【ミリオンスター・サンダーボルト】#4

ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

【ミリオンスター・サンダーボルト】#4

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」プラリネとルーントリガーのイクサはリンゴ紋輸送トラックの上に場を移した。両者の装束はカタナ傷に塗れ、血が滲んでいる。「イヤーッ！」プラリネのカラテ・ギターの騒音が着実に暗殺者のニューロンをシェイクする。ルーントリガーは距離を詰めざるを得ない。

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ルーントリガーが仕掛けるが疲労の為か幻像が薄い！「イヤーッ！」プラリネは実体を見極め迎撃！「グワーッ！」カタナを弾かれ暗殺者がよろめく！プラリネはカタナを逆手に刀身に右手を走らせる！「イヤーッ！」カラテ音波がルーントリガーを襲う！「グワーッ！」吹き飛ばされる！「イヤーッ！」

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ルーントリガーは辛うじて車体側面にカタナを突き刺し転落を免れる。そして助手席へと滑り込んだ。「振り落とせ！」息も荒く、懐を探りながら運転手に指示を下す。「お客さん、どちらまで？」愕然と運転手を見やるルーントリガー。ハンドルを握るのはプラリネ！「イヤーッ！」「イヤーッ！」

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狭い座席で木人拳めいたコンパクトなカラテが繰り広げられる！互いに片手での鋭いチョップ突きの応酬！「イヤーッ！」「グワーッ！」プラリネの一撃がヒット！だが！「イヤーッ！」「なに…」ルーントリガーは敢えて身を晒し、プラリネの腰に抱き着いた！不意を突かれたプラリネの腰元で装着音！

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「これは」「イヤーッ！」「グワーッ！？」奇怪な装置のベルトの一方を取り付けられ途惑うプラリネ。隙を突かれ車外へと蹴り落される！「イヤーッ！」プラリネはフックロープを投擲し窓枠を捕らえた！「ヌウーッ！」路面を引きずられ防具が火花を上げる！「その装置は時速10キロ以下で爆発する！」

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ルーントリガーはトラック上に立ち取り出したリモコンを見、耳元の通信機をオンにした。「モシモシ、起動スイッチはどれ？」『ハア！？緑だ！グワーッ！』ルーントリガーは再びリモコンを見た。白と黒のボタンがある。トラック前方では車上に押し倒されたグラップラーが走者を押し退けようとしていた。

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暗殺者は数秒考え込み、黒のボタンを押した。DOOOM！トラックの違法改造エンジンが火を噴く！急加速した輸送車は道路に黒い轍を刻み発進！「「グワーッ！」」ルーントリガーは車上を転がり落ち、プラリネは道路をバウンド！更に暴走トラックは前方車両群を轢き飛ばす！「「グワーッ！」」

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グラップラーとマウントをとっていたロードランナーも転落！「アバーッ！」走者はスクラップ車両群に巻き込まれ姿を消した。「グワーッ！」転がるグラップラーが引き潰される寸前、クロネコハヤイを駆るルーントリガーがその手を掴んだ。「サンキュー」バイクは暴走トラックに並ぶ。「グワーッ！」

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「そのまま死ね！」引きずられるプラリネを見つめ、ルーントリガーは憎々し気に吐き捨てると、リモコンを操作しグラップラーを乗せてハイウェイを走り去った。ジュリアはロープを握り締めた。手を離せばたった今不穏な起動音上げた爆破装置が作動するだろう。しかしてこのままでも死は免れぬ！

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「グワーッ！」「やっほ～、ジュリア＝チャン～」その時である！後方から赤いスポーツカーが姿を現し、爆走するトラックに並んだのだ！「レイ！？」「ドーモ！」ハンドルから両手を放しアイサツしたアイドルは顔面寸前の距離まで車を近づけた。「なんでここに！？」増した危機に戦慄しながら尋ねた。

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「昨日ね、エミリー＝チャンから連絡があったの。久しぶりで驚いちゃった」「そうか！頼む助け」「あ、そうそう。この前のイベントで1番になれなくて残念だったね。でもミヤ＝チャンなら仕方ないかな」「おい待っ」「私はジュリア＝チャンの味方だからね。困ったことがあったら何でも言って」

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「…」徐々に遠くなっていくジュリアのニューロンに、道路脇の街灯が星めいて焼き付く。(((それじゃあ、あたしら2人で流星群だな)))流れ星めいて飛び去って行く光を追い、ジュリアの意識は途絶えた。……ハイウェイの出口。バイクに跨ったアイドル達は、後方の大爆発を確認し、走り出した。

