行するのだ。目を開き人の姿を捨て、厳かに宣告する。「滅せよ。」 #世界もう滅ぼしたい協会 #twnovel

リュカ @ryuka511

抱えた傷は服の下に隠すしか無かった。誰も助けてくれず、いっそ死にたいと願いながら、死にぞこなって大人になってしまった。だから、昔の僕と同じような境遇の子を、救ってあげるんだよ。 #twnovel 大丈夫、痛いのは一瞬。暴力に恐怖しながら生きる孤独な日々から、救ってあげるからね。

リュカ @ryuka511

「はじめまして、と言えばいいのかな」逃げた敵を捕らえたその顔は、俺にそっくりだった。「お前、誰だ？」「驚かせてしまったね」声もなく笑いそいつは俺の首に手をかける。「君は目覚めてはいけなかったんだよ」「どういう事だよ」「君は私のクローンの中では失敗作なんだから」 #twnvday

リュカ @ryuka511

大丈夫、バレはしない。「世界は希望で溢れている」僕の言葉に君は目を輝かせ「やっぱりそうだよね」と微笑む。君はそう言うと思ったよ。そうして僕から去って行くんだろう？そうなる前に、君の希望を絶ってしまえたら。嘘を本当にする力も無い僕は、笑い飛ばしてほしかったと嘆く。 #twnovel

リュカ @ryuka511

何度過去をやり直しても、回避出来ない選択肢が現れる。君か世界か。その度に君を選んで同じ悲劇を何度も迎えた。君がいない世界が正解だとでも言うのか。何度だってやり直す。君が悪魔でも魔王でも構わない。君がいる世界を正しい歴史に変えてやる。その結果僕が消えたとしても。 #twnovel

リュカ @ryuka511

寝ても冷めてもあいつの事しか考えられなくなった。あいつの事を思うと胸が熱く苦しくなって、鼓動も早くなる。こんなにも頭を占めるあいつをどうしてくれよう。 #twnovel 生まれて初めて抱いたこの感情の名は、殺意。俺から生きる希望を奪い人生を狂わせたあいつを、必ずこの手で葬る。

リュカ @ryuka511

君は覚えていないでしょう。初めて出会ったのは夢の中でしたね。君が生まれる少し前、幾度の転生の末に君を見つけ君の夢に忍び込んだのです。同じ時代同じ街に生まれる奇跡が確実に実を結ぶよう願い種を植えました。私の傍で君が笑う、この花が開く瞬間を、ずっと待っていたのです。 #twnovel

リュカ @ryuka511

夕闇が迫る頃、彼らは禁じられた物語を唄いに現れる。歴史の敗者、歴史の闇に消えた彼らの、語る事を許されない物語は聞く者を揺さぶる。今の世は正しいか。時の権力者は真に正義か。彼らの恨みつらみ悲しみを乗せた旋律は、世を闇へ誘う。心捕らわれた者を巻き込んで。 #twnovel

リュカ @ryuka511

君がどうして僕を選んだのか、いくら考えても分からなかった。君に問えば僕が僕だからだと、理解を超えた答えが返ってくる。こんな平凡以下の僕を、何故？ 君に愛されるのはとても光栄で嬉しい事だけれど、それに応える術を僕はもっていない。君の想いは、いつしか重荷になってーー #twnovel

リュカ @ryuka511

季節は変わり、雪解け水が花を咲かせるようになっても、僕の時間は止まったまま。太陽も春の風も、時を進ませては君の不在を過去のものにしようとする。そんなのは嫌で必死に背を向け君を想う。君がいないなら、雪は溶けないままでいい。君がいなければ、春が来ても意味はないんだ。 #twnovel

リュカ @ryuka511

竜神が泣けば雨が降るとは村の言い伝え。何日も雨が続いたある日。竜神は何をそんなに悲しんでいるのかと、悲しみを癒す術は無いかと、少年は竜神が祀られている祠に近付いた。「竜神様、何をそんなに悲しんでいらっしゃるのですか？」答える者はなく、ただ悲しみが辺りを支配する。 #twnovel