【たそがれジャンプ】福間健二 #k2fact157
だれかとしゃべりたい気分。黙ってるとデカくなる死体を飼っているのだ。ちょうどよかったのか。下町育ちでニットのワンピース。ストロングゼロを半ダースかかえた天使が追われていた。こっち、こっち。ここは病んだ線が入りくむ季節が終わってないけどね。(たそがれジャンプ1)#k2fact157
2016-11-17 11:30:13ワンピースについた普通の葉っぱ。でも、死体を騒がせない力がある。つばさの汚れ方を修正しながら、明かりをつけないまま、二人で飲んだ。何種類もの変装した警察がやってくる。最初は親切そうな顔をして、だんだんタチがわるくなる。骨休め。まだだよ。(たそがれジャンプ2)#k2fact157
2016-11-18 11:39:20なぜきれいなのか。捜索する男たちの頭上に描かれる弧のために老いる夕空。そしてなぜ澄むのか。恩知らずな死体を洗ったみずうみ。光ることも、羽ばたくことも、あきらめない。だれかがそう決意して、本を読めない時間。スイッチ、見つからないんだけど。(たそがれジャンプ3)#k2fact157
2016-11-20 09:00:57みずうみ、魚になって泳ぐためにある。空は鳥になって飛ぶため。でも、その前にこの秋の地面で雑草になる必要がある。そんな詩をだれかが書いて、進化の終わった青い拳銃を隠せなくなるぼくたち、破滅はまだ。それぞれ三つ目のストロングゼロをからにして。(たそがれジャンプ4)#k2fact157
2016-11-21 10:12:49無計画。縫い目に、トウガラシと善意の鼻血。何日も着たその服を脱ぎなさい、その覆面も取りなさいとだれかが言って、やっと灯った明かりがさびしい。もう一キロか二キロ歩くべきだったか。へんな音がする、地理。青と黄色をきらうきみの下町が沈んでいく。(たそがれジャンプ5)#k2fact157
2016-11-22 08:27:25泣きたいだけ泣いて可憐な花になる人の、数字が流れる瞳のなかに。だったら、赤ならいいのか。しずく飛ばしながら、風の友、坂の道、スピードは十分。なんてすてきな、枯れてもパンクなひとりと一匹の「大人にはなりたくないけど、もう子どもじゃない」だ。(たそがれジャンプ5)#k2fact157
2016-11-24 09:39:39裏返しにされてもぼくたちは不死身。空き缶をおいた抒情的な入江がつくる鏡を割りたくなる。ピアノを弾く指に「どう狂うか」が噛みつかないように。仕事、やりますよ。乞うこと。揺さぶること。支払いを受けること。ではここに、手を洗ってから並びなさい。(たそがれジャンプ7)#k2fact157
2016-11-28 10:17:55もうその撫で肩に星は降りてこない。登録がまだのカサブタから滲みでる「海」の匂いをかぎ、音を聞き、笑うべきか、泣くべきか。判断するのはいま。迷う人、いやになったわけじゃないけど、チープスリル。たがいに読みあうだけの心が言うことを聞かない。(たそがれジャンプ8)#k2fact157
2016-11-29 05:56:33たがいの膝を生け捕りにして、テストなしで「海」の飛沫をあび、一枚の切符を譲りあっている。心と物体。やわらかい方が通りぬけるのはむずかしい。でも苦難は覚悟している作家志望の、肘。あたためることだ。この切符はだれかにあげて、ぼくたちは歩こう。(たそがれジャンプ9)#k2fact157
2016-12-01 09:29:28空。必死の、親指の合図とは無関係に暮れていくだけで、遠い火事も虹も見えない。でも、遠くに行った人たちと同じ苦難とは、泣けるじゃないか。ストロングゼロもいいけど、この着地点、千石先生が持ってきたcanチューハイは上等のシャンパンみたいだ。(たそがれジャンプ10)#k2fact157
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