【白鯨-mobby dick-】 ♯2

おいしいコロッケ
0
葛葵中将 @katsuragi_rivea

[今のうちに注意事項] ・"今回は"艦これ二次創作小説投下行為 ・独自の解釈があります ・拙作 ・前半と後半に分かれています ・前半監修:咆哮系提督 感謝 ・後半監修:えみゅう提督 感謝 ・この話が #入江の魔人 コラボであることを再確認するパート 以上が苦手な方はミュートだ!

2016-11-21 18:20:11
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【白鯨-mobby dick-】 - Togetterまとめ togetter.com/li/1046673 @togetter_jpさんから 前回、序章

2016-11-21 19:47:42
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【あらすじ】 これ、艦これのSSじゃないよなぁ…そう考えた筆者はわざわざまとめのタグに「エースコンバット」を追加したのだった。 #ヒルガオSS

2016-11-21 19:49:05
葛葵中将 @katsuragi_rivea

大湊警備府演習海域、演習を監督する監視所から柵に手をかけ海を眺める四人の姿。 髭面の男、その連れとして緑髪…橙色の作業着を身に纏う少女と、 法衣を意匠とした軍服を纏う青年と桃色に近い色の髪をする作業着の女性、それぞれが 望遠双眼鏡を片手に海上で行われている演習へと視線を送る

2016-11-21 19:52:10
葛葵中将 @katsuragi_rivea

普段の演習ではなかなか見られないような夥しい数の航空機が空を舞い、 航空機乗り達の間で「花火」と揶揄される乱戦に身を投じていた。 「あれが、"碧花"の龍鳳?」 「そうよ。鹿屋の機動部隊では隼鷹に次ぐ実力者ではあるね。まだ少し未熟だけどね」

2016-11-21 19:53:48
葛葵中将 @katsuragi_rivea

髭面の男、葛葵冷士はぼんやりとした口調で青年、水無月楓の問いに応えた。 葛葵と楓は俗にいう”師弟関係”という間柄にあたり、 “師匠”である葛葵の紹介状で機工科に属した経歴ののちに提督となった”弟子”の楓という構図。

2016-11-21 19:54:59
葛葵中将 @katsuragi_rivea

楓はこの師匠の召集に応じ、遠くは単冠湾泊地からここ大湊警備府まで足を運んだ 忙しい仕事の合間に急な出向を命じられ、無理やりスケジュールをねじ込んだのだ ゆえに少しばかり機嫌をナナメにし口調もぶっきらぼうなものとなっている。 この諍いは他者を振り回す”師匠”の性格に起因する。

2016-11-21 19:58:03
葛葵中将 @katsuragi_rivea

マイペースで自身の思いついたことを急に言いだしては、 その流れに相手を引き込み、有無を言わせない傍若無人さこそが 楓が頭を悩ませる主な要因となっている、 葛葵自身はそのことを一切気に留めてなどいない。 それどころか開き直っている素振りすらも垣間見せる

2016-11-21 19:59:16
葛葵中将 @katsuragi_rivea

葛葵の人となりは楓もまた馴染み親しんだ仲のため、すっかり心得ている。 言いたい文句は山ほど、ビルほど、天守閣ほど…言いだせばキリが無い。 それらの言葉もことごとく無意味であることは既に経験則で悟っているため、 控えめな彼はいつものように苦笑を浮かべるよりほかなかった。

2016-11-21 20:00:46
葛葵中将 @katsuragi_rivea

そんな楓の冷めた視線に気付くことなく葛葵は、望遠双眼鏡を覗き込んだままであった 彼らが手にする望遠双眼鏡のレンズが映す先には、碧色の鮮やかな着物を意匠とする艤装を纏う艦娘が自らに搭載される艦載機の第二次発艦を開始するべく、和弓の弦を引く。 風上に向かい矢を―――放つ。

2016-11-21 20:02:26
葛葵中将 @katsuragi_rivea

幾多の閃光を瞬かせたかと思うと、矢は模型並の大きさの艦載機へと姿を変化させた。 風を薙ぐかのように飛び立つ艦載機は海から照り返す光に描かれた日の丸を誇らしげにその翼をはためかし大空を舞う。 横風に煽られながらも、すぐさま機体の安定性を取り戻すと僚機達と共に隊列を組み立てる

2016-11-21 20:03:50
葛葵中将 @katsuragi_rivea

彼女…龍鳳自身の腕前は鮮やかな手並みというにはまだ少し拙い面を残すが、 たゆまぬ鍛錬を重ねた彼女の腕前も日進月歩で目覚ましい進歩を遂げていた。 元となった実艦の経歴が戦闘に参加した経験に乏しく 艦娘となった後もそれが影響するというケースに長らく彼女、龍鳳は苦汁を舐め続けた。

