
「本当に呉にそっくりなの、あの頃の呉にそっくりなの」 …映画「この世界の片隅に」をめぐって
2016年11月23日 夜

「この世界の片隅に」の上映後、啜り泣きと拍手が響き、ゆっくりと照明が点いて皆が余韻の中言葉少なに席を立っていく中、後ろの席に座っていらした恐らく80代のご婦人が「私ね呉に住んでいたのよ、本当に呉にそっくりなの、あの頃の呉にそっくりなの」と隣の見知らぬ若者に語りかけていた。
2016-11-24 00:58:49
ご婦人はその事をどうしても直ぐに誰かに伝えたくて、見知らぬ隣の席の若者に語りかけたのだろう。「片渕監督の執念にも似た細密な時代考証」などという言葉にしてしまうと途端に魔法が消えてしまいそうな気がするが、何かを伝える、伝わるというのはきっとこういうことなのだ。
2016-11-24 01:08:02
2016年11月24日 (片渕須直監督と)

呉で生まれ育ち、中心地ではなく高台に住んでいて、恐らくはるみと同い年くらいだった母に、この世界の片隅にを見せてみたところ、「これはどのへんが泣ける話なの?これは当時の本当に普通の話だよ?あんたたちはやっぱり平和すぎてわかんないかねえ」との感想。
2016-11-24 09:24:59
@tchisaka @katabuchi_sunao その通りですね。誤解を招くような書き方をしましたが、映画はべた褒めでした。呉の方言が懐かしいとそこで目が潤んでました。
2016-11-25 09:55:11
@jiroiida お母様のような方にご覧いただくことができて、そんなふうにいっていただけてありがたい気持ちでいっぱいです。
2016-11-25 10:06:34
@katabuchi_sunao 母も本当に楽しんでいました(そんな風に言っていいものかwでもそういう感じでした)。帰りの電車の中、当時の話で盛り上がったのですが、この映画の後では不思議と説教臭い感じがせず、いろんな意味で本当に素晴らしい作品だと思いました!ありがとうございます!
2016-11-25 10:28:14
@jiroiida 映画を観たうちの母親からも色々聞かされます。親、というより、ひとりの人の声として聞こえてきます、たしかに。
2016-11-26 00:01:53
@katabuchi_sunao ああ、なるほどひとりの人間として。私も母と観て話をしたとき、上手く言えないのですが、時空が繋がったような奇妙な感覚になったのです。これは是非広い世代に見てもらいたいですし、さらに文化も違う人たちの感想も聞いてみたいですね。海外上映応援してます!
2016-11-26 01:47:19
2016年11月26日

こ れ www 立川で同じ時間に見ていた感じなので、うちの母親な予感がびりびりするw なぜなら、本当にそうやってすぐ話しかける性分なのだw twitter.com/aerodynamik_tw…
2016-11-26 02:06:29
@aerodynamik_tw 突然、すみません。つかぬ事をお伺いしますが、立川で「この世界の片隅に」をご覧になった時、老婦人が話しかけていた席は、もしかして左側前方のD_4付近ではありませんでしたか?
2016-11-26 02:25:22
@jiroiida ご察しの通りです。当時の風景、戦争にまつわる出来事、史実をありのまま丁寧に描いたことは監督のインタビューで知っていても、その時代を生きた人達の物語は原作の世界と思い込んでいたので、あの一言の証言を伺って初めてその全てが当時のそのままだったのだと気付いたのです。
2016-11-26 15:20:31
@jiroiida 「あの頃の呉にそっくり」の一言に込められたお母様のしなやかさ力強さ、風景描写だけではなく、その時代を生きた人達の生活まで含めて、「当時の当たり前」がそれを知る人にとって嘘のない物語として丁寧に描かれていた事を知り得た、とても嬉しい一言をありがとうございました。
2016-11-26 15:35:30
@aerodynamik_tw ありがとうございます!ほんと、そんな大層な母ではないのですが、この映画との奇遇に本人も思わず誰かに話しかけたくなったのだなあと、こうやって人づてに知ってw なんだ本当はメチャクチャ感動してたんじゃないかとちょっと微笑ましくなりましたw
2016-11-26 15:48:46
何か、この世界の片隅にのヒットの片隅で、インターネット黎明期に味わったようなボーダレスで自由な感覚を味わっている(しみじみ
2016-11-26 15:56:54
2016年11月28日

この世界の片隅にの件。インターネットで人気者になってるよと母に伝えたところ、まんざらでもない様子w 隣の若者が笑ったり泣いたりと随分感動してるようだったので、この映画の様子は本当にこの通りなのよとつい声をかけたとのこと。
2016-11-28 16:03:56
誤解を恐れずに言えば、広島の人というのはどこか皮肉っぽい言い方をするところがあって、当時の普通の光景で特にドラマチックなものでもないということを言おうとして、どこに泣くところがあったんかね、というような言い方になるのかなと、母と長い付き合いの私は思うわけで。
2016-11-28 16:10:04

ちなみにその母の母親、つまり私の祖母は、呉の街の方の出身らしいのだけど、戦争と関係なく結核で兄弟が8人中5人くらい死んでいるらしい。やっぱり、今の感覚で戦中戦前のリアルな感覚を語るのは難しいのかなと思う。だからこそ、この世界の片隅にという映画の描き方が、本当に素晴らしいと思う。
2016-11-28 16:20:13
10人中8人だったかな。いや普通に考えると壮絶なんだけど、戦争で搔き消されてるというのもあるし、その話より、生き残った兄だか弟が身代を食いつぶしたみたいな話の方が熱をもって語られてる歴史だったりして、母がこの世界の片隅にをもって普通だと表現するのはとても腑に落ちるものがあって。
2016-11-28 16:25:43