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……「あんれ。予定と違うようだけど、事は済んだのかい？」ミリオン・クランの屋敷の庭に乗り付けた部下を見下し、ヒナタは呟いた。美しい庭園はバイクの轍に掻き乱されている。「ああ、終わった」「なぁんだ。あたしも花火が見たかったのに」「ジュリア＝サン、ウミ＝サンは！？」「死んだ」

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グラップラーの無慈悲な言葉にモモコは崩れ落ちた。「残念だったねえ。モモコ＝サン」ボロボロのスーツの襟を正し、ヒナタはモモコを見た。「ま、命が助かっただけブッダに感謝するんだねえ」「いいえ、誰も助からない」「…何？」グラップラーは自身を見下した。血濡れの刃の切っ先が覗いている。

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「な…」音もなくグラップラーを突き刺したルーントリガーの眼差しは冷ややかだ。「貴様」振り向こうとするアイドルの心臓を貫くカタナを捻り上げる。コンマ数秒の抵抗の果て、グラップラーは爆発四散した。「サヨナラ！」ルーントリガーは頬に張り付いた黒い血を拭った。白い庭園は雪原めいている。

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「ナ、ナンデ」愕然と呟くヒナタに殺意漲る視線が向けられた。それは固まるモモコにも同様である。屋敷は冷たいキリングオーラに静まり返った。「…この日を待っていた」シホは装束の肩をはだけ、白い腕を晒した。「そ、そのイレズミは…！」オヤブン2人が悲鳴を上げた。「ドクロ・ウミウシの紋！」

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然り。シホの肩には二の腕までを覆うイレズミが施されていた。それはかつてネオロポンギ一帯を支配した狂気のヤクザ、デッド・ウミウシ・ヤクザクランの証である！「つまらない連合の抵抗のおかげで我らがクランは内部分裂…仇はすべて討った。あとはお前達だけだ」「うちのヨージンボーになったのは」

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「あいつを誘き出すためよ。誰がミリオンのオヤブンを暗殺したと？」モモコの頬が一瞬で紅潮した。「お前が…」「土産話はここまでよ」暗殺者はカタナを振り抜いた。「GRRR！」獣と化したリトルウルフが飛び掛かるが、負傷が響き動きは鈍い。「イヤーッ！」「ンアーッ」！組み伏せられる！

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「まずは1匹…」CRAAASH！凶刃が振り下ろされる寸前、屋敷の土塀が吹き飛びスポーツカーが半身を現す！「イヤーッ！」そして赤い流星が飛び出した！「イヤーッ！」刃を受け止めルーントリガーが問う。「貴様、なぜ生きている」「あのオモチャか？引きずってたら壊れたぞ」プラリネは笑った。

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暗殺者は弾き返されタタミ5枚の距離に降り立つ。「ほら、アブナイだから下がってな」ジュリアは装束の上着をタマキに投げ渡す。「あっ！」リトルウルフは驚きの声を上げた。ジュリアの肩に刻まれたドクロ・ウミウシのイレズミ！「どうしてもやるのか？」「マツリ＝サンを殺した貴様だけは許せない」

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雪原にアイドルが立つ。シホの目の前には黒い炎が燃えている。「いいぜ。かかってきな」サラシ姿のジュリアはカタナを構えた。「私はとうに死んだ光、未練がましく瞬く星だ。だが貴様は殺す」シホのカタナが怪しく揺れた。「イヤーッ！」鋭い剣戟をプラリネは左右に躱す。両肩が浅く裂ける。

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ルーントリガーはジツの酷使のあまり己のニューロンが焼き付いていくのを感じながら、尚もカタナを振るった。旧い映像、モノクロのノイズめいた激痛を白い粉末の慈悲深いヴェールが覆い隠す。「イヤーッ！」「グワーッ！」翻弄されるプラリネの大腿に深い裂傷！すれ違い様に互いの視線が交錯する。

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もはや霞がかり不鮮明な記憶…何ものとも知れぬ最後の残滓を燃やし、ルーントリガーは吼えた。「イヤーッ！」その目が白いセンコめいて輝く！残像は二重三重にブレてプラリネに襲い掛かる！プラリネは地面にカタナを突き刺し、深く息を吸った。それは太古よりアイドルに伝わりし呼吸法、フクシキ！

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「スゥーッ…ハァーッ…」懐かしきクランの、仲間達の声を思い出す。あれこそが流星だった。今の己は燃え尽き果てた屑だ。だがその果てでまた星を見つけた。「血華往来、サイオー・ホースってな！」ジュリアは柄握る左手から刀身に伸びるカラテ弦に集中し、渾身の力で引き抜いた！「イヤーッ！」