2016-11-21 20:05:23
葛葵中将 @katsuragi_rivea

一時期は”輸送艦”や”防空砲台”などとも罵られたものだが、今ではそれらのレッテルを覆し 所属艦隊での主力という位置を確立したのだった。 そんな龍鳳の発艦を近くで眺めていた僚艦の一人が軽やかに口笛を鳴らす。 「腕上げてんなぁ、やるじゃないのさ~アタシらも負けてらんないよな!」

2016-11-21 20:07:13
葛葵中将 @katsuragi_rivea

金糸を装飾にあしらう白いジャケットに臙脂の袴、 巫女装束を彷彿とさせる衣装を身に着ける女が嬉々とした表情を浮かべつつ驚嘆の声をあげる。 彼女は飛鷹型と呼ばれる商船改装空母―この世界では軽空母に分類される 海鼠色の長い髪に頭頂付近の尖る癖っ毛が特徴の若女、その名を隼鷹と言う

2016-11-21 20:08:50
葛葵中将 @katsuragi_rivea

ひたすらに明るい性格でさばさばしている、といえば聞こえはいいが… 戦闘中であっても酒をかっくらう、などのまことしやかな悪評までおまけとしてつくほど酒に溺れた親父のような態度で冗談ごとをよく口にしては、 シラフかどうかの判別が難しいとまで言われる艦娘もそうはいない

2016-11-21 20:11:07
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「な~!飛鷹ぉ~?」 隼鷹はもう一人の僚艦、飛鷹型改装空母、その(自称)一番艦である彼女「飛鷹」へと同意を求めるも、 彼女の表情は曇っている。それどころか苛立っている様子を顕にすると、隼鷹に噛み付いた 「ちょっと隼鷹、今はそれどころじゃないでしょ!」

2016-11-21 20:13:28
葛葵中将 @katsuragi_rivea

飛鷹が隼鷹に大声をあげ隼鷹注意を促す。飛鷹の顔は焦り一色、それというのも 彼女らの頭上には演習相手となる機体の群れが目下の軽空母たちをめがけ 演習用、と描かれたペイント爆弾をこれでもかというほど大量に降り注ぐ 彼女らは龍鳳を旗艦とした部隊でこの演習へと臨んでいたのだった

2016-11-21 20:14:50
葛葵中将 @katsuragi_rivea

気をひとたび抜けば、その一瞬で落とされる爆弾から炸裂するペンキまみれになってしまい、 演習を審判している”彼ら”から大破の判定を受けてしまう。 散漫となった注意力からもたらされる結果は、この演習において「敗北」の二文字。 「あー、はいはい…わかってるよ~」

2016-11-21 20:16:31
葛葵中将 @katsuragi_rivea

飛鷹の注意喚起に生返事を返す隼鷹、 「隼鷹さん、お言葉ですが――― その気のない返事に見かねて飛鷹に続き龍鳳も言葉をかけようとした。 だが、その言葉は結局吐き出されることなく龍鳳は言葉を飲み込むだけに留まることとなった。

2016-11-21 20:18:07
葛葵中将 @katsuragi_rivea

口調とは裏腹に、隼鷹は腰に携えた巻物―飛行甲板―を手に取ると 自身の腕をふるう動作に乗せ大仰に広げて見せた。 その動きは流れる水のごとく、一切の無駄を見せることがなく、 それでいて剛健さをも醸し出す。 龍鳳はその華麗な様に見とれて、声を発することが出来なかった。

2016-11-21 20:19:48
葛葵中将 @katsuragi_rivea

彼女達飛鷹型は術式、などとも称される独特の発艦方法を取る。 掌に「勅令」の文字が浮かぶ紫炎を飛行甲板を模した巻物の表面へと押し当て、 ヒトガタと呼ばれる式を滑らせるようになぞらせる、 すると式は霊力を纏い光と共に空を舞う海鷲へと姿を変え、レシプロエンジンの音を響かせた。

2016-11-21 20:20:59
葛葵中将 @katsuragi_rivea

彼女達、一部の軽空母が扱う発艦方式は見る者を魅了する妖艶さをも兼ね備えている 「わぁ、流石です…!綺麗…」 一糸乱れぬ陣形で風に乗り、海鷲たちが飛び立つ様子に龍鳳は感嘆の声を思わず漏らした。 隼鷹はその反応を認めると気をよくしたのか、得意げにふんぞり返り鼻を鳴らす。

2016-11-21 20:22:47
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「そうであろう、そうであろう…苦しゅうないぞ、かっははー!」 「アンタ達ね、真面目にやんなさいよ!!」 飛鷹の気苦労はかさむ。これ以上のやり取りは危険だと判断したのか、 隼鷹と龍鳳は目を合わせると静かにうなずき、そそくさと言葉のやり取りをそこで速やかに切り上げた。

2016-11-21 20:24:14
1 ・・ 4 次へ