合コンにおける「場」と「発話」――演劇行為を通じて

人生初の合コンを通して感じたことを、参加者の認知と発話とを元に考察。合コンにおける必勝法とは。
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とろろこんぶ @tllcnb

合コンその①:先日、生まれて初めて合コンに参加してきたので、その感想を呟いていきたい。多少長くなると思う。ちなみに、「合コン」とは合同コンパの略称であり、出会いを求める異性間での会食、歓談行為を指すものと考えてもらえればよい

2016-11-28 04:54:54
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその②:さて、このような前口上の時点で私が合コンに不向きな人間であるかのような推定が働くかと思われるが、ここで今回の合コンにおける前提をいくつか確認する。1.まず、私は合コンのテクニックについて、前もってググらずに参戦した。

2016-11-28 04:58:34
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその③:2.男女比は4:3(当初は4:4の予定であったが当日欠席者が出た。想定の範囲内ではある。)。3.私の知り合いは男性陣に一人のみ。女性陣は大学の部活動の先輩後輩といった関係。4.私だけ学生であり、他は全員社会人である。簡潔だが以上を前提とする。

2016-11-28 05:00:52
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその④:見方によっては完全アウェーといった様相であるが、さっそく本論に入っていくことにしよう。一連のツイートを通して述べたいのは、「合コンはバカとバカが出会う場所である」ということである。どういうことか。私を紹介してくれた友人を馬鹿と言いたいわけではない

2016-11-28 05:02:13
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑤:「合コンの『さしすせそ』」といった文句はご存知かと思う。「さすが」に始まる、これを言っておけば間違いない台詞のことだ。現実の合コンにおいても、「すごい」の登場頻度は高いように感じた。大して面白くない発言に対する「面白い」も次点で多く出現する。

2016-11-28 05:04:12
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑥:このような内実を伴わない技術的発話が繰り返されることにより、合コンは「相手の発話に対して無理解に相槌を打つ場」となる。しかし、これだけでは会話が断絶してしまう。そこで、ここでもテンプレート的な会話内容が(主として男性側から)提示される。

2016-11-28 05:07:09
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑦:参加者同士の人間関係を掘り進める会話に続き、「趣味は何ですか」、「好きな男性(女性)芸能人は?」といったテーマが提供される。一度テーマが決まれば、各々好きなことを言い、これについてある程度のやり取りが交わされる。

2016-11-28 05:10:17
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑧:こうしてみると、普通の会話がなされているようだが、当然のことながら合コンという場にあわせて変容した会話となっている。そこでは、しばしば「盛る」ということが行われる。これを日常会話でもしている人がいるかと思うが、合コンではほぼ例外なく全員が「盛る」

2016-11-28 05:11:08
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑨:その結果、合コンの場でなされる会話は現実から離れて浮遊したものとなる。誰も実に考えていることを話していない状況ができあがる。そんな状況の下、各人は、それぞれの与えられた役割(ボケ、ツッコミ、気配り等々)を演じることとなる

2016-11-28 05:13:46
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑩:ここに至って、合コンは演劇化する。参加者は、観客の存在する現実から離れた舞台の上で、劇の中で与えられた台詞を回す役者となる。この役者になった状態を、「バカ」になったと呼ぶことにする。

2016-11-28 05:17:28
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑪:役者になった彼ら(私たち)は、合コンという舞台劇のなかで、用意された筋書きにそって発話し、無理解に相槌を繰り返す。日常から外れて事実に基づいた思考を喪失し、ある種の狂気に身をゆだねて「バカ」になるわけである。

2016-11-28 05:20:45
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑫:さて、そうなってくると、男女の出会いの場として、合コンはおよそ似つかわしくないものとなりそうだ。なぜなら、参加者にとって、相手は「何も考えずに言葉を発するバカ」として映るからだ。

2016-11-28 05:23:59
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑬:いや待ってくれ、参加者全員がバカになっている状態で、バカはバカをバカと認識できるのか。そう思った人もいるだろう。これは可能である。合コンに参加する者たちは、「現実における出会い」という合コン(場)の目的に結び付けられるかたちで現実に紐づけられているからだ。

2016-11-28 05:25:44
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑭:それゆえに、参加者は自分もバカになりながら、無内容な発言をする相手を「バカだなあ」と思うことができる。さて、そのような認識を抱いたとして、バカと今後も付き合っていきたいと考えるだろうか

2016-11-28 05:26:47
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑮:極めて阿呆な会話で形作られた人格に対して、今後の付き合いを考えるのは特殊な人間であろうと思う。にもかかわらず、なぜ合コンは出会いの場として機能するのか。それは、先ほど述べた現実との紐づけによって獲得される視点によって可能となる。

2016-11-28 05:28:34
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑯:その視点とは、観客の視点である。合コンにおいては、役者と観客の両方の視点を有することになる。ここに、出会いの場として合コンが機能する鍵があるなお、この観客の視点を有するに至らない者は「バカ」ではなくただの馬鹿である。

2016-11-28 05:31:17
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑰:どういうことか。演劇における観客は、役者が現実においても殺人鬼をしているなどとは考えないことと同様、合コンに参加している「バカ」たちは、実際には自分たちはバカではなく、演じていることを知っているのである。

2016-11-28 05:32:19
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑱:そうすると、合コンにおいては現実と異なる事実が会話によって作り上げられていく一方で、相手に対して「実際にはこのような人物ではない。この合コンの場を盛り上げるために演じてくれているのだ」という認知が生ずることとなる。

2016-11-28 05:33:25
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑲:この一種のメタ認知によって、参加者は、相手方の人格を「妄想」することになる。盛られた情報を少しばかりの手掛かりに、演じられた姿とは異なる現実の姿を妄想する。これらが双方にとって成立したとき、合コンは出会いの場として機能する。

2016-11-28 05:35:07
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその⑳:この妄想においては、演じられた「バカ」でない者として相手が映るため、いかようにでも美化される。この人は盛り上げるためにバカに徹してくれているんだ、そんな気が回るなんて普段は素晴らしい人なのだろう、もっと話してみたい……という具合である。

2016-11-28 05:35:51
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその㉑:このようなメタなレベルでの妄想を通じて分かり合った「バカ」同士は、合コンの後に、舞台から降りて現実での付き合いを開始するわけである。これにて合コンはめでたく終了、大成功というわけだ。

2016-11-28 05:36:56
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその㉒:ここまで抽象的な話に終始してしまったが、私の今回の合コンはどうであったのか。言わずもがな、失敗した。上記分析から、反省点としては次の点が挙げられよう。

2016-11-28 05:37:59
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその㉓:合コンにおいて成功するためには、「バカ」を演じ切ると同時に、観客のレベルに同時に立ち、その観客のレベルにおいて、自らがメタ認知を「できている」ことを相手方にアピールする必要がある。相手の妄想を掻き立てる必要があるというわけだ。

2016-11-28 05:38:23
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその㉔:このアピールというのは、いくつか方法はあるかと思うが、一つにはアイコンタクトという手法があろうし、またオーバーな演出は、それがあくまで演じられたものであることを相手に知らせる手掛かりにもなると考えられる。

2016-11-28 05:39:29
とろろこんぶ @tllcnb

合コンその㉕:だらだらと述べてきたが、重要なことは、合コンの会話の中に現実は存在しないこと、相手が惹かれるのは会話ではなく妄想によってであること、である。たった一回の合コン経験でどこまで的を外したかは分からないが、確かなことが一つだけある。もう合コンには参加したくない。

2016-11-28 05:40:12