茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1953回「スケートリンクの魚と、ファンタジーの中の魚」

脳科学者・茂木健一郎さんの11月27日の連続ツイート。 本日は、感想です。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1953回をお送りします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

2016-11-27 06:47:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

北九州市のテーマパークが、スケートリンクに魚を埋めていた、というニュースには驚いた。北九州は私の母親が育ったところで、子どもの頃から何回も行っており、このテーマパークも好きで、応援していただけに、残念に感じた。

2016-11-27 06:49:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

一つ思ったのは、九州の人は東京の人が想像できないくらい魚に慣れているから(自分たちで釣るし、食べるときもキレイに食べる。子どもの頃から、母親の焼き魚の食べ方を見て、凄いな、マエストロ! と思っていた)、今回のことも、魚に対する感覚の違いがあるのかもしれない、と思った。

2016-11-27 06:50:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

それにしても、子どもたちもたくさんくるスケート場で、魚をたくさん埋めて、その上を滑るようにしたら、世間の反応がどのようなものか、シミュレーションはできたはずだと思う。今回の件は、企画、営業の問題として、「失敗」だったと言えるだろう。

2016-11-27 06:52:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

テーマパークは、ファンタジーを扱う場所だと思うが、ファンタジーの世界では、魚たちを人間のように扱うのが文法である。たとえば『ファインディング・ニモ』でも、『ファインディング・ドリー』でも、魚たちはまるで人間のように振る舞っている。

2016-11-27 06:53:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

『ファインディング・ドリー』は、はぐれてしまった親を探す物語だが、実際の魚は、もちろん、そんなことはしない。そもそも「親子」という観念がない。卵を生んで、卵から稚魚がかえって、勝手に泳ぐだけである。「子育て」をする一部の魚をのぞいては。

2016-11-27 06:54:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

魚の寿命は長くないから、はぐれたドリーが親魚を探しても生きているとは限らないし、そもそも、親かどうか、子かどうかも認識できないだろう。『ファインディング・ドリー』の中で、「親はどこだ」と言って、「どれでも適当に選んだら」というシーンがあったが、あれが実際のところだと思う。

2016-11-27 06:56:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

氷の中に魚が埋まっている、というのはリアリズムとしては大したことがなくて、魚屋さんなどで頻繁に見るところだが、夢を売るテーマパークとしては、魚を人間扱いしなくてはならない。そのあたりの見極めが、今回はできなかった、ということだろう。ファンタジーは、本気でやらないと失敗する。

2016-11-27 06:57:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1953回「スケートリンクの魚と、ファンタジーの中の魚」をテーマに、7つのツイートをお届けしました。

2016-11-27 06:58:19