陸上自衛隊予備自衛官(予備2等陸曹)が指摘する、現行日米ガイドラインと国内法の問題点。

本記事は、隊友会や防衛省とは関係のない、一人の文民としての意見です。ことは憲法論議ではない。実務と現場を見よ! コメントデザインは、一切行いません。ただし現職自衛隊員の方は内規上、所属長の許可を得た上でのコメントのみでお願いいたします。
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篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

国家に真の友人はいない。その前提に立ち、「日米安保」と「集団的自衛権」について、少し考察を加えてみたい。

2016-11-28 13:39:38
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

現在の「日米安保の運用」とも言うべき「ガイドライン」は、2015年に改定されている。これは、いわゆる安保国会と同年であったが、全くといっていいほどメディアには取り上げられなかった。米国にとっての本丸はこちらだったのだが、メディアも所詮は商売。売れない記事は書かないのだ。

2016-11-28 13:43:12
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

日米防衛協力のための指針(2015年4月27日) mofa.go.jp/mofaj/files/00…

2016-11-28 13:43:48
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

Ⅳ.日本の平和及び安全の切れ目のない確保 - C.日本に対する武力攻撃への対処行動 - 2.日本に対する武力攻撃が発生した場合 - a.整合のとれた対処行動のための基本的考え方 より、有事の際の「自衛隊・米軍」の役割分担を引用したい。

2016-11-28 13:46:12
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

(引用開始)日本は、日本の国民及び領域の防衛を引き続き主体的に実施し、日本に対する武力攻撃を極力早期に排除するため直ちに行動する。自衛隊は、日本及びその周辺海空域並びに海空域の接近経路における防勢作戦を主体的に実施する。

2016-11-28 13:47:15
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

米国は、日本と緊密に調整し、適切な支援を行う。米軍は、日本を防衛するため、自衛隊を支援し及び補完する。(引用終了)

2016-11-28 13:47:29
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

お分かりになるだろうか。「日本国自衛隊が主体的に防衛、米軍は自衛隊の支援及び補完」という「2015ドクトリン」が、既に一年半前の時点で成立しているのだ。日米安保がまともな抑止力にならないということが、事実上公的に確定してしまったのである。

2016-11-28 13:50:19
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

条約というのは、相手のあることだから、その運用を巡って条件闘争が行われるのは当たり前だ。問題は、「現行の自衛隊を主力とした場合、法的に自衛隊がまともに戦えるのか」というイシューだろう。これについては、はっきり「無理」と言える。

2016-11-28 13:53:19
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

装備、人員、予算の面では、確かに日本国自衛隊は世界屈指の『軍隊』である。しかし国内法的には、自衛隊は「第二警察」でしかなく、「重武装した機動隊」に過ぎない。領空侵犯へのスクランブルも、あれは自衛権ではなく警察権の行使としてやっているのだ。

2016-11-28 13:54:50
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

防衛出動の際には、「警察比例の原則」が適用される。つまり敵が100発のミサイルを射ってきたら、我はその後に『100発を越えない範囲で』反撃するしかない。それが専守防衛ドクトリンの本質である。

2016-11-28 13:56:16
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

国際法的には軍隊であるが、国内法的には巨大な警察力――そのあり方を規定する「自衛隊法」が本当に「警察官なき世界」と現行ガイドラインに即しているのか、我々はもう一度検討する時期に入っているのかも知れない。

2016-11-28 13:58:24
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

私がわざわざ、こういった公然情報を取り上げたのには、理由がある。そう、トランプ候補の大統領選勝利だ。外交というものは、常に最悪のケースを考えて行わなければならない。日米安保は一年前までに通告を行えば、その効力を当事国の一方的な意思で消滅させることができる。

2016-11-28 14:11:14
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

米中の二カ国に、尖閣を巡ってことを構える気などさらさらない。そしていわゆる「武装漁民」が尖閣諸島を占領した場合、これは防衛出動の要件を満たさず、また通常の規模であれば海上警備行動・治安出動の水準に到達するとも考えにくいので、自衛隊は法的に介入できない。

2016-11-28 14:13:00
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

日米安保の適用エリアは、「現に日本国政府の施政権が及んでいる場所」に限られる(そのため、竹島・北方領土について米軍は中立である)。仮に、武装漁民を排除できず、尖閣諸島における施政権を失ってしまった場合、米国に動けとも言えないのだ。

2016-11-28 14:14:41
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

もっと恐ろしいことを言おう。「国家に真の友人はいない」という代表例だが、我が国はカンボジアPKOで、護衛についていたオランダ軍の任務放棄に遭遇し、警ら中の警察官のうち、一名の殉職、四名の負傷という大被害を被っている。当時オランダ軍が逃げた件を、甘く考えてはならない。

2016-11-28 14:20:08
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

当時の予算委員会の議事録から、引用したい。民社党・塚本三郎委員の発言である。kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugii…

2016-11-28 14:22:15
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

(引用開始)○塚本委員 私は総理に、いわゆる歩兵部隊であるPKFを出せと今ここで要求しておるのじゃありません。平和で武器使用が必要ないという前提に立って出したわけです。

2016-11-28 14:22:45
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

ところが、武器使用の必要性が迫ってきた。だから、フランス軍にお願いします、オランダ軍にお願いしますとお願いしたら、真っ先に守ってくださるべきオランダ軍に逃げられてしまった、これで高田君が犠牲になった、これ、事実でしょう。(引用終了)

2016-11-28 14:23:20
篠山半太 @SHINOYAMA_Hanta

戦後日本が戦死者を出していないというのは、全くの嘘だ。実際には海上保安庁の掃海部隊が、朝鮮戦争で触雷し、一名が殉職。そしてカンボジアPKOで、日本隊の警察官が一名、殉職している。北朝鮮やポルポト派が存在しなかったら、生じなかった人的被害だ。これを戦死と言わずに何と言うか!!

2016-11-28 14:25:13